ブライト500に認定されることは、中小企業が優れた健康経営を進めるうえで大きな価値があります。しかし、現時点ではブライト500の認知度がまだ十分に広まっていないという課題もあります。
本記事では、ブライト500の認定基準や事例について解説します。女性の社会進出が進む中で、女性の健康を守りながら経営を進めるためのポイントも解説しています。ぜひ参考にしてください。
ブライト500とは、健康経営優良法人認定制度という経済産業省が推進する認定制度において上位500における企業に付加される称号のことです。中小企業が対象となっている点が特徴です。大企業が対象となるのは、ホワイト500です。
ここではブライト500の認定基準やホワイト500との違いについて解説します。
ブライト500に認定されるには、以下の2点を満たす必要があります。
①中小規模法人部門の健康経営優良法人として認定されること
➁ブライト500の認定基準をクリアすること
ブライト500の認定基準は主に次の5つです。
健康経営では、経営トップが従業員に対してどのように取り組み、継続できる体制を整えているか、また外部の専門家を活用して専門的に取り組んでいるか等がチェックされます。
これら5つの基準を細分化して15項目設けてチェックをしていきます。
通常の健康経営優良法人認定では、15項目中7項目を達成していることで認定されますが、ブライト500においては、13項目以上の評価項目を満たさなければなりません。加えて、必須項目については確実に条件を満たすことが必要です。
中小規模法人部門の詳細な評価項目と各条件は、下表の通りです。
評価項目 | 健康経営優良法人 | ブライト500 |
---|---|---|
①定期健診受診率(100%) | ①~③のうち2項目以上 | ①~⑮のうち13項目以上 |
②受診勧奨の取り組み | ||
③ストレスチェック実施 | ||
④管理職・従業員教育 | ④~⑦のうち1項目以上 | |
⑤ワークライフバランス推進 | ||
⑥職場コミュニケーション促進 | ||
⑦仕事と治療の両立支援 | ||
⑧保健指導・特定保健指導の実施 | ⑧~⑮のうち4項目以上 | |
⑨食生活の改善 | ||
⑩運動機会の増進 | ||
⑪女性の健康保持・増進 | ||
⑫長時間労働者対応 | ||
⑬メンタルヘルス不調者対応 | ||
⑭感染症予防対策 | ||
⑮喫煙率低下・受動喫煙対策 | ||
健康宣言の社内外への発信及び経営者自身の健診受診 | 必須 | 必須 |
健康づくり担当者の設置 | 必須 | 必須 |
(求めに応じて)40歳以上の従業員の健診データの提供 | 必須 | 必須 |
健康経営の具体的な推進計画 | 必須 | 必須 |
受動喫煙対策に関する取り組み | 必須 | 必須 |
健康経営の取り組みに対する評価・改善 | 必須 | 必須 |
定期健診を実施していること、50人以上の事業場においてストレスチェックを実施していること、労働基準法または労働安全衛生法に係る違反により送検されていないこと、等 | 必須 | 必須 |
なお、認定基準等については年によって変わることがあります。現に令和6年度からは認定を受けるためにフィードバックシートの開示が必須となりました。
出典:「健康経営銘柄2025」及び「健康経営優良法人2025」の申請受付を開始しました(経済産業省)(2025年1月13日利用)
ホワイト500とはブライト500同様に経済産業省が推進する健康経営優良法人認定制度において上位500における企業に付加される称号のことです。
ブライト500の認定制度は2021年に始まりました。一方、ホワイト500は健康経営優良法人認定制度の開始と同じ2016年から始まっており、ホワイト500の方が歴史は長いといえます。
ブライト500とホワイト500の違いは企業規模です。ブライト500は中小企業が対象で、ホワイト500は大企業が対象となります。なお、認定基準はどちらもほぼ同様です。
経済産業省が推進する健康経営優良法人認定制度で認証を受けているブライト500、ホワイト500は認定されると「健康経営優良法人」ロゴマークを名刺やホームページなどに使用でき、一目で認定されていることが分かります。
ブライト500やホワイト500に認定された企業が、先導を切って健康経営の考え方や取り組みを発信することで、認定を目指している企業の健康経営の意識を高める存在になることが期待されています。
ブライト500に認定されるとさまざまなメリットがあります。最大のメリットは、企業のイメージアップにつながることです。ブライト500の認定を受けているかどうかは、付加されたロゴで第三者も判断できます。
例えば消費者の場合、このロゴがついている優良企業が作った商品ならば購入したい、サービスを使いたいと思うようになるでしょう。また、ビジネスパートナーや金融機関・投資家からの信用や評価へもつながります。さらに、優良企業への就職や転職を希望する優秀な人材も集まりやすくなり、経営をよりよいものにできるでしょう。
また、現時点で働いている雇用者の健康を守ることで信頼を獲得できます。その結果、早期離職の防止につながり、経営の安定にも貢献できるというメリットがあります。
ブライト500は年々発展を遂げており、今後の展望についても見逃せません。ブライト500認定されることで、企業において健康経営が促進され、従業員の健康意識が向上するほか、社会全体として健康経営の普及に貢献することが期待されます。
ここからは、ブライト500における今後の展望について紹介します。
ブライト500の認定は、長期的に見ると健康経営の普及拡大につながります。健康経営は日本の経済社会を支える上で非常に重要です。しかし、これまで健康経営の認知度はあまり高くありませんでした。
大同生命の中小企業向けアンケート調査によると、ブライト500の認定制度ができてから健康経営の認知度は年々向上していることが分かっています。
健康経営について意味や内容を知っている方の割合は6年前と比べ、26%向上し、聞いたことがない、知らないという方の割合は48%から23%まで低下しました。また、 健康経営の効果についても、効果があったとする方の割合は3割を超えています。
出典:健康経営の推進について(経済産業省)(2025年1月13日利用)
このことから、社会全体で健康経営は徐々に浸透していることが伺えます。ただし、健康経営の効果はすぐに出るものではありません。そのため、健康経営を拡大していくためには中長期的に継続することが重要です。
近年社会全体で健康意識が高まっており、特に健康寿命の延伸を目標とする人が増えています。厚生労働省は、健康寿命の延伸を目標とした「健康寿命延伸プラン」を策定しており、2040年までに健康寿命を75歳以上とすることを目指しています。
出典:健康寿命延伸プランの概要(厚生労働省)(2025年1月13日利用)
企業にとっても同様で、従業員の健康寿命が延びることで、高いパフォーマンスを維持しながら長く働けるようになります。結果として企業の価値向上や経済成長の実現へとつながるのです。
ブライト500は、中小企業への普及拡大策のために健康経営優良法人2024の申請から、フィードバックシートが返却されるようになりました。フィードバックシートの返却により、自社の立ち位置が分かるようになり客観的な評価が可能です。その結果、生産性の向上や企業のレベルアップへとつながります。
さらに、フィードバックシートは健康経営優良法人認定事務局のポータルサイトで一括公開されています。これにより、株主や就職活動中の方にも情報が伝わり、企業の理解を深めてもらうきっかけになるでしょう。
このようにブライト500が発展していくことで、取組法人の裾野拡大へつながり、健康経営への意識が高い企業が増えていくでしょう。
ブライト500への理解が深まったところで、ここからはブライト500に認定されている企業の取り組みの一例を解説します。
ブライト500の認定を前向きに検討している企業はぜひ参考にして下さい。
健康経営について実際にどのような取り組みがなされているのかわからないという方も少なくありません。
ここでは健康経営における取り組み事例として健康増進に向けた施策と健康相談窓口の設置について紹介します。
企業は従業員の健康増進に向けて、さまざまな取り組みを行っています。例えば、従業員を対象としたスポーツイベントを企画したり、健康増進アプリを導入したりといった取り組みが報告されています。
ほかにも運動習慣の推進による睡眠改善や、禁煙サポートプログラムの実施、就業中にフィットネスタイムを設けるなどの工夫も行われています。
さらに、ブライト500の認定企業が従業員の健康増進に向けた取り組みを行った場合、インセンティブを付与する自治体、金融機関等が増えています。具体的な優遇措置は、補助金申請時の加点や、融資時の優遇金利の適用といったものです。
身体だけでなく心の健康維持増進も健康経営には重要です。そのため、健康増進に向けた施策の一環として従業員へ向けた相談窓口を設置している企業もあります。
女性の管理職や従業員が窓口の担当者となり、相談しやすい環境を整えたことで、女性特有の心身の不調を早期発見、早期治療ができるようになりました。
相談窓口を設け、話しやすい環境をつくることで、健康経営を長期的に続けられるでしょう。
前述したように女性が働きやすい環境作りを目指す企業が増えている背景もあり、女性の健康課題に着目する企業も増えてきました。
ここからは、女性の健康課題とフェムテックに着目したサービスについて解説します。
女性の健康課題には、生理痛、更年期症状、不妊、産後ケアなどがありますが、ブライト500ではこれらの女性特有の課題解決に寄与するサービスも増えてきています。
フェムテックはこれらの課題をテクノロジーで解決・サポートする製品やサービスのことで、近年福利厚生としてフェムテックを導入する企業も増えてきました。フェムテックを導入することで女性特有の問題の解決に繋がり、健康経営へとつながります。
しかし、2023年時点ではまだまだフェムテックの認知度は低く、フェムテックを認知している方は1割未満であるのが現状です。
ブライト500に認定された企業がフェムテックを導入することで、世間から注目される企業となるでしょう。
ブライト500は健康経営優良法人認定制度という経済産業省が推進する認定制度において上位500における中小企業に付与されるものです。
ブライト500が付与されることで、企業の価値が上がり、よりよい経営につなげられるだけでなく、健康経営ができるため従業員の満足度も高まります。
特に近年重視されている女性の健康課題にフェムテックを活用して取り組むのも、社内外から注目を集められ、企業評価を高めることにつながるかもしれません。
女性特有の健康課題に取り組もうと検討中の方は、ぜひフェムテックの商品やサービスを活用してみてはいかがでしょうか。
監修者
大迫 鑑顕
千葉大学大学院医学研究院精神医学 特任助教
Bellvitge University Hospital, Barcelona, Spain
医学博士、精神保健指定医、日本精神神経学会認定精神科専門医・指導医、日本医師会認定産業医、公認心理師
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