生産性向上とは?企業の取り組みやメリットを解説

2025.01.22

生産性向上とは何か?

生産性向上とは、限られた人員と限られた資源から最大の収益を上げることを意味します。
生産性向上が求められる背景には、少子高齢化社会にともなう労働人口の減少・国際競争力の低下・ワークライフバランスを求める従業員の価値観の変化などが挙げられます。
よく生産性の向上と業務効率化が混同されますが、生産性の向上を実現するために業務効率化を目指すという関係性になるように業務効率化は生産性の向上のなかの1つの手段として捉えられます。
以下では、各々について説明します。

アウトプットの最大化=生産性向上

生産性向上は、企業におけるより多くの商品やサービスを生み出したり、収益を増加させたりする取り組みを包括した言葉になります。
生産性という言葉は、「労働生産性」「資本生産性」「全要素生産性」など、さまざまな種類に分類されています。

インプットの最小化=業務効率化

業務効率化は3Mと呼ばれる「ムリ」「ムダ」「ムラ」を削減し、業務の合理化を目指します。
「ムリ」は、過密なスケジュールや能力以上の業務によって、従業員に過剰な負担がかかることを意味します。
「ムダ」は、予算やスケジュール、人員などに余剰が生じることを意味します。
「ムラ」は、季節などの時期によって仕事量に変化があることを意味します。
これらの3Mに対して、業務効率化を達成することで、企業は収益性や競争力を高めるだけでなく、従業員の負担軽減や働きやすい環境の提供も可能になります。

日本の労働生産性の現状と海外との比較

労働生産性とは、労働者が一定期間に生み出す成果を測る指標で、経済や企業の効率性を示す数値です。
労働生産性が高いほど、少ない労働で多くの成果を上げているという状況を表します。
以下では、日本の労働生産性の現状と海外との比較について説明します。

日本の労働生産性(構成書は就業者1人当たり名目労働生産性)は883万円

公益財団法人日本生産性本部が2023年に公表したデータでは、日本の労働生産性(就業者1人当たり名目労働生産性)は883万円という結果でした。
1970年には全体19位でしたが、2022年には30位まで労働生産性が低下しており、この数値はOECD加盟国の平均を下回り、特に欧米諸国と比較して低い水準にあります。

日本はOECD加盟国の平均を下回る傾向

日本の労働生産性はOECD加盟国の平均を下回り、欧米諸国と比較して低い水準にありますが、労働生産性が低い背景には、「長時間労働」、「デジタル化の遅れ」、「モチベーションの低下」、「勤務時間が給与のベースになっている」ことなどがあげられます。
このような現状を打開するためには、企業や国全体での取り組みが必要です。

参考文献:日本の労働生産性が低い本当の理由とは?改善方法から他国との比較まで徹底解説!(パソナ日本総務部)

生産性向上のメリット

ここまで日本に生産性の現状について説明をしてきました。
生産性を向上させることは、企業だけでなく従業員にもメリットがあります。

企業側の視点

企業側の視点では「従業員の離職率改善」「CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上」があげられます。

従業員の離職率改善

生産性向上の実現に向けて取り組む過程で、工程の見直しや設備、システムの導入による業務効率化が達成されると従業員1人あたりの負担を減らすことができます。従業員の負担が減少することで満足度が高まり、働きやすい職場として認識され、離職率の改善につながる可能性が高まります。
その他にも離職率が改善することで、新たな人件費や採用費などのコストカットも期待できます。

CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上

CX(カスタマーエクスペリエンス)は、顧客が商品やサービスを利用する際に得るすべての体験を指します。
顧客は商品やサービスの購入・利用前からすでに広告や口コミで体験をしています。また購入後は商品やサービスの使用感やカスタマーサービスなどの対応についても体験します。
CXを向上させることで、リピーターの獲得につながったり、新規顧客獲得につながったりします。
生産性が向上することで、確認作業や品質管理、サービス提供内容の振り返りなどに時間をさけるようになり、品質やサービス内容の向上につながります。
顧客からの信頼を獲得できれば、業界での顧客獲得が進みブランディングの向上につながり競争力を高めることにつながります。

従業員側の視点

従業員側の視点では「ワークライフバランスの向上充実」「賃金の上昇」があげられます。

ワークライフバランスの充実

生産性向上による業務の効率化は、残業時間の削減につながり、従業員の働き方改革に貢献します。またムリな業務に追われることも少なくなり、メンタルヘルスにも好影響を与えワークライフバランスの充実にもつながります。

賃金の上昇

生産性が向上すると、企業の利益が増加し従業員に利益が還元される可能性が高まります。
また生産性の向上により、高度な業務に取り組む機会が増えてスキルやキャリアを高めることができます。その結果、新たなスキルは賃金の上昇に貢献します。

生産性向上を実現するには?企業の取り組み

生産性向上は、企業にも従業員にもメリットがあります。
それでは生産性向上を実現するためにはどうしたら良いでしょうか。
厚生労働省は、生産性向上につながる、いくつかの成功事例を紹介しています。具体的な企業の取り組みとして、設備投資による省人化、デジタル化の促進、女性活躍の推進の3つをご紹介します。

出典:生産性向上のヒント集(厚生労働省)(2024年12月27日利用)

設備投資による省人化

建設会社の自動追尾型測量機の導入による省人化の取り組みです。
従来の測量機は2名の人員が必要でしたが設備の導入により、1名で測量業務を完結。他の業務にリソースを割くことで現場の効率が高まりました。その結果、社内で月100時間程度の労働時間の削減を実現しています。

デジタル化の促進による労働時間短縮

農業会社の帳簿の作成から発行までのデジタル化による労働時間の短縮の取り組みです。
これまで納品書・請求書・領収書を手書きで作成・発行していたことで販売量の増加に伴い従業員の負担が増大していました。そこで納品書・請求書・領収書の発行・管理システム及び電子端末を導入し、従業員の負担軽減と労働時間短縮に取り組みました。その結果、労働時間の短縮のほか、紙媒体で起こりやすい発注書の書き間違いの防止にもつながっています。

女性活躍の推進

3つめに紹介する事例は社会福祉・介護事業会社の時間単位の有給休暇制度の導入です。
時間単位の年次休暇を導入したことで、休暇を取得しやすい環境が構築され、1年間で時間単位の有給休暇取得率が5%向上しました。
生産性向上のためには、多様な人材の活用が不可欠です。その中でも女性の活躍を推進することは重要です。
時間単位の休暇を取り入れることで子育て世代の従業員が、子どもに関する急な用事も必要な時間で休暇を取得することが可能となり、柔軟な働き方を実現しています。

女性活躍のサポートに「フェムテック」の導入を

妊娠・出産、ホルモンバランスの変化、更年期障害など女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する商品やサービスであるフェムテックが誕生しました。
女性活躍のサポートに企業がフェムテックを導入することで、日常生活や仕事の負担を減らし、多様な人材の活用が可能になります。

まとめ

生産性向上は、日本企業が抱える労働生産性の課題を解決するための重要なテーマです。
設備導入やデジタル化の促進によって生産性の向上ならびに労働環境の改善を図ることで、企業だけではなく従業員にとってもメリットがあります。
また女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する商品やサービスであるフェムテックを導入することで、女性が安心して働きやすい職場になることで多様な人材の活用が可能となり、さらに生産性の向上に貢献できるでしょう。フェムテックの導入を検討してはいかがでしょうか。

監修者

profile

大迫 鑑顕

千葉大学大学院医学研究院精神医学 特任助教
Bellvitge University Hospital, Barcelona, Spain
医学博士、精神保健指定医、日本精神神経学会認定精神科専門医・指導医、日本医師会認定産業医、公認心理師

あすか製薬 フェムナレッジでは、女性従業員の活躍を推進するサービスを導入したい企業の皆さまや今後女性特有の健康課題に関する取り組みを検討されている企業の皆さま向けに動画研修サービスをご提供しております。

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