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女性の働き方は変わった?女性が抱える悩みと企業が取るべき対応

2025.04.23

昭和から現在にかけて、女性の働き方は大きく変化しました。法律の整備や意識の変化によって、女性のキャリアの選択肢が広がり、社会進出が進んでいます。しかし、男性との賃金格差や家庭との両立、体調管理など、依然として課題を抱える女性は少なくありません。
この記事では、女性の働き方の変遷や直面する悩み、そして女性が働きやすい企業の特徴などについて解説します。

女性の働き方の変化

日本における女性の働き方は、昭和60年から現在にかけて、大きく変わりました。労働力人口に占める女性の割合の増加や法整備の進展、さらには女性自身の意識の変化など、働く女性を取り巻く環境が変わったのが要因になっています。これらの変化について、解説します。

働く女性が増えている

2023年(令和5年)の女性の労働力人口(働いている人と失業中の人の合計)は3,124万人と、1985年(昭和60年)の2,367万人から約750万人増加しています。それに伴い、労働力人口総数に占める女性の割合も、1985年の39.7%から令和5年には45.1%と、大きく増えました。
また日本はかつて、結婚・出産期にあたる25〜29歳及び30〜34歳に働く女性が減少する「M字カーブ」と呼ばれる状況にありました。しかし2023年には、「M字カーブ」の状況はほぼ解消されています。結婚や出産を機に仕事を辞める女性が減少し、キャリアを継続する女性が増えています。

出典:厚生労働省「働く女性の状況(令和5年)
   男女共同参画局「女性の年齢階級別労働力率の推移

進む法整備

女性の働き方を支援する法整備も、着実に進んでいます。2016年には、働く場面で活躍したいという希望を持つすべての女性が、個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目指す「女性活躍推進法」が施行されました。
主な内容は、以下のとおりです。

● 労働者301人以上の事業主は、女性の活躍に関する状況の把握、改善すべき事情についての分析、その結果を踏まえた行動計画の策定・公表・届出をおこなう
● 女性の活躍に関する情報の公表をおこなう
● 優れた取組を行う事業主の認定制度(えるぼし認定)を創設する

さらに女性活躍推進法は2022年に以下のポイントなどが改正され、より女性活躍を後押しする内容となりました。

● 101人以上の事業主に拡大
● 「男女の賃金の差異」など情報公開の内容の強化
● プラチナえるぼし認定の追加

また、女性の働き方改革に向けて育児・介護休業法の改正もおこなわれています。2025年4月1日からは、3歳未満の子どもを養育する労働者が在宅勤務を選択できるようにする措置が努力義務化されました。また、10月1日からは小学校就学前の子供を持つ労働者に柔軟な働き方ができる措置が取られるようになります。具体的には、時間外労働の制限が強化されたり、短縮勤務ができるように仕組みが強化されたりする措置です。
女性の柔軟な働き方・活躍を後押しする流れは、今後も続いていくでしょう。

出典:厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ
   厚生労働省「育児・介護休業法について

女性の意識の変化

働き方に対する女性の意識も、大きく変化しています。2022年の内閣府の調査では、20〜29歳の58.4%、30~39歳の69.1%、40〜49歳の65.8%が「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」と回答しています。1992年の26.3%から大きく上昇しており、多くの女性が子育てと仕事の両立を望む考え方に変わっていることが伺えます。
注目したいのは、20代よりも30代、40代の方が割合が高い点です。実際に子育てを経験した女性たちが、仕事を続ける意欲があることがわかります。意識の変化の背景には、女性の高学歴化、キャリアアップを目指す女性が増えたことなどが考えられます。

出典:男女共同参画局「女性が職業を持つことに対する意識の変化
   男女共同参画局「女性の就労に関する意識の変化(女性)

働く女性が抱える悩みとは?

近年、働く女性は増えています。法律も整備され、以前よりずっと働きやすくなりました。しかし働き方について、女性の悩みがすべて解決しているわけではありません。中でも男性との賃金格差やワークライフバランスの両立は、多くの女性が直面している悩みです。以下で解説します。

賃金格差がある

2023年時点で、日本における男性の正社員の賃金を100とした場合、女性は74.8と、男女の賃金格差はいまだに課題となっています。国際的にも日本の男女間賃金格差は大きく、OECD諸国の平均が88.4に対し、日本は78.7という結果です。
格差の原因としては、管理職に占める女性の割合が少ないことや、性別によって仕事内容に違いが出ている点が挙げられます。
日本企業の管理職に占める女性の割合はわずか13.2%で、現在、男性が多くを担っている状況です。
また、女性の非正規雇用率は53.4%と男性の22.2%を大きく上回っており、この点も賃金格差を広げる原因になっています。

出典:男女共同参画局「男女間賃金格差(我が国の現状)

ワークライフバランスの実現が難しい

また、育児や家事、介護の負担が女性に偏っていることが、働く女性のワークライフバランス実現大きな障害となっています。
6歳未満の子どもを持つ夫婦の1日の家事関連時間は、夫の1時間54分に対し、妻は7時間28分と大きな差があります。このような状況では、フルタイムで働くこと自体が困難といえます。「仕事を続けたい」という意欲があっても、「保育園に空きがない」「家族から理解を得られない」といった理由でキャリアを諦めざるを得ない女性もいるでしょう。
これには、介護の問題も関連してきます。女性が親や家族の介護を担うケースは63%と男性の30.6%よりも大きく、キャリアに影響を与えることも少なくありません。とくに、柔軟な働き方ができない企業では、影響が大きくなるでしょう。

出典:総務省「我が国における家事関連時間の男女の差
   男女共同参画局「家族の介護をしている者の推移

働く女性は体調面でも悩みを抱えやすい

女性特有の体調面に関する悩みも、働く女性の課題になっています。生理(月経)や更年期症状などの影響で、仕事や日常生活に支障が出るケースも少なくありません。体調面の主な悩みについて、詳しく解説します。

生理(月経)の不調による悩み

令和6年版男女共同参画白書によると、月経のある女性の8割が、月経不調により仕事や家事・育児・介護に支障をきたしたことがあると回答しています。特に20代・30代ではその割合が9割近くに達し、約4割の女性は「かなり支障がある」と回答しています。
また月経に関して、多くの女性が以下のような経験をしていることが分かりました。

● 経血の漏れが心配で業務に集中できない
● 生理用品を交換するタイミングを作りにくい
● 立ち仕事や体を動かす業務で困難を感じる
● 生理休暇を利用しにくい

周囲の理解が得られないことや、体調不良を訴えにくい職場の雰囲気も、女性にとって大きな心理的負担になります。
こうした問題に対応するには、個人の体調管理だけでなく、職場環境の配慮や理解も求められます。例えば、トイレ休憩を取りやすい職場環境の整備や休暇制度の活用促進など、企業側のサポートが必要になります。
また月経不調の症状は個人差が大きいため、一律の対応ではなく個々の状況に応じた柔軟な対応が必要です。さらに、月経前症候群(PMS)や月経困難症などの症状について、企業の理解が深まれば、女性が抱える悩みも軽減されるでしょう。

出典:東京都産業労働局「生理休暇は『名ばかり休暇』⁉取得を阻む職場の現状とは
男女共同参画局「令和6年版男女共同参画白書

更年期症状の悩み

更年期に伴う体調の変化も、多くの働く女性にとって大きな課題です。
更年期症状を自覚する女性の9割が日常生活に何らかの支障を感じており、約3割は「かなり支障がある」と回答しています。
更年期症状は、ホットフラッシュ、頭痛、めまい、不眠、イライラなど多岐にわたり、個人差も大きいのが特徴です。更年期に伴う症状は、仕事のパフォーマンスにも影響を与える可能性があります。また、働き盛りの世代にあたる40代〜50代の女性は職場でも重要な役割を担っているため、個人の健康管理だけでなく企業側のサポート体制も必要です。
さらに、正社員の女性の4割が「仕事や家事・育児等で忙しく、病院等を受診する時間がない」と回答しており、適切なケアを受けるのが難しい現状があります。更年期症状への理解を深め、柔軟な勤務制度や相談窓口を整備するなど、企業ができる支援を強化することが求められています。

出典:男女共同参画局「令和6年版男女共同参画白書

女性が働きやすい企業の特徴は?

女性が活躍しやすい社会を実現するには、企業が働きやすい環境を整えることが重要です。女性社員のモチベーションが向上し、長期的なキャリア形成をしやすい企業の特徴として、以下のようなものがあります。

● 多様な働き方ができる
● 制度を利用しやすい雰囲気がある
● 制度の改善を重ねている

それぞれの特徴を、詳しく見ていきましょう。

多様な働き方ができる

テレワークやフレックスタイム、育休制度など多様な働き方を支援する企業は、女性にとって働きやすい職場といえます。
テレワークは、通勤時間の削減や育児・介護との両立を可能にします。例えば、子どもの急な発熱時にも在宅で仕事を続けられるため、キャリアの中断を避けられます。
また、フレックスタイムは、通院や家庭の事情に合わせて勤務時間を調整できるため、育児や介護をしながらでも働きやすくなります。さらに、時短勤務制度はフルタイム勤務が難しい女性にうれしい制度です。
福利厚生も重要な要素です。例えば子どもが3歳まで育休が取得でき、一定の給与の保証をおこなっている企業もあります。また、健康診断や健康サポート制度があると、月経関連や更年期障害などの健康の悩みを抱える女性も働きやすいでしょう。

制度を利用しやすい雰囲気がある

柔軟な働き方を実現する制度があっても、職場がそれを利用しにくい雰囲気では意味がありません。「実際に制度を利用している社員がいること」「上司や同僚の理解があること」が重要です。
管理職や先輩社員が制度を活用している環境では、制度利用への心理的なハードルが下がり、女性が仕事と家庭を両立しやすくなります。また、子どもの急病や学校行事、体調不良などで急な休みや早退が必要な際にサポートし合える職場は、女性にとって安心して働ける環境といえます。

継続的に制度を改善している

導入した制度が現場でうまく機能しているかを定期的に見直し、社員の意見を反映して改善を続ける企業は、働きやすいといえます。
例えば、育児休業制度の後のキャリア支援がある企業では、休業後もスムーズに職場復帰できるため、女性がキャリアを継続しやすくなります。
また、テレワークの導入後に、コミュニケーション不足の課題が出た場合は、定期的なオンラインミーティングを導入することで働きやすくなるでしょう。
上記のような取り組みを続けることで、企業全体の働きやすさが向上し、長期的なキャリア形成が可能となります。

まとめ

女性の働き方は、社会の進展とともに大きく変化してきました。しかし、賃金格差やワークライフバランス、健康面での悩みなど、まだ多くの課題が残されています。これらの課題を解決し、女性が活躍しやすい環境を整えるためには、企業の取り組みが不可欠です。
とくに健康面への理解は重要であり、働く女性をサポートする上で欠かせません。

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