2025.03.31
企業における女性推進を図るのに導入したいフェムテックサービス。フェムテックに関心があるものの、どのような製品・サービスを導入すべきなのか分からない企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、フェムテックサービスの概要やその効果、具体的な製品・サービスの導入例について解説します。
フェムテックは「Female(女性)」と「Technology」を組み合わせた造語です。具体的には、女性特有の健康課題の解決を目指す製品・サービスのことを指します。
女性はライフサイクルごとに、生理(月経)にまつわる症状、妊娠・出産や不妊治療、更年期症状、といった健康課題を抱えています。これらの健康課題のなかには、疾病ではないものの、女性の継続的な就労に影響を与えるものも少なくありません。
とくに日本では、自身の健康問題について「他人に知られたくない」と考える女性が多く、一人で無理をしてしまう人も多くいます。フェムテックを活用することは、女性が健康課題に向き合い、生き生きと過ごすことにつながります。
現在、女性活躍を支援するために、フェムテックを導入する企業が増えてきています。ここでは、企業におけるフェムテック導入の現状や、その必要性について説明します。
近年、フェムテックが注目されているものの、実際に導入をしている企業はまだまだ少ないのが現状です。株式会社nanoniが報告している「フェムテック利用動向調査2022」によると、女性の健康課題対策に取り組む企業は、全体の72%でした。このうちフェムテック導入を検討している企業は、半分にも満たないと報告されています。
企業が女性の健康問題に着目する理由には、女性社員の健康支援に加え、ブランディングや健康経営が挙げられます。一方で、社員研修など女性の健康問題に対する啓蒙活動を行っている企業でも、「フェムテックについてよく知らない」とする回答が多くみられました。
また、そもそも女性の健康課題の解決サポートの優先順位が低い、人材や費用が足りないと企業が考えていることも、フェムテックの導入を阻める要因となっています。
出典:フェムテック利用動向調査2022(株式会社nanoni)(2025年2月18日使用)
フェムテックは女性個人のセルフケアにとどまるものではなく、企業の生産性向上にも貢献するものです。国内の企業における半数弱は、女性従業員が占めていますが、女性社員本人も、自身の健康課題について十分に理解していないケースが多くあります。女性がホルモンバランスに関連した体調不良に対応できなければ、パフォーマンス低下や就労の困難を招きかねません。
企業がフェムテックを活用すれば、女性社員や職場全体の健康課題に対する理解が深まります。適切な支援によって、女性社員が健康的に働き続けることができれば、企業の発展にもつながります。さらに、女性が長く働ける環境が整えば、離職率の低下やキャリアの継続が促され、慢性的な労働力不足を補える可能性も高まるでしょう。
また、女性にとって働きやすい職場は、企業の魅力を高め、採用力の向上やブランディングにも寄与するでしょう。フェムテックの導入は、企業の成長と持続可能な職場づくりにおいて、大きな役割を果たすといえます。
女性の健康にまつわる製品やサービスは多岐にわたります。なかでも、テクノロジーを用いているものが「フェムテック」に該当にします。フェムテックの具体的な製品およびサービスは次のものがあります。
生理(月経)に関連したフェムテックには、生理(月経)周期アプリ、基礎体温管理アプリがあります。また、生理(月経)の悩みに関わる専門家のオンライン相談、PMS症候群の緩和を目的にしたオンライン処方も該当します。
妊婦さんが利用できるフェムテックには、エコー画像アプリやオンライン相談及び処方があります。妊娠中は心身が大きく変化するため、手軽に専門家へ相談できれば妊婦さんの安心につながります。
不妊治療をしている女性向けのフェムテックには、基礎体温管理アプリのほか、不妊治療管理アプリがあります。女性の不妊治療は通院回数が多いため、スケジュールの把握に役立ちます。そのほかにも、卵巣年齢や膣内フローラの検査キットがあります。
産後の女性に便利なフェムテックが母子手帳アプリです。出産後は赤ちゃんの健診や予防接種など、多くのスケジュール管理が必要です。とくに乳児期は予防接種の種類が多く、受け忘れが生じることも少なくありません。母子手帳アプリは子ども成長記録だけでなく、健康管理にも役立ちます。
更年期女性に適したフェムテックには、体調管理アプリがあります。女性は更年期に向けて体調にゆらぎが生じやすく、業務に影響が出やすくなるものです。ほてり対策用のデバイスなど、女性の症状に適した製品もあります。
自社に合ったフェムテックは、企業によって異なります。さまざまな製品やサービスがあるからこそ、適切なフェムテックを導入しましょう。
実際にフェムテックを利用する際には、目的を明確にすることが大切です。女性の健康課題はさまざまで、製品・サービスも多岐にわたります。企業がフェムテックを導入するときは、まずは女性の健康課題について知ることが大切です。
女性社員のニーズを把握するには、必要時に応じて社員に対してアンケート実施やヒアリングも行いましょう。デスクワークや現場職など、女性の働き方によっても必要なフェムテックは異なります。女性の健康悩みに寄り添ったフェムテックを導入すれば、満足度も高くなるでしょう。
女性の健康の悩みに関連したフェムテックについて情報収集を行いましょう。フェムテックは比較的新しい分野であり、まだまだ知られていない製品やサービスが多くあります。テクノロジーは日々進歩しているため、最新の製品やサービスが開発されていることもあります。
フェムテックを導入する際は、他社の事例をみるのもおすすめです。実際に導入されたフェムテックの製品や、サービスの内容や導入後の反応も知る手がかりになります。
フェムテックについて知るには、「FEMTECH SUMMIT」「WEHealth」といったイベントやセミナーに参加する方法があります。専門家によるパネルディスカッション、最新の製品・サービスの展示など、フェムテックの最新情報や今後の動向を知ることができます。
女性社員の働き方は企業によって異なります。フェムテックは導入して終わりではなく、満足度を調査したり、女性が働きやすい仕事環境フォロー体制を整えてこそ、その効果を活かせます。女性社員の健康課題に寄り添いながら、フェムテック導入後の対応も忘れずに行いましょう。
自社でフェムテックの導入促進を図るには、国の補助金制度を利用するのもおすすめです。政府が行っている「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」では、フェムテックの開発企業や導入企業、自治体に対して補助金の支給を行っています。企業や自治体が連携することで、フェムテックの導入促進による女性の就労継続をサポートできるものです。
また、東京都中小企業振興公社は、女性の健康課題を解決するフェムテック製品・サービスの開発・普及を支援する助成事業を実施しています。この自治体の支援事業の助成額は最大2,000万円で、助成率は2/3以内です。
女性の就労支援や多様な人材獲得のために、企業間でもフェムテック導入が注目されています。企業におけるフェムテック導入は、女性社員の就労支援に加え、多様な人材確保にもつながるものです。企業が導入できるフェムテック関連の製品・サービスはさまざまあるため、まずは調査やヒアリングを通して、女社員のニーズを把握するようにしましょう。
あすか製薬の「フェムナレッジ」では、女性の健康課題に取り組むのに必要な動画研修を紹介しています。フェムテック導入前に女性社員の健康ニーズ把握にご利用ください。
監修者
大迫 鑑顕
千葉大学大学院医学研究院精神医学 特任助教
Bellvitge University Hospital, Barcelona, Spain
医学博士、精神保健指定医、日本精神神経学会認定精神科専門医・指導医、日本医師会認定産業医、公認心理師
あすか製薬 フェムナレッジでは、女性従業員の活躍を推進するサービスを導入したい企業の皆さまや今後女性特有の健康課題に関する取り組みを検討されている企業の皆さま向けに動画研修サービスをご提供しております。
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