2025.02.24
「女性の活躍推進」が注目されており、日本の企業もジェンダー平等やダイバーシティの観点から、女性が働きやすい環境を整えることが求められています。
本記事では、女性活躍推進が企業や社会にどのような価値をもたらすのかを解説するとともに、企業が実践すべき具体的な施策について解説します。
2016年(平成28年)4月の「女性活躍推進法」が施行によって、女性の社会参画や活躍推進が注目されています。多様な働き方やダイバーシティが求められる現代において、女性が活躍できる環境を整えることは企業にとって重要な課題です。
以下では、女性活躍を推進するメリットや日本の現状について説明します。
女性の活躍を推進することで、企業にはさまざまなメリットがあります。組織の多様性が向上し、新しい視点やアイデアが生まれやすくなるため、イノベーションの創出につながるためです。
また、女性が働きやすい環境を整えることで、優秀な人材を確保しやすくなり、離職率の低下に寄与します。
内閣府の調査では、若年世代は就職先を選定する際に企業の「多様性、平等性、受容性についての組織方針」を重要視するというデータが発表されました。さらに、ジェンダー平等を意識した取り組みは、企業の社会的評価を向上させ、顧客や投資家からの支持を得る大きな要因にもなります。
日本では女性活躍を推進しています。それはなぜでしょうか。
世界経済フォーラム(WEF)が発表する「ジェンダーギャップ指数2024」では、日本は146カ国中118位という低い順位に位置していました。この指数は、経済、教育、健康、政治の4分野で男女間の平等性を測定するものですが、日本では特に政治・経済分野でのジェンダー格差が顕著でした。
こうした状況は、国際競争力の低下や経済成長の停滞につながる可能性があるでしょう。
日本国内の企業では、男女格差がさまざまな面で見受けられます。男女の賃金の差異もその一つです。
厚生労働省の発表する男女の賃金の差異に関するデータによると、女性の所定内給与額は男性と比較して、20%以上低いことが明らかになっています。また女性管理職の割合が他の先進国と比較しても低くなっています。
出典:男女間賃金差異に関する取組について(厚生労働省 雇用環境・均等局)(2025年1月29日利用)
このような状況は、女性のキャリア形成を妨げるだけでなく、企業全体の成長を阻害する要因ともなります。
企業内で女性の登用が進まない要因については、これまでに様々な検証がなされており、ある調査では、女性管理職の割合は上昇傾向にある一方で、『家庭と仕事の両立のしづらさ』や『女性従業員が昇進を望まない』といった課題が指摘されています。
その他にも、育児や介護などの仕事と家庭の両立の不安、そして職場内でのジェンダーバイアスが影響していると考えられます。
女性の活躍を推進することで企業にとってメリットが多くあります。一方で男女の賃金格差や、女性管理職が少ないことなど課題が山積しています。
これらの課題解決に向けた、企業の取り組みについて説明します。
女性活躍推進法は、職業⽣活において、⼥性の個性と能⼒が⼗分に発揮できる社会を実現するため、国、地⽅公共団体、⺠間事業主(⼀般事業主)それぞれの⼥性の活躍推進に関する責務等を定めた「⼥性の職業⽣活における活躍の推進に関する法律」です。この法律は2016年(平成28年)4月から全⾯施⾏されています。
女性活躍推進法は、企業に対し女性の活躍を促進するための行動計画の策定と、具体的な目標設定、職場環境改善の実施を義務付けています。
総務省が発表しているデータによると、日本において、女性は家庭内で家事に関連する時間を男性よりも多く割いていることが示されています。このような状況では、特に女性は仕事と家事の両立を迫られることとなってしまい、この課題に対しての支援が急務です。
女性が働きやすい職場を実現するためには、育児や介護と仕事を両立できる制度の充実が必要です。
例えば、育児休業や介護休業の取得を推進するほか、短時間勤務制度や託児所の設置、介護支援プログラムの導入などが挙げられます。また、男性の育児休業の取得を促し、家事や育児への参加を支援する取り組みも重要だと言えるでしょう。
柔軟な働き方を可能にするリモートワークやフレックスタイム制も重要な施策です。これらの取り組みにより、ライフステージに応じた働き方が実現し、女性が仕事と家庭を両立しやすくなります。
女性が活躍することによって、企業にイノベーションが起こりやすくなることは前述しました。
では、女性のキャリア支援とリーダー育成はどのような方法があるのでしょうか。
内閣府では、企業内で女性リーダーを増やすために、女性役員育成研修を実施しています。企業としては、このような研修への参加を促すだけでなく、社内で育成プログラムやメンター制度を導入することも効果的です。これにより、女性がリーダーとしてのスキルや自信を身につけ、キャリア形成を促進できる環境が整います。
社内での評価基準の透明性を高め、昇進や昇格において平等な機会を提供することが求められます。これにより、女性社員のモチベーション向上や、組織全体の活性化が期待されます。
男女差や男女の役割などについて無意識に思い込みや偏見を持ってしまうジェンダーバイアスを解消することも重要な取り組みです。
具体的には、採用や昇進の評価基準の見直し、性別に関わらず平等に成長機会を提供するためのメンター制度の導入などが挙げられます。これらの取り組みにより、すべての従業員が公平に能力を発揮できる職場環境の整備が叶うでしょう。
セクシャルハラスメントやマタニティハラスメントなどの問題を防ぐために、ハラスメント対策を徹底することが重要です。研修や相談窓口の設置を通じて、全社員が安心して働ける職場環境を構築しましょう。
男女のジェンダー平等を進める上で、多様性を尊重する企業文化の醸成は欠かせません。多様な価値観や働き方を受け入れることで、全社員が能力を発揮しやすくなります。
女性の活躍を推進するうえで、女性の健康課題に企業として向き合うことが重要です。
女性はそれぞれのライフステージで妊娠・出産、ホルモンバランスの変化、更年期症状など、女性特有の健康課題を抱えやすい傾向にあります。また、妊娠・出産や子育てといったライフイベントも、働き方に影響を与える要因となります。
フェムテック(Femtech)は、女性の健康問題を解決するための技術やサービスを指します。
生理(月経)や更年期症状の管理、妊娠・不妊治療の支援、女性特有の課題に対応する製品やサービスを企業が導入することで、女性社員がより健康的に働き続けられる環境を提供することができます。こうした取り組みは、女性の活躍やキャリアアップに貢献するでしょう。
女性活躍の推進は、企業の競争力を高め、社会全体の成長につながる重要な要素です。日本は諸外国と比較してジェンダーギャップが大きい国という指摘があります。
柔軟な働き方の導入やキャリア支援、職場環境の改善に加え、フェムテックを活用した健康支援など、多角的な施策を進めることが企業には求められます。女性が自分らしく働き、活躍できる社会を実現するために、企業の積極的な取り組みが必要です。
監修者
大迫 鑑顕
千葉大学大学院医学研究院精神医学 特任助教
Bellvitge University Hospital, Barcelona, Spain
医学博士、精神保健指定医、日本精神神経学会認定精神科専門医・指導医、日本医師会認定産業医、公認心理師
あすか製薬 フェムナレッジでは、女性従業員の活躍を推進するサービスを導入したい企業の皆さまや今後女性特有の健康課題に関する取り組みを検討されている企業の皆さま向けに動画研修サービスをご提供しております。
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