2025.01.22
管理職は、個々のプレイヤーとは異なり、組織の運営や企業の成長という視点を持って業務にあたる必要があります。研修を受ける年代によっても目的は変わってきますが、ここではまず、管理職研修を通して学ぶべき代表的な事柄をご紹介します。
管理職としてチームをまとめるため、具体的で評価のしやすい目標を立て、設定する方法を学ぶことが、管理職研修の目的の1つです。目標設定を学ぶことで、組織の先約戦略を具体的な行動に落とし込み、成果を可視化できるようになります。
適切な評価、現実的で具体的な目標設定がなければ、組織全体として効率的に成長していくことはできません。管理職一人ひとりが十分なスキルを身につけることが重要です。
管理職が効果的にリーダーシップを発揮し、チームを目標達成に導くために、マネジメント力は欠かせません。管理職研修を通じて、論理的な思考力、情報の分析能力、意思決定などのスキルを磨き、チームや自分自身のマネジメントができるようになることが大切です。
管理職は、部下のマネジメントに注力しがちですが、適切にセルフマネジメントをおこなうことも組織として重要になります。時間管理、ストレス管理、タスクの順位づけなどは必須のスキルです。
また、コミュニケーション能力も、マネジメント力と密接に関係します。部下・同僚・上司との円滑なコミュニケーションは、風通しのよいチーム運営には欠かせません。
研修によりマネジメントに対する意識・理解を深めることで、現場でのスキルを発揮できるでしょう。
部下の育成は、管理職研修の中でも重要なテーマの1つです。チームで成果を上げるには指示を出すだけではなく、部下をまとめる力を身につける必要があります。管理職が部下に対して適切なコーチングやフィードバックをおこなうことで、チームとしての成長を促します。
部下のやる気をうまく引き出せない、ハラスメントになることを恐れて注意ができない、個性・特性に合わせた指導方法がわからないなど、管理職ならではの悩みは多いです。管理職研修を通じて、部下育成に必要な知識・方法論を学びましょう。
参考文献:管理職研修の目的(株式会社ジェイック)
管理職研修は、内部で行うもの・外部に委託するものに大きく分けられます。それぞれの違いや、メリットとデメリットについてお伝えします。企業にあった管理職研修を実施するための参考にしてください。
管理職研修の手法として、対面研修とeラーニングに大きく分けられます。対面研修も、社内で学ぶスタイルと、他社との人材交流をしながら学ぶスタイルがあり、どちらがよいかは、研修の目的や予算、時間的な制約などを踏まえて、企業ごとで検討していく必要があります。
管理職研修のプログラムで扱う内容としては、以下のようなものが挙げられます。
• 問題解決、計画立案のための思考トレーニング
• コミュニケーション
• リーダーシップやコーチング
• 人材育成、人材管理について
• リスクマネジメント
• マーケティング
また、管理職研修は1回受けて終わりではなく、複数回に分けて実施されることが多いです。1回ごとにテーマが定められ、講義を受けるシンプルなものから、グループワークやロールプレイングを実施するなどその種類は様々です。
一日で集中的に実施する研修の場合は、受講者同士の議論が深まるメリットがありますが、管理職が職場を長く不在にしなければならないという点がデメリットです。一方で短時間かつ複数回で実施する場合、1回あたりの時間的な負担は少ないですが、各回の間隔があくことで中だるみしてしまう可能性も否定できません。
管理職研修をおこなう場合、自社内で企画・運営を全て担う内部研修と、外部へ委託する外部研修に分けられます。それぞれにメリットデメリットがありますので、自社に合うスタイルを選び、よりよい研修を実施できるようにしましょう。
キャリア研修の外部委託状況と委託費用に関するある調査では、大手企業では、「一部を外部委託で実施している」が66.8%、「全てを外部委託している」が19%でした。一方で、中小・中堅企業では、「一部を外部委託している」が49.7%、「全てを外部委託している」が31.6%で、中小・中堅企業の方が大手企業と比較して全ての研修を外部委託している割合が高いという結果でした。
全体としてみても、一部の研修を外部委託する企業は約6割と多く、企業内でのリソース不足や、研修の種類が少ない・適切でないといった課題を抱えている企業が多いのが現状です。
では、内部研修と外部研修では実際どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
内部研修は、あらかじめ研修内容を自社内で企画できるため、自社の業務内容や課題に特化した実践的な研修をおこなえるのがメリットです。外部委託するよりも費用を抑えることもできます。
ただし、社内のノウハウだけでは成長に限界があること、社内講師の育成や資料作成に時間がかかってしまうのはデメリットと言えます。
外部の講師に依頼することで、より専門性の高い研修を受けられること、社内の人材だけでは生まれないような新たな視点から指導を受けられることが大きなメリットです。他社の事例などから学ぶことも多く、質の高い研修で管理職のスキルの底上げがはかれます。
一方で、費用がかさむこと、業務に直結しない内容の研修になる可能性があることなどはデメリットと言えます。
2016年に施行された女性活躍推進法により女性が管理職として活躍することも増えてきました。経済産業省でも、女性管理職育成に力を入れ、さまざまな施策がとられています。
企業における女性の採用・育成強化に関する経済産業省の施策の資料では、女性の採用・育成強化に特化した研修が必要なのは、リーダーシップ育成の機会が男性に配分されることが多い点や、女性自身が「昇進」へのイメージを持てていないことなどが原因です。女性の管理職が増えてきた中で、新たに定着させたい研修内容も見えてきました。
出典:企業における女性の採用・育成強化に関する経済産業省の施策(経済産業省)(2024年12月27日利用)
あるインターネット調査では、女性上司は男性上司と比較して、「相談しやすい」「私生活への配慮がある」といった評価が高い傾向にありました。女性が自信を持って管理職として働くために、新たに定着させていきたい研修を2つご紹介します。
令和4年度には、女性の昇進意欲やリーダーシップ向上を目指すため、企業を超えた業種横断のメンタリングプログラムが実施されました。経験豊富なメンターが、新任の管理職(メンティー)に対して指導や助言をおこなうことをメンタリングと言います。
このプログラムでは、メンタリングが半年間で4回実施されたほか、実践的なスキルアップセミナーなどもおこなわれ、昇進を望む女性の割合も、実施前は3割程度でしたが、実施後は7割程度にまで上昇しました。
「管理職になったら家庭との両立ができないのでは」「自分には務まらないのでは」といった不安を解消するために、メンタリングプログラムは非常に有効です。
出典:クロスカンパニーメンタリング実施に関するPLAYBOOK(経済産業省)(2024年12月27日利用)
部下の心身のSOSを見逃さないために、メンタルヘルス研修を受け、理解を深めておくことは重要です。メンタルヘルスの不調に早期に気がつけば、ストレス対策や職場環境の改善で予防に努めることができます。メンタルヘルスを良好に保つため、相談しやすい体制づくりや、コミュニケーションの見直しも欠かせません。
女性には、妊娠・出産に伴うキャリアの中断、女性特有の健康問題などの悩みも多いです。また、女性管理職を育成するためには、女性にとって長く働きやすい職場であることがまず必要になります。女性について理解を深めるためにも、メンタルヘルス研修の実施がおすすめです。
「フェムテック」は、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決するサービスや商品のことです。フェムテックを活用方法として、月経にまつわる不調を管理して業務スケジュールの調整に活かすことや更年期に伴う症状にわずらわされずに業務や生活を送ることが見込めます。フェムテックの導入で女性の業務のパフォーマンス向上が期待できます。
管理職になると、これまでとは異なった考え方やスキルが必要になります。よりよい管理職を育成するためには、研修内容も社内ニーズや時代に合わせて変化させなければなりません。
また、近年は、女性の管理職も増加しています。女性管理職が自信を持って働くために、そして、女性特有の悩みを解消していくために、管理職研修の内容をアップデートするとともに、フェムテックの活用も検討してみてはいかがでしょうか。
監修者
大迫 鑑顕
千葉大学大学院医学研究院精神医学 特任助教
Bellvitge University Hospital, Barcelona, Spain
医学博士、精神保健指定医、日本精神神経学会認定精神科専門医・指導医、日本医師会認定産業医、公認心理師
あすか製薬 フェムナレッジでは、女性従業員の活躍を推進するサービスを導入したい企業の皆さまや今後女性特有の健康課題に関する取り組みを検討されている企業の皆さま向けに動画研修サービスをご提供しております。
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