2025.02.24
快適で働きやすい職場環境は、従業員のストレス軽減や生産性向上に欠かせません。しかし、従業員のニーズと企業の提供する環境にギャップが生じている場合もあります。
本記事では、ワークライフバランスの充実やオフィス空間の快適化など、具体的な職場環境改善のアイデアを紹介します。
理想の職場づくりに向けて、今すぐできる一歩を踏み出しましょう。
職場環境等の改善とは、働く環境を良くして従業員のストレスを減らし、心身の健康を守るための取り組みです。働きやすい環境を整え、従業員のストレスが減ると、心身の健康状態が改善されるだけでなく、仕事の効率や成果も上がることが分かっています。
従業員が満足して働ける職場環境を整えることは、職員のストレスを軽減し、離職率の低下や生産性の向上につながります。
これに対し、職場環境の改善が進んでいない場合、従業員のストレスが増加し、生産性の低下や健康問題の発生を招くことがあります。そのため、現代の企業にとって職場環境の改善は、避けて通れない重要な課題と言えるでしょう。
職場環境を改善すると、従業員のモチベーションが高まり、企業全体のパフォーマンス向上につながります。働きやすい環境は従業員のストレスを減らし、仕事に集中しやすくなるためです。
また、良好な職場環境を提供する企業は、外部からも魅力的に映り、優秀な人材の採用や顧客からの信頼向上にもつながります。加えて、職場環境が改善されることで、従業員間のコミュニケーションが活性化し、チームの連携力も高まるでしょう。
現代の働き方には柔軟性や多様性が求められる一方で、従業員のニーズに応えきれていない企業も少なくありません。従業員の理想と現状のギャップを埋めるための具体的な改善が必要です。
ここからは、理想の職場とはどのようなものか、そして職場環境を改善するための具体的なアイデアを紹介します。
厚生労働省が提供するマイジョブ・カードが実施したアンケートによると、従業員が理想とする職場には、「給与面の待遇」が最も重視され、実に6割超の票を集めました。次いで、「ワークライフバランスの充実」や「良好な人間関係」など、働きやすい環境を求める声も多く、それぞれ4割超の回答が得られています。
これらの結果から、従業員は仕事の内容そのものだけでなく、収入や職場環境の快適さ、働きやすさを総合的に重視していることが明らかです。
出典:「約500人に聞いた!理想の働き方やキャリアアップ」(マイジョブ・カード)(2025年1月14日利用)
一方で、企業が提供する環境と従業員が求める環境には、しばしばギャップが生じます。
企業側は多くの改善策を導入しているつもりでも、それが従業員の実際のニーズに応えていない場合があります。このギャップは、企業が従業員の声を十分に反映できていないことが原因の一つと考えられます。
職場環境を改善するためには、具体的で実行可能なアイデアを取り入れることが必要です。
ここでは、従業員が理想とする職場で重視される要素に対して、企業ができる改善のための方法を紹介します。
従業員が仕事と私生活のバランスを取りやすい環境を整えることは、ワークライフバランスの充実につながります。
具体的には、フレックスタイム制やリモートワークの導入、有給休暇の取得推進などが挙げられます。これにより、従業員は柔軟な働き方が可能になり、仕事への意欲を高めることができるでしょう。
職場環境の快適さは、従業員の生産性に大きな影響を与えます。自然光を取り入れた空間や観葉植物を配置することで、リラックスできる雰囲気を作ることができます。
また、人間工学に基づいたデスクやチェアの導入は、従業員の身体的負担を軽減し、長時間作業を支えることが可能です。
職場でのコミュニケーションを円滑にすることは、働きやすい環境作りにとって必要です。
例えば、定期的な1on1ミーティングや、オープンな意見交換の場を設けることで、従業員が意見を言いやすい雰囲気を作ることができます。また、チームビルディングのためのイベントも、信頼関係を深める効果的な手段のひとつです。
従業員それぞれのライフスタイルや価値観に応じた働き方を尊重することも重要です。
育児や介護を抱える従業員には、在宅勤務制度や時短勤務の導入が効果的です。障害がある従業員のためには、バリアフリー環境の整備が求められます。また、外国籍従業員には、多言語対応や文化的背景への理解促進が重要です。
これらの多様なニーズに応じた取り組みを行うことで、すべての従業員が安心して能力を発揮できる働きやすい職場環境を実現できます。
健康課題への対応は、職場環境を改善するうえで重要です。生理(月経)や妊娠、更年期症状など、女性特有の課題への配慮を行うことで、従業員がより健康に働ける環境を実現できます。
長時間労働は心身に大きな負担を与え、過労死や過労自殺など深刻な健康被害の原因となります。
厚生労働省が公表する「過労死等防止対策白書」(2023年版)によると、長時間労働が原因とされる健康障害には脳・心臓疾患やうつ病などが挙げられています。長時間労働を防ぐためには、「ノー残業デー」の導入や業務効率化の推進、年次有給休暇の取得促進が必要です。また、労働時間を適切に管理するためのITツールの導入や管理職の教育も効果的です。
また、職場環境の健康課題改善には、定期的な健康診断の実施が重要です。医師による健康診断は労働安全衛生法で義務付けられており、生活習慣病や早期発見可能な疾患を未然に防ぐ効果があります。
厚生労働省によると、運動習慣のある者の割合は、男性で36.2%、女性で28.6%です。特に男性では30歳代、女性では20歳代が最も低い割合となっています。このことから、現状では運動習慣のない方の割合が依然として高いことがわかります。「健康日本21(第三次)」の目標である「運動習慣者の割合(年齢調整値)40%」を達成するためには、個人だけでなく職場での支援が重要です。
出典:令和5年国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)(2025年1月29日利用)
デスクワーク中心の働き方は運動不足を招き、生活習慣病のリスクを高めます。職場での取り組みとして、簡単に実施できるストレッチやエクササイズ、スタンディングデスクの活用、歩数を競う社内イベントなどが効果的です。また、社員食堂で栄養バランスの取れた食事を提供することや健康診断後のフォローアップを行うことで、生活習慣病の予防につながるでしょう。
職場における精神的健康(メンタルヘルス)の問題は、現代の働き方の中でますます重要性が高まっています。ストレスチェック制度が2015年から義務化され、企業は従業員のストレス状態を把握し、必要な対策を講じることが求められています。
具体的には、専門カウンセラーによる相談窓口の設置、社内研修の実施、ストレス解消を目的とした福利厚生プログラムの提供が推奨されています。
女性はそれぞれのライフステージで妊娠・出産、ホルモンバランスの変化、更年期症状など、女性特有の健康課題を抱えやすい傾向にあります。
女性の健康維持には職場での柔軟な対応が必要です。例えば、生理休暇の取得や妊娠中の体調に配慮した業務の調整、更年期症状に対する理解を深める社内啓発などが挙げられます。また、女性特有の健康課題への対応は、男女共同参画社会の実現にも寄与するでしょう。
女性が抱える健康問題やライフスタイルの悩みを解決する「フェムテック製品」の活用も効果的です。これらの取り組みにより、女性がより快適で安心して働ける職場環境を整えられるでしょう。
フェムテック製品には、生理(月経)周期を管理するアプリ、月経カップや吸収ショーツ、ホルモンバランスの変化を測定するデバイスなどが挙げられます。これらを職場で活用することで、女性従業員の働きやすさの向上が期待されます。
職場環境の改善によって、従業員のストレスを軽減させるだけではなく、生産性の向上にもつながります。現代の働き方に適応し、従業員一人ひとりのニーズに寄り添うことで、企業と従業員が共に理想の職場を実現できます。
女性はそれぞれのライフステージで、女性特有の健康課題を抱えやすい傾向にあります。女性社員への職場環境を改善するためにフェムテックの導入を検討することも良いでしょう。
職場環境の改善は、小さな一歩から始まります。今日からできることを見つけ、まずは行動を起こしてみましょう。
監修者
大迫 鑑顕
千葉大学大学院医学研究院精神医学 特任助教
Bellvitge University Hospital, Barcelona, Spain
医学博士、精神保健指定医、日本精神神経学会認定精神科専門医・指導医、日本医師会認定産業医、公認心理師
あすか製薬 フェムナレッジでは、女性従業員の活躍を推進するサービスを導入したい企業の皆さまや今後女性特有の健康課題に関する取り組みを検討されている企業の皆さま向けに動画研修サービスをご提供しております。
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