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卵子凍結の補助金制度を解説!企業の福利厚生としても導入できる

2025.05.07

「卵子凍結の補助金制度について知りたい」「補助金にはどのような種類があるの?」と思っている方もいるでしょう。卵子凍結は、将来の妊娠に向けた選択肢として注目されていますが、その経済的負担は軽いものではありません。
しかし、自治体や企業が提供する補助金制度を利用することで、負担を軽減できる可能性があります。本記事では、卵子凍結を検討している方に向けて、利用できる補助金の種類や費用、申請方法などについて解説します。企業が福利厚生として卵子凍結の補助金制度を取り入れるメリットや注意点も紹介していますので、参考にしてください。

卵子凍結とは?方法や費用

卵子凍結は、不妊治療ではありません。あくまでも、妊娠の選択肢を広げるための手段です。キャリア形成などさまざまな理由で妊娠や出産を先送りしたい女性にとって、卵子凍結は重要な選択肢となっています。ここでは、卵子凍結の具体的な方法や費用を見ていきます。

卵子凍結の方法

卵子凍結とは、将来の妊娠に備えて若い時期の卵子を凍結保存する医療技術です。
年齢とともに卵子の質や数は低下します。しかし、若い時期の卵子を保存しておけば、将来的な妊娠の可能性を高めることができます。
卵子はその都度新しく作られていると思われている方もいるかもしれませんが、実は、女性が生まれたときに生涯の卵子はすべて作られています。
私たちの体が年齢とともに老化していくのと同様に、卵子も次第に質が悪いものが増えていきます。質が悪い卵子では妊娠することが難しくなるため、あらかじめ凍結しておいて必要なときに使うのが卵子凍結です。

卵子凍結の一般的な流れは、以下のようになります。
1. 排卵誘発
2. LHサージ
3. 採卵
4. 凍結

卵子は通常、1周期につき1つしか作られません。しかし、1つずつ採卵して凍結していては時間がかかり、体への負担も大きくなってしまいます。そのため、排卵誘発を行い一度に複数の卵子を取れるようにします。
採卵する2日前に注射や点鼻薬を使って卵胞を成熟させ、その後卵巣から卵子を取り出して-196℃で凍結します。その後妊娠したいタイミングで卵子を解凍し、精子と受精させて培養した後、子宮の中に受精卵を戻します。

卵子凍結の費用

卵子凍結にかかる費用はクリニックによって異なりますが、大きくは初期費用と保管費用の2種類があります。
初期費用とは、初診料や採卵、凍結などに必要な費用のことで、平均39万円かかります。これとは別に、卵子の保管費用として年間約3万円が必要です。凍結保存期間が長くなるほど総額も大きくなるため、「いつまで凍結しておくか」を考えて卵子凍結を行うことをおすすめします。
さらに、凍結卵子を使用して妊娠を試みる場合は、融解費用や体外受精、杯移植などの費用も追加で必要になります。これらを含めると、卵子凍結から妊娠までのトータルコストは約100万になります。

卵子凍結には補助金制度がある

このように、卵子凍結は高額な費用がかかることがデメリットです。しかし、昨今の日本で出生率が低迷していることから、卵子凍結の補助金制度が作られました。

自治体の補助金制度

東京都をはじめ、各自治体では卵子凍結補助金制度が施行されています。東京都で施行されている補助金制度は、以下の2つです。

● 卵子凍結に係る費用への助成
● 凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成

卵子凍結に係る費用への助成は、卵子凍結を行った年に上限20万円まで助成金が支給される制度です。次年度以降は、保管更新時の調査に回答すれば1年ごとに一律で2万円(最大5年間)が支給されます。こちらは、東京都が開催する説明会へ参加したり調査に協力したりすることで受けられ、都内在住の18歳から39歳までの女性が対象となります。
凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成は、1回の卵子凍結につき上限25万円まで助成金が支給される制度で、支給回数は最大6回となっています(ただし、「以前に凍結卵子を融解し作成した凍結胚」を胚移植する場合は1回につき上限10万円)。こちらは、妻の年齢が43歳未満の方が対象で、生殖補助医療の開始日から申請日まで夫婦であること、生殖補助医療の開始日における妻の年齢が43歳未満であることなどが条件となります。

出典:「「卵子凍結に係る費用への助成」・「凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成」を開始
卵子凍結費用助成事業のご案内

企業の福利厚生としても導入できる

企業は、福利厚生として卵子凍結の補助金制度を導入できます。企業の社会的責任として、従業員のライフステージに配慮した環境を整えることが求められるようになってきました。
企業が提供する補助金はさまざまです。アメリカでは、2014年から卵子凍結の補助金制度を導入する企業が現れました。日本はアメリカから約10年の遅れを取り、ようやく補助金制度を導入する企業が増えてきました。
補助金制度を利用するには、41歳未満である、指定の医療機関で受診する必要があるなどいくつか条件を満たす必要があることがありますが、企業によって条件が異なるので確認しておきましょう。卵子凍結はプライバシーに関わることであるため、企業は、従業員が安心して利用できる環境を作る必要があります。

出典:「働く女性のキャリアを支援する卵子凍結に関わる福利厚生制度「エール制度」を新設 - 株式会社クロスリンク

企業が卵子凍結をサポートする理由

なぜ、卵子凍結のサポートを行う企業が増えてきているのでしょうか。「卵子凍結の補助金制度を導入しても企業にはメリットがないのでは?」と思う方もいるでしょう。しかし、卵子凍結の補助金制度を導入することは、女性だけでなく企業にも大きなメリットがあります。

女性社員のキャリア形成をサポートできる

企業は、卵子凍結の補助金制度を導入することで女性社員のキャリア形成をサポートできます。女性社員のキャリア形成と出産のタイミングは、多くの企業にとって重要な課題です。女性自身も「キャリアを失いたくないけど、子どもも欲しい」と悩んでいるケースが多くあります。
その際、卵子凍結の補助金制度があれば、「今すぐ出産か、キャリアを優先するか」という二者択一を迫られることなく、将来の選択肢を広げられます。特に、20代から30代にかけてのキャリア形成期に、出産に対するプレッシャーや悩みを軽減できるメリットがあります。
また、育児と仕事の両立支援策も組み合わせると、女性のライフプランに応じたキャリア支援が可能になり、女性社員の長期的な成長とキャリア構築を実現できる環境を整えられます。

企業のイメージアップにつながる

卵子凍結の補助金制度を導入して女性社員をサポートすることで、企業は社会的責任を果たせます。時代に合わせた福利厚生を提供する企業というポジティブなイメージを獲得することも可能です。
また、女性が多く活躍する企業としてイメージアップもできるでしょう。イメージが良くなれば、企業へ入社を希望する方が増え、人材確保にもつながります。性別や年齢、国籍などさまざまな人材を積極的に採用する企業として、投資家や取引先からの評価も高められます。
また、一般消費者にも企業理念や価値観をアピールするチャンスとなるでしょう。特に女性をターゲットとしたサービスを提供する企業にとっては、顧客との価値観の共有にもつながります。

従業員満足度と生産性の向上が期待できる

卵子凍結の補助金制度などの先進的な福利厚生は、従業員のエンゲージメント向上に直結します。将来に対する不安が軽減されることで、現在の業務に集中できるでしょう。
また、制度を利用して卵子凍結を行った社員の会社への定着率向上も期待できます。自分の人生や将来をサポートしてくれると従業員が感じることで会社への満足度がアップし、結果として生産性の向上にもつながります。ワークライフバランスへの配慮が求められるいま、卵子凍結のサポートはますます重要視されるでしょう。

卵子凍結の補助金制度を導入する際の注意点

企業が卵子凍結の補助金制度を福利厚生として導入する際は、いくつかの注意点があります。
まず、補助金制度の対象者と条件を規定する必要があります。年齢制限や勤続年数、雇用形態による適用条件を明確にしておくことで、公平性を担保します。
特に年齢制限については、医学的根拠に基づいた設定が重要であり、一般的には42歳程度までを対象とすることが多くなっています。
また、補助金を一律に設定するか、勤続年数に応じて段階的に増額するかなど、自社に合った制度設計を検討するべきでしょう。
次に、予算の確保が必要です。卵子凍結1回あたり約39万円かかることを踏まえ、年間の利用見込み人数と予算を試算しておくことが重要です。補助金制度の上限設定や年間の利用可能回数などを考慮し、財務的に持続可能な制度にしておかなければ、企業としてコスト面で大きな負担を抱えることになります。
中小企業の場合は、全額負担ではなく一部補助とするなど、企業規模に合わせた制度の設計を行う必要があります。
また、プライバシーに配慮した申請プロセスも準備しなければなりません。妊娠や出産はデリケートな事象です。他の従業員に気づかれずに補助金制度を使いたいと考える従業員もいるでしょう。
その際、従業員が安心して補助金制度を利用できる環境が整っていないと、せっかく導入しても利用率が上がらないケースがあります。
さらに、卵子凍結の補助金制度の福利厚生があることを周知する取り組みも不可欠です。卵子凍結に関する正しい知識や制度利用のメリット・デメリットも含めた情報を提供することで、従業員の理解を深めます。

出典:「「卵子凍結に係る費用への助成」・「凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成」を開始

まとめ

出生率を上げるため、卵子凍結の補助金制度が各自治体で施行されています。最近は、福利厚生として補助金制度を導入する企業も増えてきました。
卵子凍結の補助金制度を福利厚生に取り入れることは、女性社員のキャリア継続や従業員の満足度向上に効果的です。
女性にとって最良のワークライフバランスを実現させることで、生き生きと働ける環境を作れます。

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