2026.09.14
少子高齢化による人材不足や働き方の多様化が進むなか、従業員の健康を経営資源として捉える「健康経営」に注目が集まっています。
特に女性活躍推進に取り組む企業では、女性特有の健康課題への対応やメンタルヘルス支援、柔軟な働き方の整備などが重要なテーマとなっています。
本記事では、健康経営の基本的な考え方から、女性活躍につながる具体的な取り組み事例、さらに研修やセミナーに活用できる助成金制度まで詳しく解説します。
健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点から捉え、戦略的に実践する考え方です。
従業員の健康増進は個人の利益だけでなく、生産性向上や組織活性化、企業価値向上にもつながる重要な経営課題として位置付けられています。
健康経営が注目される背景には、
• 労働人口の減少
• 女性活躍推進への社会的要請
• 働き方改革の推進
• メンタルヘルス不調の増加
といった課題があります。
従業員が心身ともに健康な状態で働ける環境づくりは、企業の持続的成長に欠かせない取り組みとなっています。
出典:経済産業省「健康経営」
健康経営の最大のメリットは、従業員一人ひとりのパフォーマンス向上につながることです。体調不良や睡眠不足、ストレスの蓄積は集中力や判断力の低下を招き、業務効率にも影響を及ぼす可能性があります。
一方で、運動習慣の定着や食生活改善、メンタルヘルス支援などを通じて心身の健康状態が改善されると、欠勤や休職のリスクが低減し、生産性向上が期待できます。
また、従業員が「会社に大切にされている」と感じることでエンゲージメントも高まり、組織全体の活力向上につながることが期待できます。
近年は求職者が企業選びをする際、給与や福利厚生だけではなく「働きやすさ」や「健康への配慮」を重視する傾向があります。
そのため健康経営に積極的に取り組む企業は、採用市場においても魅力的な企業として認識されやすくなります。健康経営優良法人認定の取得や女性活躍推進に関する実績は、企業ブランドの向上にも役立ちます。
さらに、既存従業員の定着率向上にもつながるため、人材採用と人材定着の両面でメリットを得られます。
出典:経済産業省「ACTION!健康経営」
疾病やメンタルヘルス不調による休職・離職を防ぐことで、医療費や労務リスクの低減も期待できます。
健康経営の取り組みに決まった正解はありません。企業によって従業員構成や働き方、抱えている健康課題は異なるため、自社に合った施策を選ぶことが重要です。
まずは健康診断結果やストレスチェック、従業員アンケートなどを活用し、自社の課題を把握しましょう。そのうえで、優先度の高いテーマから取り組むことで、限られたリソースの中でも効果的に健康経営を進めることができます。
女性活躍推進において重要なのが、女性特有の健康課題に対する理解と支援です。
たとえば月経に伴う体調不良や不妊治療、更年期症状などは、本人が周囲に相談しづらいケースも少なくありません。しかし適切な支援制度や相談環境を整えることで、離職防止やキャリア継続につながることが期待できます。
近年では婦人科検診費用の補助だけでなく、更年期セミナーや女性専用相談窓口を設置する企業も増えています。管理職向けに女性の健康課題を学ぶ研修を実施することで、職場全体の理解促進も期待できます。
出典:厚生労働省「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」
メンタルヘルス対策は、健康経営を推進するうえで重要な取り組みの一つです。
ストレスチェックの実施に加え、その結果を職場環境の改善や従業員への支援に活用することが望ましいとされています。そのため、企業によってはフォローアップ体制の整備や、管理職が部下の心身の変化に気づき適切な対応につなげるためのラインケア研修を実施しています。
また、心理的安全性の向上を目指した職場づくりは、多様な人材が能力を発揮しやすい環境整備の一環として取り組まれることがあります。年齢や性別にかかわらず意見を発信しやすい環境は、従業員のエンゲージメントや組織運営に好影響を与える可能性があると考えられています。
睡眠は健康維持において重要な要素の一つであり、心身のコンディションや日中の活動に影響を与えると考えられています。
睡眠不足や睡眠の質の低下は、集中力や判断力に影響を及ぼす可能性があるため、従業員の健康管理の観点から関心が高まっています。そのため、企業によっては睡眠に関するセミナーや、生活習慣の見直しを支援するプログラムを実施しています。
また、睡眠に関する悩みや課題は個人によって異なりますが、女性ではライフステージに伴う身体的・心理的な変化が睡眠に影響する場合もあるとされています。このため、睡眠に関する支援は、従業員の健康維持や働きやすい職場環境の整備を考えるうえで、検討されることがあるテーマの一つです。
具体例
• 睡眠セミナー
• 睡眠に関する情報提供や生活習慣改善の支援
• 休憩スペース整備
• 睡眠習慣の啓発活動
身体活動や運動は、健康維持・増進において重要な要素の一つとされています。
定期的な運動習慣は、身体的な健康だけでなく、心身のコンディションの維持にも役立つ可能性があることから、多くの企業が従業員の健康づくり施策の一環として運動機会の提供や啓発活動に取り組んでいます。
具体例
• ウォーキングイベント
• 歩数チャレンジ
• フィットネス利用補助
• ストレッチプログラム
部署を超えたコミュニケーション活性化にもつながります。
食生活の改善は、健康維持や生活習慣病予防に関連する重要な取り組みの一つとされています。
具体例
• ヘルシー弁当提供
• 野菜摂取促進
• 健康的な飲料の提供
• 栄養セミナー
働きやすい職場環境の整備は、健康経営の施策の一つとして位置づけられています。
具体例
• ノー残業デー
• フレックスタイム制度
• 時差出勤制度
• テレワーク活用
育児・介護との両立支援にも効果があります。
従業員自身が健康管理を実践できるよう支援します。
具体例
• 健康セミナー
• 女性の健康課題研修
• 食事・運動・睡眠に関する情報発信
• eラーニング活用
健康経営や女性活躍推進を成功させるためには、制度整備だけでは不十分です。現場の管理職が制度の目的を理解し、適切に運用できる状態をつくる必要があります。
特に更年期症状や育児との両立、不妊治療などに関する知識が不足していると、本人への配慮が難しくなります。
研修を通じて管理職の理解を深めることで、働きやすい組織文化の醸成につながります。
具体例
• ダイバーシティ研修
• 女性健康課題理解研修
• 更年期マネジメント研修
• 両立支援マネジメント研修
組織文化の変革につながる重要な施策です。
健康経営施策の推進には一定の費用がかかります。しかし、各種助成金を活用することで負担を軽減できます。
健康経営を推進したいと考えていても、「予算が確保できない」「研修費用が高額になる」といった悩みを抱える企業は少なくありません。
そのような場合に活用できるのが人材開発支援助成金です。職務に関連する知識や技能習得を目的とした研修に対して、研修費用や訓練期間中の賃金の一部が助成される場合があるため、最新の支給要件を確認しましょう。
出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」
自治体によっては以下のような支援制度を設けています。
| 制度 | 活用例 |
|---|---|
| 人材開発支援助成金 | 管理職研修・メンタルヘルス研修 |
| 自治体助成金 | 健康経営推進施策 |
| 女性活躍関連支援制度 | 女性活躍推進研修 |
最新情報は自治体ホームページで確認しましょう。
助成金を活用することで、単発の研修ではなく継続的な人材育成施策へ発展させやすくなります。
たとえば毎年の管理職研修や女性活躍推進研修を計画的に実施したり、専門家による継続的な健康教育を取り入れたりすることも可能になります。
また、健康経営優良法人認定を目指す企業にとっても、研修体系の整備や健康リテラシー向上施策の充実は大きなメリットとなります。
健康経営を推進するためには、従業員向けセミナーや管理職研修、専門家による講演会など一定の費用が発生します。特に女性の健康課題やメンタルヘルス、ハラスメント防止といったテーマは専門性が高く、外部講師を招くケースも少なくありません。
人材開発支援助成金などを活用することで、こうした研修費用の一部について支援を受けられる可能性があります。その結果、予算の制約から導入を見送っていた施策にも取り組みやすくなり、より充実した健康経営施策の実現につながります。
健康経営は、一度セミナーを開催して終わりではなく、継続的な取り組みによって効果が高まります。しかし、毎年の研修費用や運営コストが負担となり、施策が単発で終わってしまう企業も少なくありません。
助成金を活用することで、経済的な負担を抑えながら継続的な教育機会を提供しやすくなります。たとえば、管理職向けラインケア研修を定期的に実施したり、女性の健康課題に関する学習機会を毎年設けたりするなど、中長期的な人材育成計画を立てやすくなる点も大きなメリットです。
女性活躍を推進するためには、制度整備だけでなく、従業員や管理職の理解を深めることが不可欠です。たとえば、月経や更年期、不妊治療といった健康課題について正しく理解している職場では、相談しやすい環境づくりや適切な配慮につながりやすくなります。
助成金を活用して研修やセミナーを実施することで、組織全体の理解促進を図ることができます。特定の担当部署だけでなく、管理職や経営層も含めて学ぶ機会を設けることで、多様な人材が活躍できる職場環境の構築につながるでしょう。
健康経営を定着させるためには、経営層のコミットメントが欠かせません。担当部署だけが推進している状態では、現場の優先順位が下がり、取り組みが形骸化してしまうことがあります。
経営トップ自らが健康経営の目的や方針を発信し、企業の重要な経営課題として位置付けることで、組織全体の理解と協力を得やすくなります。また、経営層がイベントや研修に参加する姿勢を示すことも、従業員の参加意欲向上につながります。
効果的な健康経営を実現するためには、自社が抱える健康課題を正しく理解することが重要です。
定期健康診断の結果やストレスチェックの集団分析、従業員アンケートなどを活用することで、生活習慣病リスクが高いのか、メンタルヘルス不調が課題なのか、女性特有の健康課題への支援が不足しているのかといった実態を把握できます。
課題が明確になることで、優先して取り組むべき施策も見えてきます。限られた予算や人員を有効活用するためにも、まずは現状分析から始めることが大切です。
健康経営の主役は従業員です。そのため、会社から一方的に施策を提供するだけでは十分な効果は期待できません。
たとえばウォーキングイベントや健康チャレンジ企画、オンラインセミナーなど、気軽に参加できる仕組みを導入することで参加率向上が期待できます。また、従業員の意見を取り入れながら施策を設計することで、「やらされる健康経営」ではなく「自分たちでつくる健康経営」へと発展させることができます。
健康経営は継続的な改善活動です。施策を実施した後は、その成果を定期的に振り返ることが重要になります。
たとえば健康診断の受診率や有所見率、ストレスチェック結果、離職率、研修参加率などを指標として活用し、目標達成状況を確認します。成果が出ている施策は継続し、効果が限定的な施策については改善を検討することで、より実効性の高い健康経営へと発展させることができます。PDCAサイクルを回し続けることが、健康経営を定着させるポイントです。
健康経営は一度にすべての施策を導入する必要はありません。まずは自社の課題を把握し、段階的に進めていくことが大切です。ここでは健康経営を導入する際の基本的な流れを4つのステップで紹介します。
健康経営は、従業員の健康増進だけでなく、生産性向上や人材確保、企業価値向上にもつながる重要な経営戦略です。
なかでも女性活躍を推進する企業にとっては、婦人科検診支援や更年期対策、メンタルヘルス支援、管理職教育などが重要な取り組みとなります。また、人材開発支援助成金などを活用することで、研修やセミナーを効率的に導入できる可能性があります。
まずは自社の健康課題を把握し、実施しやすい施策から健康経営をスタートしてみましょう。
健康経営の取り組みを推進するうえで、従業員への情報提供や教育機会の充実は重要な施策の一つです。
フェムナレッジでは、女性の健康課題や更年期をはじめとする健康テーマについて、企業研修に活用できる動画コンテンツを提供しています。健康経営優良法人認定の取得・更新を目指す企業や、従業員支援施策の充実を図りたい企業にもご活用いただいています。
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