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ヘルスリテラシーとは?日本の自己評価を上げるために考えること

ヘルスリテラシーとは何か?

Webメディアでの医療・健康情報の発信が増加するなか、私たち一人ひとりのヘルスリテラシーが重要視されています。
ヘルスリテラシーとは「自分自身の適切な健康に関する情報を探して、理解し、使える能力」ということを指します。この言葉は英語の「health(健康)」と「literacy(読み書き能力)」を組み合わせた造語です。

ヘルスリテラシーの定義

ヘルスリテラシーには現段階で固定された定義はなく、多くの研究者や団体の議論は続いています。
そのなかでも、Nutbeamが1998年に世界保健機関(WHO)のヘルスプロモーション用語集において提唱した「良好な健康状態の維持、増進のために必要となる情報にアクセスし、理解し、活用する個人の意欲や能力を決定づける 認知と社会的スキル」は、特に医療に関連する分野で最も多く引用されているヘルスリテラシーの定義と言えます。

参考文献:
健康教育の新しいキーワードとしてのヘルスリテラシー「Ⅱヘルスリテラシーとは」(産業医科大学産業保健学部 江口泰正)
Nutbeam D., Health Promotion Glossary. (Health Promotion International) 1998; 13: 349-364.

ヘルスリテラシーが重要な理由

前述した通り、現代では、医療・健康情報が入手しやすく膨大な量があふれています。
そのなかで、自分自身が必要とする情報に対して、その情報が適切であるのかどうかを見極め、そして、それを理解し使用することが求められます。
例えば、風邪の予防方法に関しての異なる複数の意見があった場合、どの情報が正しく、そして、どの情報が現在の自分の状態に対して適切であるのかを見極めたうえで、その後実際にその予防方法を試してみる、という過程が必要となります。
ヘルスリテラシーは、自分自身に適した選択をすることに繋がるため、より良い健康状態を保つためには欠かせない能力です。

ヘルスリテラシーを向上させるメリットとは

ヘルスリテラシーを向上させるメリットには、以下が挙げられます。

  • 日頃から基礎的な医療知識を身につけて病気や薬の正しい情報を調べて、治療のメリットとデメリットを理解できることで適切な判断ができる
  • 健康診断や検診を定期的に受診して、病気の予防や早期発見、早期治療を行える
  • かかりつけ医を見つけて相談して、必要な診察などの支援を受けることができる
  • バランスの良い食事や適度な運動を続けて、持病を悪化させずに済むため不要な医療費を削減できる
  • 健康に関する選択肢を広げることで、QOL(Quality Of Life:生活の質を向上させることができる

自分の健康を守るためにも、インターネットをはじめとした様々なメディアから真偽を見極める力を養うことが重要です。

出典:「ヘルスリテラシーを高めよう」(公益社団法人 東京都医師会)

日本独自に取り入れたヘルスリテラシー尺度とは?

世界中にはヘルスリテラシーの程度を測定するための尺度がありますが、須賀らが開発したHLS-14(14-item health literacy scale)という日本独自に取り入れた、日本人成人の「ヘルスリテラシー」の尺度があります。
14項目の質問に答えていくとヘルスリテラシーの程度がわかるようになっています。
さらにHLS-14ではヘルスリテラシーを3つ段階にわけて包括的に分析をします。
それは機能的ヘルスリテラシー・伝達的ヘルスリテラシー・批判的ヘルスリテラシーです。
以下では、それぞれの特徴について説明をします。

1. 機能的ヘルスリテラシー

基本的な読み書き能力と医療関連情報の理解力を指します。
例:処方箋や医療パンフレットを読んで正しく理解する能力。医療関係者から聞いた説明の内容がわかる。

2. 伝達的ヘルスリテラシー

健康に関する情報を収集して、他人に伝達したり、自分自身に適用したりする能力を指します。
例:医師の説明を家族に分かりやすく伝えることや、インターネットで信頼できる情報を探す力。

3. 批判的ヘルスリテラシー

入手した情報の信頼性や真偽を批判的な視点も含めて分析し、自分自身の健康行動に応用する能力を指します。
例:ダイエット食品や健康サプリメントの広告が信頼できるかの判断や、SNSやインターネット記事の真偽を判断する力。

出典:医療者と患者のコミュニケーション:ヘルスリテラシーを手がかりにして(厚生労働省eJIM)

ヘルスリテラシーを向上するには?

ヘルスリテラシーが向上することで、さまざまなメリットがあることを説明してきました。ここではヘルスリテラシーを向上させるための実際の行動について説明します。

エビデンスに基づく情報を見つける

現代では、医療・健康情報が入手しやすく膨大な量があふれています。しかし中には、エビデンス(科学的根拠)に乏しいものも少なくありません。エビデンスは、データや実験結果・観察記録・調査報告などから得られるものをもとにして分析し、情報の信頼性が高いことを示すものです。
厚生労働省やWHO(世界保健機関)、日本医師会などの公的機関のウェブサイト情報は正確で信頼できるものが多くあります。またその情報が、どのような論文や研究結果をもとにして主張しているのかを確認すると良いでしょう。

デジタル活用による情報収集力を高める

インターネットを利用することで、時間や場所を問わずに世界中のさまざまな情報に触れることができます。
最近では論文検索を実施してくれるAI機能サービスなどもあります。
自分の知りたい情報に関するインターネット記事や論文を収集してみましょう。信頼性の高い公的機関のウェブサイトなどをブックマークにしておくと、正しい情報に触れやすくなります。

コミュニケーションで適切な医療機関を見つける

医療関係者とのコミュニケーションは、適切な治療を受けるためにも大切です。
自分自身の体調や困っていることを正確に伝えましょう。また医療関係者から説明を受けるときに、わからないことはわからないと伝えることが重要です。
また医療関係者とのコミュニケーションを積極的に行い、質問や相談を通じて自分に合った治療法や施設を選ぶとよいでしょう。

女性特有の悩みにもヘルスリテラシーを活用する

女性は、妊娠・出産、ホルモンバランスの変化、更年期障害など、それぞれのライフステージで特有の健康課題に悩みや不安を抱えやすくなります。これらの健康課題がヘルスリテラシーを高めることで、適切に理解し対処することに役立ちます。

新時代のソリューション「ヘルスリテラシー×フェムテック」

こうした女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する商品やサービスであるフェムテックが誕生しました。
女性(Female)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語です。
全国的な認知度がまだ低いですが、フェムテックを導入する企業は年々増加しています。女性特有の健康課題に対するヘルスリテラシーを高めておくと、フェムテックの商品やサービスを利用しやすくなります。
適切にフェムテックを利用することで女性特有の悩みが解決できれば、日常生活や仕事の負担の軽減に繋がる事が考えられます。

まとめ

ヘルスリテラシーを向上させることは、自分自身の健康的な生活につながります。
エビデンスに基づく情報を見つける・デジタル活用による情報収集力を高める・コミュニケーションで適切な医療機関を見つけることが、このスキルを向上させるためにも重要です。
ヘルスリテラシーを向上させて、安心して医療や健康と向き合える力を身につけましょう。

監修者

大迫 鑑顕

千葉大学大学院医学研究院精神医学 特任助教
Bellvitge University Hospital, Barcelona, Spain
医学博士、精神保健指定医、日本精神神経学会認定精神科専門医・指導医、日本医師会認定産業医、公認心理師

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