2024.11.27
McKinsey&Companyから出た 女性の健康に関するレポートによると、女性の健康格差が解消すれば、毎年1兆ドル(1ドル140円で140兆円)の経済効果があると言われている。そこで、女性の健康格差を解決するために必要なことを考えてみたい。
男女間で、健康状態や医療へのアクセスにおいて生じる不平等を指している。
具体的には、男女の体のつくりが異なることで、かかりやすい疾患や薬の効き目などが異なる。さらに、2022年の医薬品の研究開発における投資金額のうち、女性特有疾患領域への投資は全体のわずか5%である。
さらに、医療の分野においても、薬の臨床試験では妊娠や出産への影響を危惧し、女性の被験者が非常に少ない。そのため、女性への副作用が見過ごされやすい傾向にある。
最近の事例だと、新型コロナウイルスのワクチン接種だが、女性は免疫反応が強いゆえに、体内で作られる抗体量が男性より多い傾向にあり、副反応も出やすいと言われている。
女性の健康格差を解消していくことで、経済に与えるインパクトは大きい。
• 女性の健康格差を解消することで、2040年までに1兆ドルの経済効果が期待される。
• 女性の健康状態が改善されれば、経済生産性を最大4,000億ドル押し上げることができる。
(出典:「女性の健康格差の解消:生活と経済を改善する1兆ドルのチャンス」を要約して、筆者が日本語訳)
女性の健康格差解消による経済効果は、女性1人あたり年間7日分に相当する。この格差に対処することで、2040年までに1億3,700万人の女性がフルタイムで働くのと同等の効果がある。
日本でも、2025年時点でのフェムテックによる経済効果は約2兆円/年と推計されている。これまで月経随伴症状、不妊治療、更年期に伴う症状により、離職や昇進辞退、勤務形態の変更を余儀なくされていた女性が、フェムテックサービスの利用により、仕事との両立を果たすことで得られる給与相当額である。
女性の健康格差の解消には、女性中心の研究開発への投資、性別に細分化されたデータの収集と分析の強化、女性ヘルスケアへの投資、女性を支援するためのビジネス政策の検討などがある。
さらに女性の健康格差解消によるGDPへの影響を見ると、月経前症候群(PMS)が最も影響が大きい。
まずはこのような調査で経済的なインパクトが明確になること。さらに、女性自身も対処できるようなリテラシーを身につけることが求められている。
著者
木村 恵Femtech Community Japan理事。NewsPicksトピックスオーナー。 経営学修士(MBA)
フェムテックという分野が、女性(Female)が抱える問題をテクノロジー(Technology)で解決するために作られたように、あすか製薬は、女性(Female)が抱える問題を知識(knowledge)として世に広める活動に力を入れています。そして、私たちが伝えた知識を生かして、より良い明日のために行動変容することに対しても貢献したいと考えています。
Mint+ フェムナレッジについての
お問い合わせはこちらから