生理痛体験デバイスによる「生理痛体験会」を開催した際、女性特有の痛み体験を通じて、共有できない痛みを認識して思いやるきっかけとなったという意見をいただいた。お互いの立場や視点で、物事を考える重要性を痛感し、電通ダイバーシティ・ラボから発行されたジェンダー課題チャートVol.2男性版から、男性の視点に注目して健康や家族に関する事項を、インフォグラフィック(情報を視覚的に表現する画像)でまとめてみた。
社会的な要因として、伝統的な「男らしさ」の観点から、体調不良を感じても周囲に弱音を吐く、医療機関を受診するのをためらう傾向がある。
また、長時間労働の割合が女性よりも高く、不健康な生活習慣に陥りやすいため、健康リスクを高めている。
男性の健康意識を高めるような、自治体や企業の取り組みが求められているのではないだろうか。
フェムテックの講演を実施した際に、よく言われるのが「女性の健康課題は、セクハラの懸念もあり、自分から話題にできない」「女性の健康課題を、女性から相談されても正直深掘りはできない。詳しく聞きづらい」という意見だ。
女性の健康課題は、男性には理解が難しい部分も多い。また、女性同士であっても話しづらいこともある。しかし、多くの女性は「周りが女性の健康課題について知識があると安心できる」と感じている。
女性の健康課題について知識がある人は、話題をタブー視せず、理解と共感を示すことができる。そのため、女性が悩みを打ち明けやすくなり、安心感を得られることで、孤独感や疎外感を解消できる。
フェムテックにおけるセクハラのリスク対策は、まずは男女とも自分自身が知識を身につけることが重要であり、周囲にも理解と共感を持ってもらうよう働きかけることが必要と感じている。
日本は性にまつわることがタブー視される傾向が強い。その背景として性教育の不足があるが、その背景には性についての話題を避ける文化的背景が影響している。
また海外と比較し、身体的知識だけでなく、人権やジェンダー平等も含めて幅広く学ぶ「包括的性教育」が不足している。
例えば、性教育先進国と言われるスウェーデンは、性教育は5歳からはじまり、幼児期から性にまつわる教育を行い、ジェンダーや権利にも焦点をあてている。さらにスウェーデンでは、教員資格を取るための教職課程で必ず「性に関する学び」が必須になってきており、そのような取り組みが日本でも求められている。
伝統的な性別役割分業により、男性は家計を支える責任を持つとされてきた。そのため、仕事を優先することが社会的に期待されている場合もある。
しかし、日本では女性労働者が10年で300万人以上も増加している。男女の働き方や意識を変革し、男性中心の労働慣行を見直すことで、家事・育児・介護などへの参画を促すことが求められている。そのためには、性別による固定概念をなくすための教育や啓発が必要である。
男性側の視点に注目して感じたのは、従来の「男らしさ」「性別役割分業」の影響もあり、女性より孤独を感じている男性が多いことだ。アンコンシャス・バイアス(性別による無意識の思い込み)をなくすために、まずはアンコンシャス・バイアスに気づいて知識を身につけることが必要である。
まずは、過去の発言や行動を振り返り、そこにアンコンシャス・バイアスが影響していた可能性がないか考えてみてはいかがだろうか。
著者
木村 恵
Femtech Community Japan理事。NewsPicksトピックスオーナー。 経営学修士(MBA)
フェムテックという分野が、女性(Female)が抱える問題をテクノロジー(Technology)で解決するために作られたように、あすか製薬は、女性(Female)が抱える問題を知識(knowledge)として世に広める活動に力を入れています。そして、私たちが伝えた知識を生かして、より良い明日のために行動変容することに対しても貢献したいと考えています。
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