生理(月経)や更年期症状など、女性特有の身体の悩みは多岐にわたります。職場でそんな悩みを誰にも打ち明けられず辛い思いをした経験があるという女性は少なくありません。
この記事では、企業が「女性の健康週間」を活用して、女性特有の健康課題について理解を深め、女性が職場でより働きやすくなるために企業としてできる取り組みを解説します。
厚生労働省は、毎年3月1日から8日までを「女性の健康週間」と定めています。この期間中、女性が健康で充実した生活を送れるよう、社会全体で取り組みや啓発活動が行われます。
女性の健康週間が定められた主な目的は、「女性の健康に関する知識を高めること」と「女性の健康課題について社会的な関心と理解を深めること」です。
厚生労働省の調査によると、健康寿命と平均寿命の差である「日常生活に制限のある期間」は、女性の方が長いことがわかりました。また、女性の健康に関するさまざまな課題が明らかになったことが、女性の健康習慣制定の背景にあります。ライフスタイルの多様化に伴い、対策の必要性が注目されるようになりました。
出典:健康寿命の令和4年値について(厚⽣労働省健康・生活衛生局健康課)(2025年1月29日利用)
女性の健康週間は、2005年に日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が、産婦人科医が女性の健康を生涯にわたり総合的に支援することを目的に創設しました。2008年からは、厚生労働省も協賛し、これまでにも様々な活動が行われています。
3月3日はひな祭り、3月8日は国際女性の日です。どちらも女性が主役となるこの2日間を含めた期間を「女性の健康週間」と定められました。
女性は男性に比べ、生理(月経)や女性特有の病気、妊娠や出産、更年期症状など健康課題が多く存在します。
近年、企業では従業員の健康を重視した「健康経営」に注目が集まっていますが、さらに質を高めるためには、女性の健康への配慮が欠かせません。社会全体でも女性の健康課題への関心が高まっており、働く環境やサポート体制の充実が求められています。
「仕事をするのは男性」という考え方は、昔のものとなりました。男女雇用機会均等法が施行されてから30年以上が経ち、女性の社会進出は大きく進んでいます。現在では、企業や組織の経営者の40%以上が女性となり、女性は産業の活性化や国の発展に欠かせない重要な役割を担っています。
こうした状況の中で、企業が女性の健康課題に積極的に関わる必要性も高まってきています。
従業員の健康は企業の生産性向上に直結します。企業や組織の経営者で女性の割合が増えたという話は前述したとおりですが、今や様々な分野の管理職においても女性の活躍が増えています。
これまで、女性と男性それぞれに特有の健康課題があることには、あまり注目されてきませんでした。女性が心や身体の変化を抱えながら仕事で最高のパフォーマンスを発揮するためには、職場でもサポートや工夫が必要なのです。
女性の定着率が高い職場は、女性にとって働きやすい環境である可能性が高いです。さらに、女性が働きやすい職場とは、男性にとっても働きやすいことが多いようです。
そのため、女性の定着率が高い企業は、採用市場でも良い印象を持たれやすく、優秀な人材を集めやすくなります。結果として、企業全体の人材力が向上し、成長にもつながります。
女性はライフステージによって、働く場所や時間が制限される場合があります。上昇志向を持っているにもかかわらず、管理職を目指しにくいと考える女性も多数存在しています。
女性の健康に関連する課題については、生活習慣病、がん、メンタルヘルス、骨粗しょう症などの発症リスクに性差があることが知られています。したがって、これらの悩みを軽減し、働きやすい職場環境を提供することができれば、女性のモチベーション向上に大きく貢献するでしょう。
女性の健康週間の期間中は、全国規模で様々な啓蒙活動が行われ、毎年幅広い情報が提供されます。具体的な取り組みとしては以下のものがあります。
女性に多い疾患として、子宮頸がんや乳がんがあげられます。
子宮頸がんは、20代後半から罹患率が増加し、40代でピークを迎える疾患です。発見が早ければ高い確率で完治を目指せるため、早期発見が重要です。一方、乳がんは30代後半から増え始め、40代後半から50代前半にかけてピークを迎えますが、こちらも早期の発見と治療で高い完治率が期待できます。
生活習慣病やがんの早期発見のためには、血液検査やがん検診、骨密度測定などの定期的な健康診断が活用されています。また、HPV(ヒトパピローマウイルス)やMR(麻疹風疹)の予防接種は、発がんリスクや妊娠中のリスクに関連する重要なワクチンです。これらの健康診断や予防接種には、国や自治体が補助を提供しています。ただし、内容や対象条件は地域や年齢によって異なります。
女性のライフステージを踏まえた女性向けセミナーやワークショップ等も多く開催されます。健康や栄養についての情報やキャリアアップに向けた講習会など、内容は多岐にわたります。周囲に相談しにくいセンシティブな悩みに対しても、話を聞いてもらえる場があることは、女性にとって非常に心強いものです。
現状では、フレックスタイム制やリモートワークを導入している企業は、少ないのが実情です。しかし、仕事内容によっては働き方の仕組みを工夫することで、女性の心身の負担を軽減できる可能性があります。
家事や育児と仕事を両立する大変さは並大抵のことではなく、このような取り組みは特に重要です。
国の定める法律の中に「育児・介護休業法」があります。この法律は、出産や育児、介護といったライフイベントがあっても、仕事を続けられる環境を整えるために定められており、これまでの改正を通じて制度がさらに充実してきています。
育児や介護を理由に仕事をあきらめる必要があると考えている人には、これらの制度に関する正確な情報を早急に伝えることが重要です。
フェムテックとは、女性を指す「Female」と技術を指す「Technology」を合わせた造語です。生理(月経)や更年期症状など女性特有の悩みを先進的な技術で解決することをいいます。
具体的には、ライフステージごとに訪れる女性特有の健康課題をテクノロジーによって解決する商品やサービス全般を指します。
フェムテック導入は、女性が様々なライフイベントと仕事を両立できる橋渡しとなり得ます。身体への不安が緩和されれば仕事へのモチベーションが高まりますし、従業員のQOL向上にも繋がります。
女性のキャリア形成の障壁を防ぐことにもなり、企業の生産性も向上するでしょう。
これからの時代、企業の成長を考えていくには女性の力が無くてはならないものであるという事実は誰もが認めることでしょう。しかしながら、多くの企業が女性の悩みに十分寄り添えているかといえば不十分といわざるを得ません。
女性特有の健康課題に目を向けようにもどうしてよいかわからない、という方はぜひフェムテックの商品やサービスをお試しください。
監修者
大迫 鑑顕
千葉大学大学院医学研究院精神医学 特任助教
Bellvitge University Hospital, Barcelona, Spain
医学博士、精神保健指定医、日本精神神経学会認定精神科専門医・指導医、日本医師会認定産業医、公認心理師
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