- TOP
- 企業向けcolumn
- 企業に必要なヘルスリテラシー教育とは？重要な理由・実施方法を紹介
企業に必要なヘルスリテラシー教育とは？重要な理由・実施方法を紹介
2025.05.28
現代のビジネス環境において、従業員の健康管理は企業の生産性向上や組織の活性化に直結する重要な課題です。長時間労働やストレス、女性特有の健康課題などが顕在化するなか、健康に関する正しい知識を理解し、適切に活用する能力である「ヘルスリテラシー」の向上が求められています。
ヘルスリテラシーの向上は疾病予防や労働生産性の改善につながり、企業の医療費負担の軽減や健康経営の推進にも貢献します。本記事では、企業におけるヘルスリテラシー教育の重要性と、実施方法について解説します。
ヘルスリテラシー教育とは
ヘルスリテラシー教育とは、従業員が健康に関する情報を正しく理解し、日常生活や職場で適切に活用するための取り組みです。
日本では、欧米諸国と比較してヘルスリテラシーが低い傾向が指摘されており、誤った情報に影響されることで健康を損なうリスクが高まりがちです。
企業がヘルスリテラシー教育を導入する目的は、従業員が信頼できる健康情報を取捨選択し、自身の健康管理に活かせるようにすることにあります。これにより、生活習慣病の予防やメンタルヘルスの改善が進み、病欠や休職の減少につながります。
また、ヘルスリテラシーの向上により職場での相互理解が深まり、女性特有の健康課題への配慮や休暇の取得がしやすい環境づくりが促進されます。時短勤務やフレックスタイム制といった柔軟な働き方の制度が活用されやすくなり、多様な人材が長く働ける職場環境の実現が期待できます。
企業がヘルスリテラシー教育を推進することは、従業員の健康維持だけでなく、労働生産性の向上や採用力の強化にも寄与し、健康経営の推進において重要な役割を果たします。
企業でヘルスリテラシー教育が必要な理由
企業がヘルスリテラシー教育を導入する理由は、以下の2つです。
健康経営のため
健康経営とは、企業が従業員の健康を経営戦略の一環として捉え、積極的に健康管理を推進する経営手法です。従業員の健康増進は、労働生産性や企業価値の向上につながるとされています。
現在、国も健康経営を推奨しており、優れた取り組みを行う企業を「健康経営優良法人」として認定しています。
認定を受けることで、企業のブランド力向上や投資家からの評価向上が期待できるほか、採用面でも優秀な人材をひきつける要素となり得ます。
企業がヘルスリテラシー教育を導入することで、従業員の健康意識を高め、自発的な行動変容を促進できます。例えば、バランスの取れた食事や適度な運動習慣、ストレス管理を習慣化することで、生活習慣病やメンタルヘルス不調のリスクを低減し、病気による欠勤や休職を減らす効果が期待できます。
また、従業員の健康維持は、企業にとって医療費負担の削減や生産性向上にもつながります。健康を重視する企業文化が根付くことで、従業員のモチベーションやエンゲージメントが向上し、組織全体の活性化にも貢献します。結果として、企業の競争力強化や持続的な成長を後押しする重要な要素となります。
女性が活躍できる企業にするため
女性が働き続けるためには、月経、不妊治療、妊娠・出産、更年期など、ライフステージごとに異なる健康課題への理解が不可欠です。こうした課題に対する適切な対応ができる企業は、女性従業員の離職防止やキャリア継続を支援し、組織全体の生産性向上にもつながります。
ヘルスリテラシー教育を導入することで、女性自身が健康管理の知識を深められ、より早期から、自己ケアも含め適切な対応を行うことが可能になります。職場全体で女性の健康について正しい理解を共有することで、管理職や同僚が適切なサポートを提供できる環境が整います。
以下では、女性が長く活躍できる企業づくりのための、具体的な取り組みやポイントを解説します。
女性特有の健康課題の軽減
経済産業省の調査によると、約5割の女性従業員が生理や更年期などの健康課題により職場で困難を感じた経験があり、約4割が健康上の理由でキャリアや業務内容を諦めざるを得なかったと報告されています。
特に、生理痛やPMS（月経前症候群）、更年期症状、不妊治療、妊娠・出産といった健康課題は、仕事のパフォーマンスや継続性に大きな影響を及ぼします。
こうした課題に対する職場の理解が不足していると、女性従業員の負担はさらに増し、結果として離職のリスクが高まります。
ヘルスリテラシー教育を導入することで、より早期から自己ケアも含め適切な対応を行うことが可能になるだけでなく、周囲の理解が深まり、サポート体制が強化されることが期待されます。
例えば、生理休暇やフレックスタイム制度を活用しやすい環境を整え、健康相談窓口を設置することで、女性が無理なく働き続けられる職場づくりが可能です。
ワークライフバランスの両立
ヘルスリテラシー教育を導入することで、従業員は育児や介護といったライフステージの変化に柔軟に対応でき、心身ともに健康を維持しやすくなります。
例えば、育児中の従業員は、限られた時間の中で効率的に健康管理を行う方法や、ストレスを軽減するテクニックを学ぶことで、子どもの急な発熱や学校行事など、突発的な出来事にも落ち着いて対応できます。
また、介護に直面している従業員も、適切な医療サービスの選択方法やケアマネージャーとの連携方法などを理解することで、介護と仕事の両立における負担を軽減し、より良い働き方を実現できる可能性が高まります。
企業がこのような教育プログラムを提供し、フレックスタイム制度や在宅勤務制度などと組み合わせることで、従業員一人ひとりが、自身の状況や家族の都合に合わせた柔軟な働き方を選択できるようになります。
メンタルヘルスの維持
ヘルスリテラシー教育にはストレスマネジメントやメンタルヘルスの基礎知識も含まれており、従業員が自身の精神的な健康を維持するための具体的な方法を学べます。例えば、ストレスを感じた際の適切な対処法や、専門家のサポートを受けるべきタイミングを理解することで、不調の早期発見や適切なケアの実践が可能です。
企業が従業員にメンタルヘルス対策を周知し、相談窓口の設置やカウンセリングサービスを提供することで、必要なサポートを受けやすい環境が整います。
職場全体でメンタルヘルスへの理解が深まることで、上司や同僚が周囲の変化に気づきやすくなり、適切な声掛けやサポートが行われるようになります。
これにより、離職率の低下や職場の人間関係の改善につながり、結果として従業員の生産性向上や企業の持続的成長に貢献します。
ヘルスリテラシー教育の実践方法
ヘルスリテラシー教育を成功させるには、明確な目標設定と継続的なサポートが欠かせません。以下に、具体的な導入ステップを4つに分けて紹介します。
目標設定・現状分析
ヘルスリテラシー教育を効果的に進めるためには、目的を明確にし、従業員の健康課題を具体的に把握することが重要です。企業がどのような健康課題を解決し、どのような環境を実現したいのかを明示することで、従業員の理解と参加を促進できます。
まず、現状のヘルスリテラシーのレベルを把握するために、アンケート調査や個別面談を実施し、従業員が抱える健康に関する不安や課題を分析します。例えば「健康診断の結果を理解しているか」「ストレス対策を実践しているか」「女性特有の健康課題に悩んだ経験があるか」などを質問することで、職場における具体的なニーズを把握できます。
こうした調査結果をもとに、必要とされる教育内容を精査し、研修や啓発活動のテーマを決定することで、効果的なプログラムを実施できます。
目標を明確化し現状を正しく分析することが、実効性の高いヘルスリテラシー教育の第一歩です。
教育内容の設計
ヘルスリテラシー教育を効果的に進めるには、企業の健康課題や従業員のニーズに基づいて適切なテーマを選定し、優先度を考慮しながら段階的に実施する必要があります。
【主なテーマ例】
● 基礎的な健康知識：食事、運動、睡眠の管理
● ライフステージに応じた健康管理：妊娠・出産、更年期、育児、シニア期の健康管理
● メンタルヘルス：ストレス管理、心理的健康の維持方法
これらのテーマを軸に、産業医や保健師、外部の専門家と連携して実践的なプログラムを設計することで、従業員が職場で活用しやすくなります。特に、女性の健康課題やメンタルヘルスに関する知識は、育児支援やフレックスタイム制度と組み合わせると実践的な内容になり、学習意欲の向上が見込めます。
結果として、職場全体の健康意識が向上し、セルフケアの習慣化や業務効率の向上が期待できます。
教育プログラムの実施
ヘルスリテラシー教育は、ワークショップ、セミナー、オンラインコンテンツ、実習などを組み合わせ、従業員が継続的に学べる環境を整えることが重要です。
例えば、専門家とのワークショップではストレス管理や生活習慣改善の具体的な方法を学ぶことで実践に活かせます。ほかにオンラインコンテンツを活用すれば、勤務時間外でも学習が可能になり、知識の定着を促進できます。
フィードバック・継続的なサポート
ヘルスリテラシー教育は、定期的に実施し、継続的に知識を更新する仕組みを整えることが必要です。教育後は、アンケートで理解度を測定し、受講者の自己評価や進捗チェックを行うことで、浸透度を確認できます。
産業医や保健師による相談窓口を設置し、従業員が健康に関する具体的な相談ができる環境をつくることで、さらにきめ細やかなケアが可能になります。例えば、生活習慣の見直しやストレス管理に関する相談が増えれば、個別対応のセミナーを追加開催するなど、ニーズに応じて教育プログラムの改善が可能です。
管理職が健康教育にも参加し、社内ルールや制度の見直しに反映させれば、職場の改善につながります。ヘルスリテラシー教育の実施後も継続的に効果を検証し、実際の業務に役立てるための仕組みを整えましょう。
まとめ
従業員のヘルスリテラシー向上は、各自の健康意識の高まりだけでなく、企業の労働生産性向上や離職率低下にもつながるでしょう。
企業が知識提供と職場環境の整備を並行して進めることで、従業員が安心して働ける職場が実現し、人材の定着率向上や企業の成長につながります。
月経や更年期といった女性特有の健康課題に関する正しい知識を学べる「フェムナレッジ」を活用することで、セルフケアの実践が容易になり、体調に合わせた柔軟な働き方の実現が期待できます。
Mint+ フェムナレッジについての
お問い合わせはこちらから
