「甲状腺」という言葉を耳にしたことはありますか?
ティーンの皆さんにはあまり
聞きなじみがないかもしれませんが、
甲状腺とは体の臓器の一つです。
ここから分泌される甲状腺ホルモンには、
赤ちゃんから大人まで、
私たちのカラダの
新陳代謝を促進する働きがあります。
今回はそんな甲状腺に起こる病気を紹介します。

甲状腺って何?

甲状腺とは、のどぼとけの下あたりにある臓器です。蝶が羽を広げたような形をしており、そこで甲状腺ホルモンがつくられます。

甲状腺ホルモンの働き

甲状腺ホルモンは、新陳代謝の促進や、子どもの成長・大人の脳の働きを維持するための重要な働きも担っています。

甲状腺ホルモンの
乱れによって起こる病気

通常は分泌量のバランスが保たれていますが、甲状腺の働きに異常があらわれると、全身の新陳代謝のバランスが崩れ、いろいろな症状が起こる原因となります。

甲状腺ホルモンが少なすぎる場合
甲状腺ホルモンが少なすぎる場合

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの分泌量が減り、いろいろな症状があらわれる病気です。

例えば・・・
甲状腺機能低下症の一つとして「橋本病」がよく知られています。橋本病は甲状腺の働きを妨げる抗体(自己抗体)ができ、甲状腺ホルモンの分泌量が減ることで引き起こされる病気です。

甲状腺ホルモンが多すぎる場合
甲状腺ホルモンが多すぎる場合

甲状腺機能亢進(こうしん)症

甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、いろいろな症状があらわれる病気です。

例えば・・・
甲状腺機能亢進症の一つとして「バセドウ病」がよく知られています。バセドウ病は甲状腺を刺激する抗体(自己抗体)ができ、甲状腺ホルモンが過剰につくられることで引き起こされる病気です。

自分の細胞を異物と間違え、それに反応する抗体(自己抗体)を作ってしまうことがあります。このような「自己抗体」によって起こる病気が自己免疫疾患で、甲状腺疾患では橋本病やバセドウ病があります。

甲状腺の病気は、男性よりも女性に多く、その原因はまだよくわかっていません。また、若い女性にもみられることがあり、生理(月経)周期の異常や不妊・流早産の原因になることもあります。

甲状腺の病気による症状

甲状腺の病気は、甲状腺の腫れや、眼・消化器・循環器・手足の症状、生理のトラブルなどを引き起こし、眠気や気分、集中力の変化などがあらわれることもあります。

甲状腺ホルモンが多すぎるか少なすぎるかによってあらわれる症状が異なります。

甲状腺ホルモンが少ない時にあらわれる症状
  • 疲れやすい
  • 寒がり
  • むくみ
  • 体重が増える
  • 眠気、記憶力低下
  • 息切れ、脈がゆっくり
  • 肌の乾燥
  • 抜け毛
  • 筋力の低下
  • 動作が遅くなる
  • 無排卵、無月経
  • 便秘
  • 甲状腺(首・喉元あたり)の腫れ
  • まぶたの腫れ
  • 生理(月経)不順
  • 不妊症・流産
甲状腺ホルモンが多い時にあらわれる症状
  • 疲れやすい
  • 汗をかきやすい
  • 暑がり
  • 体重が減る
  • イライラ感、集中力低下
  • 息切れ、動悸(ドキドキする)
  • 筋力の低下
  • 手指がふるえる
  • 希発月経(月経の回数が少なくなること)、無月経
  • 軟便
  • 甲状腺(首・喉元あたり)の腫れ
  • 目が飛び出して見える
甲状腺ホルモンが少ない時
あらわれる症状
  • 疲れやすい
  • 寒がり
  • むくみ
  • 体重が増える
  • 眠気、記憶力低下
  • 息切れ、脈がゆっくり
  • 肌の乾燥
  • 抜け毛
  • 筋力の低下
  • 動作が遅くなる
  • 無排卵、無月経
  • 便秘
  • 甲状腺(首・喉元あたり)の腫れ
  • まぶたの腫れ
  • 生理(月経)不順
  • 不妊症・流産
甲状腺ホルモンが多い時
あらわれる症状
  • 疲れやすい
  • 汗をかきやすい
  • 暑がり
  • 体重が減る
  • イライラ感、集中力低下
  • 息切れ、動悸(ドキドキする)
  • 筋力の低下
  • 手指がふるえる
  • 希発月経(月経の回数が少なくなること)、無月経
  • 軟便
  • 甲状腺(首・喉元あたり)の腫れ
  • 目が飛び出して見える

診断方法や治療法

甲状腺の病気は
何科でみてもらえばいいの?

上記のような気になる症状がある場合、まずは内科医などに相談してみましょう。生理の異常がみられる場合には、産婦人科医に相談することもできますよ。

診断方法は?

自覚症状や甲状腺の腫れ、血液検査によって、甲状腺ホルモンの数値や自己抗体の有無を調べ、総合的に診断します。

甲状腺の病気と診断された場合は、適切な治療により血中の甲状腺ホルモン量をコントロールすることで、多くの場合、極端な制限なく仕事、運動、食事などの日常生活や、妊娠などのライフイベントを迎えることができます。

治療にはどんな方法がある?

甲状腺機能低下症の治療

甲状腺ホルモン製剤を服用することで、不足している甲状腺ホルモンを補充します。

甲状腺機能亢進症の治療

甲状腺ホルモンの合成や分泌を抑えるお薬を服用します。
場合によっては、手術やアイソトープ(放射性ヨウ素内用療法)により治療することもあります。

※放射性ヨウ素による治療で、甲状腺がヨウ素を取り込む性質を利用し、放射線を放出するヨウ素を含んだカプセルを内服します。

甲状腺ホルモン異常は
年齢に関係ありません

ちょっとした体の不調…
実は「甲状腺」が
原因かも!?

監修 : 吉村 𣳾典 先生 
慶應義塾大学名誉教授