「妊娠」と聞いたとき、まだ先の話と思って
ピンとこない人も多いのではないでしょうか。
しかし、生理が始まった女性は
妊娠する可能性を持っています。
将来、赤ちゃんを産みたいと
思っている人も、そうでない人も
この記事を読んで、妊娠とはどういうものか
私たちのカラダにどんな変化をもたらすのか、
知っておきましょう。
妊娠のしくみ
生命は、女性の「卵子」と男性の「精子」が出会うことから始まります。
ここではまず、妊娠のしくみについて説明します。


- 1排卵
成熟した卵子が卵胞を出て、卵巣から放出されること。放出された卵子は卵管に取り込まれて精子との出会いを待ちます。 - 2射精
男性が精子を含む精液を出すこと。性交によって射精された精子は、卵管へ進み、排卵された卵子を待ちます。 - 3受精
卵子と精子が出合い、融合すること。受精卵は、細胞分裂をくり返しながら4~6日をかけて卵管から子宮に移動します。 - 4着床
子宮内に到着した受精卵が子宮内膜にもぐりこむこと。受精卵ができてからおおよそ12日後に着床が完了し、妊娠が成立します。
妊娠時の主な徴候・症状
個人差があるため、あくまでも目安ではありますが妊娠が成立している時にあらわれる兆候や症状には、次のようなものがあります。
- 生理(月経)が起こらない
- 生理以外の出血がある(着床出血とよばれる少量の出血)
- 熱っぽい(高温期が続く)
- おりものの変化がある(乳白色のおりものが増えることがある)
- いつもより眠気がある
- 乳房の張りや痛みがある
- 吐き気(いわゆる“つわり”症状の一つ)
- など
「妊娠しているかも?」と思ったら、早めに産婦人科を受診することが大切です。


妊娠しているかどうかは、市販の妊娠検査薬でも調べることができます。
最近の妊娠検査薬は精度が向上しており、陽性反応が出れば、妊娠している可能性が高いと考えられます。
とはいえ、陰性反応が出た場合でも、使用するタイミングや方法によっては結果が正しく出ていない場合もあります。市販の妊娠検査薬の結果にかかわらず、気になることがあれば産婦人科に相談することが大切です。
産婦人科で
妊娠と診断されたら


産婦人科で赤ちゃんの心拍数が確認でき、妊娠が継続していると診断されたら、自治体の窓口で妊娠届出書を提出し、母子健康手帳(いわゆる母子手帳)を受け取りましょう。


妊娠前の最後の生理(月経)が始まった日を「0日」として、妊娠期間を計算します。
妊娠週数は、「数え」ではなく「満」で数えるのが一般的です。
例:「妊娠1ヵ月」は「妊娠0~3週の終わり」の4週間(28日)を指します
妊娠中のカラダの変化
妊娠中、いつ、どんな変化があらわれるのか、また注意することや出産の時期などを知っておきましょう。




※1 胎動:お腹の中で赤ちゃんが動くこと
※2 胎盤:赤ちゃんと母体をへその緒でつなげている、子宮の内壁にできる円板状の器官
出産の時期
出産日には個人差がありますが、出産予定日の目安は、妊娠 40週0日(10ヵ月後)として計算されます。
なお、出産時期が22~37週未満の場合は「早産(そうざん)」、37~42週未満を「正期産(せいきさん)」、42週以降を「過期産(かきさん)」と言います。
- つわり
- 貧血
- 便秘・痔 など


母子手帳(正式には「母子健康手帳」)とは、母子保健法により各自治体が交付する手帳で、各自治体に妊娠届出書を提出するともらえます。妊娠・出産・産後の経過、就学前までの子どもの発育や発達、予防接種などを記録します。また、母子健康手帳があると妊婦健康診査を受診できたり、赤ちゃん健康相談などのサービスを受けることができたりします。

マタニティマークは、妊婦が身につけて妊婦していることを示すことで、周囲の人々が配慮しやすくなることを目的に作られました。電車などでマタニティマークをつけた人を見かけたら、体調がすぐれない場合もあるため、思いやりを持った言動で接するようにしましょう。
マタニティマークは、妊婦が身につけて妊婦していることを示すことで、周囲の人々が配慮しやすくなることを目的に作られました。電車などでマタニティマークをつけた人を見かけたら、体調がすぐれない場合もあるため、思いやりを持った言動で接するようにしましょう。

ママになるかもしれない
その日のために知っておこう
妊娠のしくみと
カラダの変化
監修 : 吉村 𣳾典 先生
慶應義塾大学名誉教授