2024.11.27
少子高齢化が進む日本で、人手不足が深刻な課題となっている。状況を打開するひとつの方法として、多様な人材を最大限活用することが叫ばれているが、「厚生労働省 令和4年版 働く女性の実情」から、変わりゆく働く女性の状況を踏まえて、人手不足の解決策を考察してみた。
【令和4年 働く女性の状況(括弧内は前年比)】
• 女性の労働力人口:3,096万人(▲16万人)
• 労働力人口総数:6,902万人(▼5万人)
• 女性雇用者数:2,765万人(▲26万人)
• 雇用者総数に占める女性の割合:45.8%(▲0.3ポイント)
• 女性の完全失業者数:73万人(▼5万人)→完全失業率:2.4%
(出典:「厚生労働省 令和4年版 働く女性の実情」)
女性の労働力人口は3,096万人と、前年と比べ16万人増加。しかし、男性は3,805万人と前年と比べ、22万人も減少している。
男性の労働力人口は減少する一方、昭和60年(1985年)に女性の労働力人口は2,367万人だったが、40年弱で700万人以上の女性労働力人口が増加し、女性労働力人口の増加に伴い、女性の体調変化による課題が局所的に大きく顕在化した。女性特有の健康課題に苦しむ女性も増加している。
【令和4年 女性の年齢階級別労働力率(括弧内は前年比)】
• 25歳から64歳の5歳階級別において、比較可能な昭和43年以降、女性労働力率が過去最高
• 2012年と比較し、すべての年齢階級で労働力率は上昇
• 上昇幅が大きいのは、60〜64歳(▲18.2ポイント)、30〜34歳(▲12ポイント)、55〜59歳(▲11.2ポイント)となっており、全体の形はM字型から台形に近づきつつある
(出典:「厚生労働省 令和4年版 働く女性の実情」)
M字型というのは、日本女性の労働力率に見られる曲線形状のことである。以前は女性が結婚や出産をきっかけに離職し、家事や育児に専念する傾向にあり、その世代の女性労働力率が下がる傾向があった。
しかし、働く女性が増加し、現在ではM字型から台形に近づいている。下記グラフのピンク線(1982年)をみると、25歳〜34歳の数値が急激に下がっているが、赤線(2022年)は数値の動きが滑らかになっている。
【令和4年 女性の配偶関係別労働力率(括弧内は前年比)】
• 未婚者:67.6%、有配偶者:57.2%、死別·離別:31.5%
• 有配偶者は、前年と比べて、「65歳以上」を除く年齢階級において、労働力率は上昇
• 2012年と比較すると、すべての年齢階級で労働力率は上昇。女性の年齢階級別労働力率の底である「35〜39歳」も14.4ポイント上昇
(出典:「厚生労働省 令和4年版 働く女性の実情」)
2012年からの配偶関係別の労働力率の変化として、「30代&60代前半の配偶者のいる女性の労働力率の増加」がある。
しかし、共働き世帯の増加により、女性の労働力率が上昇しているが、雇用形態別雇用者数をみると、女性は正規の職員・従業員の割合が上昇しているものの、正規の職員・従業員が1,250万人(46.6%)に対し、「非正規の職員・従業員」が1,432万人(53.4%)と、非正規の職員・従業員の割合が多くなっている。
男性と比較し、女性の「非正規の職員・従業員」が多い理由は複合的であるが、育児や介護などの家庭的な責任は、女性が多く担っている傾向にあり、正社員よりも働き方の柔軟性が求められる。
また、一定数の女性は、家庭との両立を考えた際に、自発的に非正規雇用を選択しているケースもあるが、現実には男女間の格差や昭和のジェンダー観が根強く残っている場合も多い。人材不足を解消するために、女性の社会参加が求められている。
男性の家事・育児を後押しする一歩や、テレワークなど柔軟な働き方の導入はもちろんだが、個人の生活スタイルや価値観に合わせた人材マネジメントや公平な評価制度など、時代の変化の先をいく人材戦略が、人材不足を救う一助になると考えている。
著者
木村 恵
Femtech Community Japan理事。NewsPicksトピックスオーナー。 経営学修士(MBA)
フェムテックという分野が、女性(Female)が抱える問題をテクノロジー(Technology)で解決するために作られたように、あすか製薬は、女性(Female)が抱える問題を知識(knowledge)として世に広める活動に力を入れています。そして、私たちが伝えた知識を生かして、より良い明日のために行動変容することに対しても貢献したいと考えています。
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