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男性の育児休暇取得率はどのくらい?上げるための取り組みも紹介

2025.05.14

2023年4月から、従業員が1,000人を超える企業は男性の育児休暇の取得率などを公表するよう法律によって義務付けられました。そのため、近年では男性の育児休暇に大きな関心が寄せられています。
しかし、女性と比べると男性の育児休暇の取得率はまだまだ低いのが実情です。では、どうすれば取得率を上げることができるのでしょうか。今回は、男性の育児休暇の取得率や取得期間、取得率を上げるための取り組みについて解説します。

男性の育児休暇取得率と期間は?

男性の育児休暇取得率は、近年上昇傾向にありますが、まだ十分とは言えない水準です。厚生労働省の最新データによると、男性の育児休暇取得率は過去最高を記録しています。
しかし、女性と比較するとまだまだ低いのが実情です。では、具体的にどのくらいの男性が育児休暇を取得しているのでしょうか。取得率と期間を詳しく見ていきましょう。

日本の男性の育児休暇取得率

厚生労働省が公表している「令和5年雇用均等基本調査」によると、2023年度の男性の育児休暇取得率は30.1%でした。
2012年度からのデータを見てみると、ここ数年で育児休暇の取得率が大きく上昇していることが分かります。

西暦 男性の育児休暇取得率
2012年度 1.89%
2013年度 2.03%
2014年度 2.30%
2015年度 2.65%
2016年度 3.16%
2017年度 5.14%
2018年度 6.16%
2019年度 7.48%
2020年度 12.65%
2021年度 13.97%
2022年度 17.13%
2023年度 30.1%

出典:「令和5年度雇用均等基本調査

上の表を見ると男性の育児休暇取得率は大きく増加しているものの、男女間の差はまだまだ大きいと言わざるを得ません。

男性の育児休暇の期間

男性の育児休暇の期間は、2023年度のデータによると「1か月~3か月未満」が28.0%と最多です。
次いで「5日~2週間未満」が22.0%、「2週間~1か月未満」が20.4%という結果になっています。期間ごとの具体的な割合は、以下の表のとおりです。

  5日未満 5日~2週間 2週間~1か月未満 1か月~3か月未満 3か月~6か月未満 6か月~8か月未満 8か月~10か月未満 10か月~12か月未満 12か月~18か月未満 18か月~24か月未満 24か月~36か月未満 36か月以上
男性 15.7% 22.0% 20.4% 28.0% 7.5% 2.9% 0.8% 1.1% 1.4% 0.2% 0.0% -
女性 0.4% 0.2% 0.6% 1.8% 4.4% 4.6% 11.4% 30.9% 32.7% 9.3% 3.0% 0.6%

出典:「令和5年度雇用均等基本調査

女性の育児休暇の期間は、「12か月~18か月未満」が32.7%で最多となりました。男性の育児休暇取得率が上昇しているとはいえ、女性と比べると取得期間が非常に短いことが分かります。

【2025年4月法改正】貴社は大丈夫?男性の育児休暇取得率

2025年4月に男性の育児休暇取得に関す「育児・介護休業法」の改正が施行されるため、企業の対応が求められます。この法改正は、男性の育児参加を促進するために行われるものです。

男性の育児休暇取得率の公表義務が拡大

2023年度から、従業員数が1,000人を超える企業では男性の育児休暇取得状況を開示するように義務付けられました。
これが2025年4月の法改正により、常時雇用する従業員数が300人以上1,000人以下の企業にも義務化されるようになります。常時雇用されている従業員とは、期間の定めなく雇用されている方、過去1年以上引き続き雇用されている方、または雇入れから1年以上雇用されると見込まれる方を指します。
開示すべき情報には、「育児休業等の取得割合」や「育児休業等と育児目的休暇の取得割合」が含まれます。この他、「女性の育児休業取得率」や「育児休業平均取得日数」などをあわせて公表すると、自社PRにつながるでしょう。
「産後パパ育休」と「育児休業」を分けて計算する必要はなく、合算して問題ありません。
該当する企業は、年に1回、インターネットなど一般の方が簡単に閲覧できる方法で情報を公表する必要があります。公表場所は、厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」が推奨されています。

自社の男性の育児休暇取得率を確認しよう

法改正に備えて、まず自社の男性の育児休暇取得率を正確に把握する必要があります。取得率は、以下の式で計算できます。

公表前事業年度中に育児休業等を取得した男性労働者の数÷公表前事業年度中に事業者が雇用する男性労働者のなかで配偶者が出産したものの数

出典:「事業主の皆さまへ 厚生労働省

2023年度の男性の育児休暇取得率は30.1%でした。よって、取得率がこの数字を下回っている場合は、早急に改善策を検討する必要があります。取得率を確認する際は、単に数字だけでなく、取得しなかった理由や取得期間の傾向なども調査することが大切です。
例えば、「仕事が忙しくて取れなかった」「制度を知らなかった」「経済的に厳しかった」などの理由を把握することで、より効果的な対策を打てます。また、他社の取得率や業界平均と比較することで自社の位置付けを明確にし、目標設定の参考にしても良いでしょう。

男性の育児休暇取得率を上げるメリット

男性の育児休暇の取得推進が義務化されたのは、男性の育児参加率が低かったためです。2012年度から2019年度まで、男性の育児休暇取得率は一桁台しかありませんでした。
その分、女性に育児の負担がかかっていました。男性の育児休暇取得率を上げることで、法律に対応できるだけでなく、以下のようなメリットがあります。

女性の力が発揮される

男性の育児休暇取得率が上昇することで、育児の負担が夫婦間で適切に分担され、女性の社会進出と職場での活躍が促進されます。
出産後も女性が就労を継続しやすくなり、長期的なキャリア形成が可能になります。仕事に「女性の力」が加わることには、次のようなメリットもあります。

● 女性目線で消費者のニーズを把握しやすくなる
● 女性ならではの視点から物事を捉えることができる
● 生産性をアップできる
● 企業イメージの改善につながる
● 柔軟な働き方を取り入れる機会ができる

また、育児経験を持つ男性が増えることで育児中の女性への理解が深まり、より働きやすい職場環境を作るきっかけにもなるでしょう。これにより、女性社員の能力が発揮される土壌が作られ、結果として企業全体の業務効率化や売上アップにつながる可能性があります。
女性の活躍は企業の業績向上にも直結し、企業にとっても男性にとっても、そして女性にとっても良い状態を築けるでしょう。

仕事に好影響を与え生産性が向上する

男性が育児休暇を取得すると、時間意識が高まり、生産性の向上につながります。「自分も育児に参加しなければ」と意識する男性が増えることで、定時で仕事が終わるよう仕事の効率化を図るなどの意識変容が見られるためです。
また、育児休暇に入るにあたり他の社員に引き継ぎを行う必要性が出てくることから、情報の共有化が進み、チームワーク向上にもつながるでしょう。
育児経験を通じて得た忍耐力や臨機応変な対応力も業務に活かしてもらうことが可能です。ある大学の研究では、男性が育児休暇を取得することにより、仕事観や時間意識の変化を自覚したとの報告もあります。
さらに、男性の育児休暇制度が充実している企業は、人材の採用市場でも評価が高く、優秀な人材を惹き付けるのに有利です。

社員の家庭が安定する

男性が育児休暇を取得することで、育児の大変さや苦労を夫婦で分かち合うことができます。その結果、育児に対する男性の解像度が上がり、女性と同じ目線で育児に取り組めるようになるのも大きなメリットです。
女性と男性が平等に育児に参加することで、女性の育児ストレスが軽減され、夫婦仲が良好に保たれることが期待できます。
育児の初期段階から父親が積極的に関わるため、子どもとの絆をより一層深めることも可能です。育児を経験した男性は、家庭への満足度が高く、ワークライフバランスが取れた生活を送れるという厚生労働省のレポートもあります。
同レポートでは、家庭環境が安定すると、社員のメンタルヘルスも向上することから、仕事への集中力も高まるとされています。第一子の子育てを良好な環境で行うことができれば、第二子以降も育てやすくなるでしょう。一つひとつの企業が男性の育児休暇取得率を上げることで、少子化対策にも貢献できます。

出典:「男性の育児参加 ~あなたも今日からイクメンに~

男性の育児休暇取得率を上げるための取り組み

男性の育児休暇取得率を向上させるためには、企業側の積極的な取り組みが不可欠です。
単に制度を整えるだけでなく、社内の雰囲気づくりや職場環境の整備まで含めた総合的なアプローチが必要となります。ここでは、男性の育児休暇取得率を上げるための取り組みを3つ紹介しましょう。

育児休暇制度の拡充

男性の育児休暇取得率を増加させるためには、育児休暇制度を拡充することが大切です。
男性が育児休暇を取得しなかった理由で多いのが、「会社で育児休業制度が整備されていなかったから」「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから」「収入を減らしたくなかったから」というものです。
企業が育児休暇制度を拡充し、誰でも必要なときに必要な期間だけ育児休暇を取れる状態にしなければ、取得率は上がりません。また、育児休暇期間中の給与補償を充実させたり取得可能期間を延長したりするのも効果的です。
法律では、育児休業給付金として休業前賃金の67%(180日経過後は50%)が支給されますが、これに企業独自の給付を上乗せすることで経済的な不安を軽減しても良いでしょう。

出典:「男性の育児休業取得促進等に関する参考資料集
   「育休手当(育児休業給付金)って?いつからいつまで、いくらもらえる?

育児休暇を取得しやすい雰囲気づくり

育児休暇制度が整っていても、職場の雰囲気が取得を阻んでいる可能性もあります。育児休暇を利用しなかった男性641人を対象に理由を尋ねたところ、21.8%の方が「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから」と回答しています。
まず、育児休暇を取得しやすい環境を作りましょう。
社員研修で意識変容をうながすとともに、誰でも育児休暇を取得しやすい雰囲気を作ることが大切です。一番良いのは、経営層や管理職が率先して育児休暇を取得することでしょう。
これでロールモデルができるため、社員は気軽に育児休暇を申請しやすくなります。企業によっては、育児休暇取得を人事評価の一要素にしているところもあります。

出典:「男性の育児休業取得促進等に関する参考資料集
   「労働者調査 結果の概要

 

職場環境を整備する

育児休暇を取得しやすくするためには、一人の社員が長期間不在でも業務が滞らない職場環境を整備することが不可欠です。育児休暇を取得しなかった男性の中には、「残業が多い等、業務が繁忙であったから」という理由で取得できなかった方もいます。
また、「自分にしかできない仕事や担当している仕事があったから」と回答した方もいました。このことから、職場環境が原因で育児休暇を取れていない男性は少なくないと判断できます。
育児休暇を取っても業務が滞らないように人材を確保する、ITツールを導入して業務を効率化する、テレワーク制度を導入するなど、職場環境を整備しましょう。

まとめ

男性の育児休暇取得率は、2023年度は30.1%でした。これは、前年度の17.13%を大きく上回る数字です。しかし、女性の育児休暇取得率が同年度で84.1%であったことを考えると、男性の取得率はまだまだ高いとは言えません。
男性の育児休暇取得を促進するためには、育児休暇制度の拡充や育児休暇を取得しやすい雰囲気づくり、職場環境の整備などが重要です。

出典:「令和5年度雇用均等基本調査

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