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メンタルヘルスとは?企業における必要性・具体的な方法をくわしく紹介

2025.06.25

メンタルヘルスケアは深刻な課題でありながら、目に見えにくく、評価も難しい側面があります。それぞれの従業員が置かれている環境や、人間関係は千差万別です。ルールやフローを策定した型どおりの対応ではなく、回り道に思えても個別にアプローチする必要があります。
本記事では、企業におけるメンタルヘルスの必要性と、具体的に実践できる方法を解説します。

メンタルヘルスとは

メンタルヘルスとは、心の健康を意味する言葉です。身体の健康が「体調管理」や「生活習慣の改善」を指すように、メンタルヘルスは「ストレスや精神的な負荷に対処し、心の安定を保つための取り組み」を指します。
厚生労働省の資料によると、メンタルヘルスは単に「心の不調を予防・改善すること」だけにとどまらず「誰もが自分らしく安心して暮らせる社会を築くこと」が重要とされています。

出典:「メンタルヘルスとは

心の不調は身体と違い、目に見えない部分が多いのも特徴です。そのため、適切なケアやサポート体制が整わないまま放置されると、従業員のモチベーションや生産性の低下につながりかねません。また、うつ病などの精神疾患に至ると、長期休職や離職のリスクが高まります。
企業としては早期発見・早期対応が求められる領域であり、個人の心の健康を守ることは、組織全体のパフォーマンス向上や働きやすい職場づくりにつながります。メンタルヘルスを健全に保つ取り組みは、従業員がいきいきと力を発揮できる基盤となります。

職場でメンタルヘルスが必要な理由

企業におけるメンタルヘルス対策は、単なる福利厚生ではなく、経営戦略やリスクマネジメントの観点からも欠かせない要素です。
メンタルヘルス対策が重要な理由を、以下の4つの視点で紹介します。

従業員が働き続けるため

令和5年の「労働安全衛生調査(実態調査)の概況」によると、令和4年11月から令和5年10月までにメンタルヘルス不調により1ヶ月以上職場を休業した労働者がいた事業所の割合は10.4%、メンタルヘルス不調により退職した労働者がいた事業所は6.4%にのぼります。
これらのデータから、メンタルヘルス不調が企業活動に直接的な影響を及ぼしている現状は明らかです。
メンタルヘルス対策に取り組んでいる各企業の具体的な施策として、従業員のストレス状況を把握するストレスチェックの実施や職場復帰における支援、事業所内での相談体制の整備などが挙げられます。また、ストレスチェックの結果から、ストレスの度合いの高い従業員への対応が必要とされています。
従業員が長く働き続けられる環境を整えるには、メンタルヘルス対策が不可欠です。早期に相談や対応ができる社内体制を整え、従業員の不調の芽を見逃さないことが職場環境の改善につながります。職場全体が協力して従業員の心の健康を守ることで、離職率の低減や長期的な人材確保にもつながります。

出典:「令和5年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況」

健康経営を実現するため

「健康経営」とは、企業が従業員の健康管理を経営的視点で捉え、戦略的に実践する手法のことです。日本健康会議*が認定する「健康経営優良法人」に選定されると、従業員の心の健康を守るだけでなく、社会的な評価も高まることにつながります。

*経済団体、医療府団体、保険者などの民間組織や自治体が連携し、行政の支援のもと、国民一人ひとりの健康寿命延伸と適正な医療について実践的な活動を行うために組織された活動体のこと。経済産業省と健康経営優良法人認定事務局が制度設計を行う。

メンタルヘルスケアに積極的に取り組むことで、組織内のコミュニケーションの活性化や従業員の健康意識の向上、従業員一人ひとりのモチベーションアップが期待できます。
生産性の向上や職場環境の改善は、さらなる離職率の低下や人材の採用にもよい影響を及ぼします。

出典:「健康経営優良法人認定制度

法的な責任があるため

企業には従業員の安全と健康を守る義務があります。実際、労働安全衛生法では常時50人以上の事業所に対し、年1回のストレスチェック実施を義務付けています。これは、従業員が自身のストレス状態を把握し、必要に応じて専門家の助言を受ける機会を提供するためです。
未実施の場合、労働基準監督署から是正勧告を受けたり、実施したものの労働基準監督署への報告を怠った場合には、50万円以下の罰金を科されたりする可能性があります。また、従業員のメンタルヘルス不調が労災認定されるリスクや、安全配慮義務違反による損害賠償請求の可能性もあります。
ほかにも、職場環境の悪化によりメンタル不調者が増加することで生産性の低下を招き、企業経営に深刻な影響を与えかねません。ほかに健康経営優良法人の認定にも影響を及ぼします。
従業員の健康と企業の持続的な成長の両面からも、企業はストレスチェックを適切に実施する必要があります。

出典:「労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」の具体的な運用方法を定めた省令、告示、指針が公表されました

女性活躍推進への責任があるため

現代社会では、企業に女性活躍推進が強く求められており、女性のメンタルヘルスは非常に重要な課題でもあります。
女性はホルモンバランスの変動やライフステージによる変化など、男性と比較してメンタル面で影響を受けやすい状況が多く存在します。例えば、PMS(月経前症候群)による心と身体の不調や、妊娠・出産や育児、更年期など、時期によって大きな心理的負担を抱えやすいのが特徴です。
こうした負担を理解し、社内制度やサポート体制を整えることで、女性従業員が安心して働き続けられる環境をつくれます。
単に「女性を雇用すればよい」というのではなく、実際に活躍してもらうためにはメンタル面への配慮が不可欠です。女性の活躍は企業の成長にも直結するため、企業の責任として取り組む意義は大いにあります。

メンタルヘルス支援の具体的な方法

従業員のメンタルヘルスを守り、働きやすい職場環境を整えることは、企業の生産性向上や人材の定着につながるため、積極的に取り組んでいくことが求められます。
ここでは、具体的なメンタルヘルス対策を4つご紹介します。

ストレスチェックを実施する

定期的なストレスチェック制度を導入し、従業員のメンタルヘルス状態を把握することは、心や身体の不調を早期発見するために有効です。アンケート形式の調査で、全体傾向や個別のストレス度合いを把握できます。
職場環境や業務負担がどのようにストレスへ影響を与えているのかを分析することで、具体的な改善策に取り組めます。必要があれば産業医や心理カウンセラーとの面談を設定し、従業員一人ひとりの環境に応じたサポートをしましょう。
問題が大きくなる前に企業側で手を打つことで、メンタルヘルス不調による休職や離職を未然に防げます。また、ストレスチェックを通じて従業員自身が自分のストレスレベルを客観的に知ることで、セルフケアの意識が高まり、健康的な働き方への取り組みも促進されます。

カウンセリングとサポートサービスの導入

企業内に専門の心理カウンセラーや産業医を配置したり、外部のEAP(従業員支援プログラム)と契約したりして、従業員が気軽に相談できる体制をつくることも重要です。
メンタルヘルス不調は、自覚症状や周囲の理解が得られにくいケースも多く、早期対応が遅れる要因になりがちです。社内に匿名で利用できる相談窓口やオンラインカウンセリングを用意し、プライバシーを気にせず相談できる環境を整えましょう。
外部EAPを導入することで社内の人間には話しにくい内容であっても、社外の専門家であれば相談しやすいといったメリットが期待できます。
ストレスチェックの結果を活用し、必要な従業員には専門家によるフォローを実施することで、メンタル不調の深刻化を防げます。また、管理職や人事担当者がメンタルヘルスに関する基礎知識を持ち、動画視聴サービスなどを利用して、適切に対応できるよう研修を実施するのも有効な方法のひとつです。

出典:「こころの耳 用語解説 EAP

フレキシブルな勤務制度の導入

過重労働や長時間勤務はメンタルヘルス不調の大きな要因です。テレワークやフレックスタイム制度、在宅勤務など、柔軟な働き方を取り入れることで、従業員のストレスを一定程度、軽減させることが期待できます。
また、休暇制度を拡充したり、有給休暇を取得しやすい風土をつくったりすることで、従業員の心にゆとりが生まれやすくなり、モチベーションや集中力の高まり、生産性の向上につながります。
業務負担が特定の社員に偏らないように業務分担の見直しを行い、適正な労働時間を維持する必要があります。従業員のメンタルヘルス不調を防ぐためには、企業文化として「長時間労働を良しとしない」という意識を根付かせることが重要です。

女性特有の健康課題に取り組む

女性には月経や更年期といったライフステージ特有の身体変化があります。月経前のイライラや更年期のホルモンバランスの乱れなど、精神的な不安定さにつながる症状も少なくありません。
生理休暇の取得や柔軟なシフト調整などを積極的に促すとともに、正しい知識を社内で共有することで、女性社員のメンタルヘルス維持や活躍促進につながります。
また、男性社員や管理職にも女性の健康課題についての理解を深める研修を実施し、健康経営の一環として、職場全体で健康に関する意識を高めることが長期的な企業の成長にもつながります。

出典:「働く女性の健康課題とその対策

もし不調者がでたら?

厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」によると、メンタルヘルス不調者がでた場合、以下のような流れで支援をすることが推奨されています。
まず体調が優れない従業員と早めに面談し、必要に応じて産業医やカウンセラーに相談して休業が必要かを検討しましょう。
休職に至った場合は、定期的に連絡を取り合いながら、主治医と連携して回復状況を確認し、復帰に向けた準備を進めます。職場復帰の際は「職場復帰支援プラン」を作成し、最終的な職場復帰を決定します。本人の希望と組織の状況をすり合わせ、無理のない形で業務に戻れるようサポートすることが大切です。
復職後も、一定期間は産業医との定期面談を設けるなど、再発を防ぐためのストレス対策や周囲の継続的なフォロー体制も整える必要があります。上司や同僚、産業保健スタッフが一丸となって協力し、従業員が安心して働き続けられる環境を整えることが、職場の心理的安全性を高めます。
きめ細かいフォローで再休職や離職を防止し、職場全体のメンタルヘルス向上を実現しましょう。

出典:「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き

まとめ

メンタルヘルスは、従業員がいきいきと長く働き続けるために欠かせない要素です。企業は対策を講じることで、離職率の低下や生産性の向上、さらに健康経営や女性活躍推進など、多くのメリットを得られます。

女性特有の健康課題やライフステージに関する情報を含め、従業員に必要な知識を伝える際は「フェムナレッジ」の活用も有効です。正しい知識と理解を社内に広げ、心身ともに健康な従業員が増えると、企業全体のパフォーマンスが高まります。
メンタルヘルス対策を強化し、誰もが前向きに働ける職場を目指しましょう。

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