2025.04.23
近年は「女性の活躍」という言葉を耳にする機会が増えました。
企業における女性活躍の推進は、企業が成長するために欠かせません。しかし、女性が十分に能力を発揮できているとは言い難い状況も見られます。
本記事では、以下について解説します。
● 女性が活躍している企業の特徴
● 女性活躍を阻む課題
● 企業が実施できる取り組み
女性が活躍している企業では、女性が企業の大事な決定に関わり、責任のある仕事を任される環境が整っています。
女性が活躍しやすい企業の主な特徴は、以下のとおりです。
項目 | 具体例 |
---|---|
女性管理職や女性従業員の比率が高い | 意思決定の場に女性が多く関わっている |
仕事と育児の両立を支援している | ・育児休業の取得促進、復職サポート、短時間勤務制度 ・企業内保育所の設置、ベビーシッター費用の補助 |
育児休暇の取得率が高い | 休暇を取得しやすい環境が整い、心身の健康を保てる |
柔軟な働き方を導入 | テレワークやフレックスタイム制を採用し、育児・介護との両立を支援している |
福利厚生の充実 | スキルアップ研修や健康増進プログラムなどを提供している |
女性特有の健康課題に関するサポートがある | 生理休暇や婦人科検診の費用補助、健康相談窓口などを設けている |
ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組み | 年齢、性別、国籍などにかかわらず、多様な人材が活躍できる環境づくりを進めている |
女性が活躍しやすい企業では、このような取り組みにより、女性が働きがいを感じながら活躍できる環境が整えられています。
ここでは、日経BP「日経ウーマンエンパワーメント広告賞」の結果をもとに、実際に女性が活躍している企業をランキング形式で紹介します。
順位 | 企業名 | 総合スコア |
---|---|---|
1 | 資生堂 | 79.14 |
2 | りそなホールディングス | 75.70 |
3 | 東京海上日動火災保険 | 75.65 |
4 | パソナグループ | 75.58 |
5 | アフラック生命保険 | 74.86 |
6 | 日本航空 | 74.18 |
7 | EY Japan | 73.53 |
8 | ゆうちょ銀行 | 73.40 |
9 | 住友生命保険 | 73.33 |
10 | 髙島屋 | 73.03 |
なかでも、上位5位である、以下の企業の取り組みを紹介します。
● 資生堂
● りそなホールディングス
● 東京海上日動火災保険
● パソナグループ
● アフラック生命保険
【主要企業の女性活躍推進の取り組み】
企業名 | 取り組み | 女性管理職比率 |
---|---|---|
資生堂 | ・女性リーダー育成塾 ・選抜型研修 ・メンタリングプログラム |
40.0%(2024年1月時点) |
りそなホールディングス | ・女性社員の声を経営に反映する「りそなWomen's Council」(諮問機関)の設置 ・メンタリング制度 ・女性支店長トレーニー制度 |
34.5%(2023年度) |
東京海上日動火災保険 | ・育児と仕事の両立支援 ・キャリアプログラム強化 ・メンター制度 |
24.8%(2023年) |
パソナグループ | ・女性活躍推進プログラム ・育児支援制度 ・ダイバーシティ推進 ・家事代行サービス(Kurashinityプロジェクト) ・女性の健康支援(乳がん、子宮頸がん検診費用の全額補助、婦人科系疾患に関するセミナー開催) |
47.8% |
アフラック生命保険 | ・女性の活躍推進プログラム ・家庭と育児の両立支援制度 ・ジェンダーバイアスの解消 ・スポンサーシップ制度 |
23.6%(2024年7月時点) |
これらの企業では、女性のリーダー育成やキャリア支援、育児と仕事の両立をサポートする施策が充実しています。管理職の比率向上や多様なキャリア形成の機会を提供することで、女性のさらなる活躍が期待できます。
女性が働きやすい環境づくりが進んでいる一方で、解決すべき課題も多くあります。
厚生労働省の調査によると、働く女性は増えているものの、管理職に占める女性の割合は依然として低いままです。課題として、以下があります。
● ワークライフバランスの実現が難しい
● 昇進に積極的でない女性が多い
● 女性特有の健康課題がある
本章では、企業での女性活躍を阻む課題を詳しく解説します。
仕事と家庭の両立は、女性がキャリアを築くうえで大きな課題です。
とくに子育てをしている女性は、急な子供の体調不良や学校行事への参加など、仕事の調整が必要な場面が多くあります。ワークライフバランスの実現は難しい状況です。
また、日本の女性管理職の割合が低く、身近にお手本となる女性管理職が少ない現状も問題となります。
長時間労働が常習化している企業では、育児と仕事の両立がさらに難しくなり、昇進をためらう女性が増える原因になっています。
管理職を目指しやすくするには、長時間労働を減らし、柔軟な働き方を導入するなど企業による労働環境の整備が必要です。
女性の管理職が少ない理由の一つに、女性の昇進に対する消極的な姿勢があります。女性の管理職のロールモデルが少ないことも、昇進への意欲を低下させる要因になっていますが、他の理由として、以下が挙げられます。
● 責任が重くなる
● 仕事量が増え、家庭との両立が難しくなる
この問題を解決するには、管理職向けの研修でマネジメントスキルを学ぶ機会を提供したり、すでに管理職として活躍している女性と面談の機会を設け、昇進後のキャリアを具体的にイメージできるようにしたりするとよいでしょう。
女性の健康に関する問題も、仕事に影響を与える場合があります。
● 生理痛(月経痛)やPMS(月経前症候群)による体調不良
● 更年期症状による疲れやすさや集中力の低下
これらの症状は個人差が大きく、痛みや不調があっても「我慢するべき」と考え、無理をして働く女性が少なくありません。しかし、無理を続けることで業務のパフォーマンスが下がったり、心身に大きな負担がかかったりするリスクがあります。
また周囲に理解されにくいことから「相談しづらい」「言いづらい」と感じ、ひとりで悩みを抱えこむケースも多いです。
企業は女性の健康について学ぶセミナーを開催して正しい知識を広めたり、産業医や保健師と連携して相談しやすい環境を整えたりするなどして、社内のサポート体制を作る必要があります。
出典:厚生労働省「職場における女性特有の健康課題」
女性が働きやすい職場を作るためには、以下のような取り組みが必要です。
● キャリア支援
● 制度の充実
● 多様な働き方の整備
● ヘルスリテラシーを向上させる
これらの取り組みにより、女性が安心して長く働ける環境が整い、企業全体の生産性向上にもつながります。
ここでは、具体的な取り組みの内容について解説します。
女性が活躍できる企業となるには、キャリア形成を支援する取り組みが欠かせません。
とくにリーダー育成のための研修や、経験豊富な管理職によるメンタリング制度は、女性のキャリアアップに役立ちます。
取り組み | 内容 | 期待される効果 |
---|---|---|
女性リーダー育成研修 | リーダーシップやマネジメントスキルの強化 | ・管理職への意欲向上 ・スキルアップ |
メンタリング制度 | 女性管理職が若手社員をサポート | ・昇進への不安軽減 ・キャリア相談 |
キャリア目標の明確化 | 一人ひとりの目標設定を支援 | ・モチベーション向上 ・キャリア形成の促進 |
社内公募、FA制度 | 希望する職種にチャレンジできる制度 | 多様なキャリアパスの実現 |
上記の施策を取り入れることで、女性が自信を持って昇進し、長期的なキャリアを築けるようになります。
女性が安心して長く働くためには、育児や介護との両立を支援する制度を充実させることが重要です。
仕事と家庭の両立を支援する制度があれば、女性の負担が軽減するだけでなく、優秀な人材確保や社員のモチベーションアップにより企業の成長にもつながります。
具体的には、以下のとおりです。
内容 | 詳細 |
---|---|
育児休業の取得促進 | 男性の育児休業取得を推進し、職場の理解を深める |
育児や介護の経済的負担を軽減する制度 | ・企業内保育所の設置 ・保育費やベビーシッター費用の補助 |
女性特有の健康課題への支援 | ・生理休暇の導入 ・婦人科健診の費用補助 ・健康相談窓口の設置 |
このような制度を整えることで、仕事とプライベートのバランスがとれ、女性が安心して働けるようになるでしょう。
女性が活躍するためには、多様な働き方ができる制度の導入が必要です。
仕事と家庭を両立しやすい環境を整えると、育児や介護の負担を抱える女性もキャリアを継続しやすくなります。
制度 | 内容 | 期待される効果 |
---|---|---|
テレワークの導入 | 勤務先以外の場所で業務を行える環境を整備する | 通勤時間を削減し、仕事と育児・介護の両立を支援する |
フレックスタイム制度 | 始業・終業時間を個人の都合に合わせて調整が可能 | ライフスタイルに合わせた働き方が実現 |
短時間勤務制度 | 育児や介護に応じて、勤務時間を柔軟に変更可能 | 仕事と家庭のバランスをとりやすく、離職防止につながる |
また、制度を整えるだけでなく、「長時間労働が評価される文化」から「成果を重視する評価制度」へ移行することも重要です。
仕事のパフォーマンスを適正に評価する仕組みを導入することで、勤務時間の長さにとらわれず、会社として生産性の向上が図れるでしょう。
また、経営陣が率先して柔軟な働き方を実践することで社員全体の意識変容につながり、働きやすい組織となるでしょう。
女性が活躍する企業にするには、ヘルスリテラシーを向上させるための取り組みも必要です。ヘルスリテラシーとは、健康への正しい知識を入手し、活用することを指します。
前述したように、健康課題は企業での女性の活躍を阻む原因になります。
ヘルスリテラシーが向上すれば、女性の健康への相互理解を生み、体調を考慮して柔軟に働ける環境が整うでしょう。必要なサポートもわかり、女性の健康課題によるパフォーマンスの低下も軽減できます。
女性が活躍する企業を目指すには、ヘルスリテラシーの向上にも取り組む必要があります。
女性が活躍している企業は、女性管理職の割合が高く、メンター制度が充実しているなどの共通点があります。
現在、女性の活躍には、仕事と家庭の両立の難しさ、昇進への不安といった、解決すべき課題が多く残っています。企業は課題に向き合い、女性が安心して長く働ける環境づくりを進める必要があります。
また、女性が活躍する企業にするためには、ヘルスリテラシーの向上も重要です。
「フェムナレッジ」は女性ホルモンと健康の関係や、女性の体の仕組みなどをわかりやすく説明しています。ヘルスリテラシーを向上させ、誰もが活躍できる企業風土づくりに役立ちます。
「ライフイベントを理由に退職する女性社員がいる」「女性が管理職を辞退する」など、女性の活躍に悩まれている企業の方は、お問い合わせください。
Mint+ フェムナレッジについての
お問い合わせはこちらから