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女性のキャリア形成は難しい?現状の課題に企業ができる取り組みも

2025.04.23

近年、女性の社会進出は進みつつありますが、キャリア形成においては未だ多くの課題が残っています。結婚や出産・育児といった、ライフイベントと仕事との両立に悩む女性は多く、女性のキャリア形成は難しいと感じている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、女性のキャリア形成における課題や重要性、企業ができる取り組みを紹介します。

女性のキャリア形成における課題

キャリア形成において、女性ならではの悩みが尽きないのが現状です。
女性のキャリア形成を取り巻く課題について、詳しく解説します。

長く働ける企業はまだ少ない

厚生労働省の調査によると、出産を機に退職する女性の割合は30%にものぼります。
最も多い理由は「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた」というものでした。
この結果から、仕事と育児を両立できる企業が未だ少なく、女性側に負担がかかっていることが伺えます。
とくに大きな問題となっているのが、保育施設の不足や子供の病気への対応です。
子供が熱を出して早退や休みを取らなければならないときに、周りの理解が得られず居心地の悪さを感じる女性は多くいます。
「また休むのか」という周りの目や「子育て中は大事な仕事を任せられない」という判断で、徐々に重要な仕事から外されていくケースもあります。
こうした問題に取り組む企業は、まだ限られているのが実情です。より働きやすい環境づくりが、現在求められています。

出典:厚生労働省「育児・介護休業法の改正について

マミートラックを感じる女性が多い

出産後に職場に戻った女性が時短勤務や育児を理由に出世コースから外れ、昇進が難しくなることを「マミートラック」と呼びます。
男女共同参画局の調査で、46.6%の女性がマミートラックに直面していると発表されました。マミートラックに直面する主な理由は、以下のとおりです。

原因 詳細
時短勤務の影響 重要な仕事から外され、昇進の機会が減る
周囲への配慮 「無理をさせない」という思いやりが、逆にキャリアアップの機会を奪う
管理職への不安 長時間労働になる可能性があり、家庭との両立が難しい
女性管理職の少なさ ロールモデルが少なく、自分が管理職になっている姿を想像しにくい

こうした要因から、管理職への打診を断る女性は少なくありません。

管理職になることで「子どもとの時間が減る」「家庭との両立が難しくなる」という不安を抱える女性も多くいます。
マミートラックは、女性のキャリア形成における大きな問題です。女性でもキャリアを諦めずに済むよう、企業は早急に対策する必要があるでしょう。

出典:男女共同参画局「コラム2 (図2)現在のマミートラックの状況(女性、コース別、一皮むける経験別)

家事・育児の負担が大きい

男女共同参画局の発表で、6歳未満の子供を持つ夫婦の夫の家事育児に関わっている時間は、1日あたりわずか1時間程度という調査結果が出ています。
諸外国と比較して、日本の男性の家事育児参加時間は極めて低い水準にあります。
家庭内の役割分担に偏りがあるため、女性は仕事と家庭の両立に苦労し、理想のキャリアを歩めないケースが見られます。
たとえば、朝は子供の送り迎え、夕方以降は夕食の準備や片付けなど、仕事で疲れて帰宅しても休む暇がなく、自分のための時間を確保することが難しい状況だという人も多いでしょう。
共働き世帯が増えているにもかかわらず、家事育児の多くを女性が担っている家庭は少なくありません。
女性が仕事と家庭のバランスを取るには、パートナーの協力や家事育児への積極的な参加が必要です。
企業にも、男性の育児休業の取得を促進するといった、役割分担の見直しを後押しする取り組みが求められます。

本当に女性のキャリア形成は難しいの?

女性のキャリア形成には、育児や家事の負担、マミートラックなどさまざまなハードルがあるのが現状です。しかし、本当に女性のキャリア形成は難しいのでしょうか。
近年、「女性活躍推進法」の成立をはじめ、女性の活躍を後押しする社会的な動きが加速しています。
企業においてもメンター制度の導入やキャリアアップを支援する研修プログラムの拡充が進められており、女性社員が自らのキャリアプランを明確にし、具体的な目標を設定しやすい環境が整いつつあります。
また厚生労働省の調査によると、社員数30人以上の企業における女性役員の割合は、平成2003年には10.9%でしたが、2023年には14.0%まで上昇しました。
さらに、政府や企業の取り組みも進められています。

項目 内容
管理職比率の透明化

 企業の女性管理職比率を公表する方針(2024年12月現在)
 ・対象:従業員101人以上の企業
 ・目的:企業の状況を透明化し、女性の管理職登用を促進

政府の目標と行動計画

 2030年までに女性役員比率を30%以上にする目標
 ・企業に行動計画の策定を推奨
 ・目的:女性の活躍を促進し、企業の多様性を高める

こうした取り組みが進むことで、女性が管理職を目指しやすくなり、キャリアの選択肢も広がっていくでしょう。

出典:厚生労働省「企業調査結果概要

女性のキャリア形成の重要性

女性のキャリア形成を支援することは、企業にとって大きなメリットがあります。
さまざまなバックグラウンドや価値観を持つ人材が集まると、組織の多様性が高まり、市場の変化にも柔軟に対応できます。
その結果、企業の競争力向上にもつながるのです。
女性のキャリア形成の支援が企業に与える影響は、以下のとおりです。

内容 詳細
商品開発・サービスの向上 ・女性の視点を活かした商品やサービスが新たな顧客層を開拓
・男性中心の企業に、新しいアイデアや価値が生まれる可能性がある
職場環境の改善 ・女性が働きやすい職場は、社員全体の働きやすさにつながる
・育児や介護などの事情に配慮した柔軟な働き方が広がる
・企業イメージの向上につながる

また、女性が働きやすい環境を整えていると、企業の人材確保にもプラスの影響を与えます。

● 社員の満足度が上がり、優秀な人材が定着しやすくなる
● 女性活躍を推進する企業は、就職活動中の学生から評価が高い

女性が活躍できる職場は、社員全体の働きやすさにつながり、結果として企業全体の魅力も高まります。

 

女性のキャリア形成のために企業ができる取り組み

女性のキャリア形成を促進するには、以下のような企業の積極的な取り組みが必要です。

● 意識改革を行う
● キャリア形成の支援を行う
● 女性のコミュニティを作る

企業は、女性が能力を最大限に発揮できる環境を整え、継続的なキャリアアップを支援しなければなりません。
本章では、女性のキャリア形成のために企業ができる、具体的な取り組みについて解説します。

意識改革を行う

内閣府男女共同参画局の「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査(第5回)」によると、「管理職を目指したい」もしくは「どちらかというと目指したい」と回答した人は、男性が80.3%だったのに対し、女性は44.9%でした。
この結果から、管理職に対して消極的な女性が多いため、まずは企業が女性社員の意識改革に取り組む必要があります。

そのためには、以下のような環境を整備することが大切です。

項目 内容
管理職が働きやすい環境を整備する ・管理職の業務量を把握する
・特定の個人に負担が集中しないようにする
柔軟な勤務形態を導入する テレワークやフレックスタイム制度を導入する
社員に男女平等の意識を広げる 研修やセミナーを通じて、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)について学ぶ機会を設ける
※アンコンシャス・バイアスとは自分自身では気付いていない、ものの見方や捉え方のゆがみのこと
女性管理職を増やして、身近な目標となる存在をつくる ・女性管理職との座談会の開催
・社内報で活躍する女性管理職のインタビューを掲載する

このような取り組みを行うことで、働きやすい職場環境を整えられ、女性社員が将来のキャリアプランを描きやすくなるでしょう。

キャリア形成の支援を行う

企業は、女性社員一人ひとりのキャリアプランを共に考え、成長をサポートする必要があります。定期的な面談を実施し「3年後にはこんな仕事ができるようになる」「5年後にはこの部署の中心的な役割を担う」など、成長しやすい環境を作るために、女性社員がキャリアの方向性を明確にし、具体的な目標を立てるのが重要です。
また、若手のうちから計画的にジョブローテーションを行い、幅広い経験を積ませることで、より多くの知識とスキルを身につけられます。営業や企画など異なる部署での経験は、管理職に必要な視野を養ううえでも役立ちます。

キャリアアップの具体的な施策に関しては、以下のとおりです。

項目 内容
スキルアップ研修の実施 ビジネススキル、リーダーシップ、マネジメント研修など、スキルアップのための研修を提供
専門家によるセミナーやワークショップの開催 ・女性リーダー育成のためのプログラムの導入
・外部専門家を招いたキャリアデザインセミナー
メンター制度の導入 ・経験豊富な先輩社員がアドバイスを提供
・社内ネットワークの構築を支援

上記の機会を提供することで、女性社員が自分のキャリアに自信を持って意欲的に成長できるでしょう。
企業には、女性が能力を最大限に発揮できる環境を整え、長期的なキャリア形成の支援が求められます。

女性のコミュニティを作る

女性社員同士が気軽に話せる場を作ることは、仕事を続けるうえで大きな支えになります。
とくに管理職として活躍する先輩女性の体験談は、若手社員にとって心強い道しるべとなるでしょう。
同じ女性の立場から、育児と仕事の両立の工夫やキャリアの選択についてリアルな助言をもらえれば、今後の働き方の参考になります。
具体的には、ランチ会や相談会を開催して、仕事の悩みやキャリア相談の機会を作るのもよいでしょう。
また、他企業の女性社員や地域の経済団体など、社外の女性とのネットワークを広げることで、新たな視点を養えます。
こうした場を活用することで、社内外のつながりが生まれ、女性同士が支え合いながらキャリアを築く環境が整っていきます。
新しい知識や考え方に触れる機会を増やすと、より広い視野で働くことができるでしょう。

まとめ

女性のキャリアアップでは、長時間労働や出産後の昇進の難しさなど、多くの壁があります。しかし、女性の活躍を後押しする動きは着実に広がり、企業の考え方も変わりつつあります。
企業は、女性が働きやすい環境づくりを進めることで、組織全体の活性化につながり、すべての社員が能力を最大限に発揮できるようになるでしょう。
さらに今後は、働く女性の健康管理にも目を向け、心と体の調子を整えることも大切です。

「フェムナレッジ」では、女性の健康に関するコンテンツを提供しています。こうした情報を活用しながら、女性が自分らしく活躍できる職場づくりを積極的に進めていきましょう。

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