Mint+のお役立ちコラム Vol.9
< 産婦⼈科医 吉村先⽣に聞いてみよう!
もう⼀⼈でがまんしない!
⽉経との上⼿な付き合い⽅ >

このコラムでは、2023年2月21日に
Mint+×ABC HEALTH LABOの
『「食」からはじめる
女性の健康推進プロジェクト』が
開催した
オンラインセミナーにおいて、
参加者の皆さまから寄せられた質問について、
産婦人科医の吉村𣳾典先生と
管理栄養士の高木祐香先生に
解説していただきます。

監修:慶應義塾⼤学名誉教授 吉村𣳾典先⽣
管理栄養⼠ ⾼⽊祐⾹先⽣

悩んだときに読んでみよう

産婦⼈科医 吉村先⽣からの解説

Q⽉経(⽣理)痛がひどくなってきている気がするのですが、市販薬を服⽤すると治まるため医療機関への受診を迷っています。受診の⽬安はありますか?
A

強い月経痛の背景には、子宮内膜症が隠れている場合もあります。市販の鎮痛剤で治まるとはいえ、やはり薬を服用するような状況なら、一度は産婦人科を受診した方がよいでしょう。また、最近は月経困難症のお薬を使用する方法もあるので、産婦人科医と相談の上、そちらも検討してみてはいかがでしょうか。

Q月経困難症と診断され10年近くホルモン剤を服用しています。長期間ホルモン剤を服用することで、体に何か悪影響はないでしょうか?
A

これは患者さんからよくいただく質問の⼀つです。10年近くホルモン剤を服⽤しているということですが、問題ありません。妊娠を希望した時点で服⽤を⽌めるという飲み⽅が⼀般的です。ホルモン剤を服⽤することで症状が安定するのであれば、ご⾃⾝のQOL(⽣活の質)を考えた上でも継続された⽅がよいと思います。

Q新型コロナワクチンを接種してから⽉経の周期や体調に不調を感じるようになりました。関係はあるのでしょうか?
A

新型コロナワクチンが接種されはじめた頃、同じような質問がよくありました。また、新型コロナワクチンの接種によって不妊になるのではという質問もありましたが、そのようなことはありませんので心配なさらず安心して接種してください。

Q月経痛の起こる部位について質問です。若い頃は腹痛が主でしたが、40歳頃から頭痛に変わってきました。これはなぜですか?何かよい対応策はありますか?
A

腹痛も頭痛も月経困難症の症状の一つですから、月経痛が頭痛であったとしても心配もありません。がまんせずに、産婦人科で相談してみてください。必要に応じてお薬が処方されます。

Q月経のとき、たまにドロッとした血の塊が出ますが問題ありませんでしょうか?
A

経血の量は他の方と比べることができないので、どのくらいの量が普通であるのかわかりにくいですよね。年齢にもよりますが、ドロッとした血の塊が出た場合、子宮筋腫や子宮内膜のポリープといった病気の可能性もあります。そうした血の塊がごく最近になって出るようになったり、今までと様子が違うと感じたりするようであれば、早めに産婦人科を受診してください。

Q毎⽉、⽉経周期が安定せず、1〜3⽇程度のずれがあります。原因や対策⽅法を教えてください。
A

1~3⽇程度のずれであれば、さほど問題はありません。⽉経困難症でみられる痛みなどの症状がなければ、このまま経過を⾒てよいと思いますが、気になることがあれば、産婦人科を受診してみてください。

Q仕事を休まなければならないほど月経痛がひどい方がいる一方、私のようにほとんど痛みがなく普通に生活できる人がいるのが不思議です。なぜそのような違いがあるのでしょうか?また、痛みがひどい方にはどのように接したらよいでしょうか?
A

これもよくいただく質問です。月経痛を訴える人は全体の3~4割で、6~7割の人は全く症状がない、または多少の痛みを感じる程度など、人によって症状は異なります。ですから、痛みのあるなしにかかわらず、まずは「多くの女性が多少なりとも月経に苦しんでいる」という意識を持ち、その方をいたわる気持ちで接してみてはいかがでしょうか。

Q最近急激にやせてしまったことで、月経痛がひどくなった気がします。体重の増減で月経痛がひどくなることはあるのでしょうか?
A

多少の体重の増減が月経痛に影響を与えることはないと思います。ただ、体重が大きく減少することで月経が来なくなってしまうことがあります。おおむね2割程度、体重が減少すると月経が止まりやすくなります。過度なやせや肥満は月経に異常をきたしやすくなりますので、大幅な体重の増減には気をつけてください。

Q月経前は気持ちが不安定になり、仕事にも支障が出てしまいます。薬を服用する以外に対処法はありますか?
A

月経前に気持ちが不安定になるのは、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)の可能性が考えられます。カウンセリングを受けるという方法もありますが、やはり生活習慣を整えるということが最も重要です。睡眠をよくとり、バランスのよい食事をとっていただくことが大切です。

PMSの主な症状

Q月経で体調が悪くなる月とそうでない月があるのはなぜでしょうか?
A

月経の周期によって様々な症状が出ることがあります。これは病気があるというよりは、機能性月経困難症といい、月経痛だけがあり病気がないという場合が多いです。月経痛を感じる頻度が高いようであれば産婦人科を受診してください。必要に応じてお薬が処方されるなどの治療が行われます。

吉村先生からのメッセージ

女性の健康を考える上で、月経のコントロールは極めて大切になってきます。月経はある意味、健康のバロメーターですから、強い痛みといった何らかの症状がある場合、体のどこかに異変があるという合図かもしれません。一人でがまんしないで、早めに産婦人科を受診していただければと思います。

管理栄養⼠ ⾼⽊先⽣からの解説

Q月経痛を軽減するには体を温めることが大切だと聞きました。体を温める食事にはどのようなものがありますか?
A

体を温めたいときに摂りたい食材として、体を温める成分であるショウガオール・ジンゲロールを含むしょうがや、ビタミンEを豊富に含む⾷材がよいですね。ビタミンEには⾎管を拡張して⾎⾏を促し、カラダを温める効果が期待できます。アーモンドや⻄洋かぼちゃ、ツナ缶、アボカド、うなぎといったビタミンEを含む食材がおすすめです。ビタミンEは脂溶性ビタミンのため、調理の際は油と一緒に摂取すると吸収率がアップします。

QPMSがひどいときに⾷べた⽅がよいものはありますか?
A

PMSの症状や悩みは人によって様々なので、「これを食べれば大丈夫」というものはありませんが、「まごわやさしい(豆・ごま・わかめ・野菜・魚・椎茸・いも)」を取り入れたバランスのよい食事をとることが大切です。「まごわやさしい」食材にはPMSを和らげたいときにとりたい栄養素がうまくとれるようになっています。
また、PMSの悩みで多い「イライラ」を和らげたいときにおすすめの栄養素で代表的なものといえば、カルシウムとマグネシウムです。どちらも神経や精神を安定させる効果があり、双方に影響し合う栄養素なのでバランスよくとることが重要です。カルシウムは牛乳や乳製品、小魚、海藻類、野菜などに豊富に含まれます。マグネシウムはごまやアーモンドなどのナッツ類や玄米、雑穀ごはん、魚介や海藻類などにも豊富に含まれますので、イライラでお悩みのときには積極的に⾷事に取り⼊れましょう。

Q40代に入り、閉経が近づいていると感じます。年齢を重ねるにつれホルモンの状態が変わるそうですが、どのようなことに気をつければいいのか教えてください。
A

30代後半~40代前半は「プレ更年期」と呼ばれることがありますが、更年期に向かう準備段階としていま一度、毎日の生活リズムを整えることが大切です。もし忙しくて1日3回、バランスのよい食事がとれていない場合には、基本の食事を見直してください。また、自律神経が乱れないようにストレスをためないことも大切なので、ハーブティーを飲むなどリラックスできる時間をつくるのもよいでしょう。おすすめの食材としては、女性ホルモンに似た働きを持つ大豆イソフラボンを豊富に含む大豆製品、血行促進作用やホルモン分泌を調整する作用もあるビタミンEを豊富に含むアーモンドや西洋かぼちゃなどを取り入れるのがおすすめです。

Q食事で体調を整えたいと考えていますが、朝昼晩で避けた方がいい食事や組み合わせなどはありますか?
A

それぞれの時間での選び方のポイントをご紹介します。

朝食:朝食を抜かないこと、そして⾷事の「質」が⼤事です。また、ご飯やパンだけなどと単食になりがちですが、ごはんと魚、パンと卵など、炭水化物とたんぱく質をセットで⾷べるように意識し、体内時計を動かすようにしましょう。また、果物は朝がゴールデンタイムといわれているので、果物を食べたいときは朝の時間帯にするとよいでしょう。

昼食:脂質が多い料理を食べたいときは、夕食ではなく、できるだけエネルギーを消費しやすい昼食のタイミングにするとよいでしょう。

夕食:脂肪が蓄積しやすい時間帯になるので、カロリーや脂質を控えめにするとよいでしょう。朝・昼・夕⾷に共通して気を付けたいことは、毎食たんぱく質をとることです。量としては手のひらの片手分くらいが目安になります。また、野菜料理も不⾜しやすいので、毎⾷1~2⽫はしっかり食べるようにしましょう。

Q⽉経や⽉経前で動きたくないときでも⼿軽に、その時期に必要な栄養をとれるレシピが知りたいです。
A

月経のときは経血と一緒に鉄分が失われるので、貧血予防のためにも鉄分をしっかり補給することが大切です。鉄分はレバーや赤身の肉、カツオ、小松菜、プルーンなどに豊富に含まれますが、その中でも手軽に使えるおすすめ食材が「あさり缶」です。メニューの例として、あさり缶を使った豆乳クラムチャウダーなどは、大豆イソフラボンも合わせてとれてよいですね。根菜類やネギ類などの野菜を入れると体を温める効果も高まります。そのほかには、鉄分が豊富な⽜⾁と⼩松菜を使った中華炒めなどももおすすめです。

Q⽉経前に⾷欲が増してしまいます。⾷べ過ぎ防⽌によいメニューはありますか?
A

高たんぱく質の食材は、ごはんやパンなどの炭水化物よりも腹持ちがよいといわれているので、食事では主菜をしっかり食べて、空腹を感じにくくしましょう。また、噛む回数が増えるメニューを取り入れるとよいですね。月経前になると食欲が増して、甘いお菓子など間食を食べる量が増える方も多いと思いますが、甘いお菓子などはPMSの症状を悪化させる原因にもなります。3食をしっかりと食べた上で、不足している栄養素を補給するための「補食」として間食を利用できるようになるとよいですね。栄養価の高い間食として、バナナ、オレンジなどの果物、ドライフルーツ、ヨーグルト、ナッツ類、チーズ、牛乳、豆乳などがおすすめです。

高木先生からのメッセージ

カラダの不調や⽉経痛を⼀⼈でがまんしながら、どうして良いのか悩んでいる⽅も多いと思います。まずは、⾃分の⼼や体が発する⼤事なサインを⾒逃さず、放置せず、しっかりと向き合うことから始めてみてください。毎⽇の⾷事や⽣活習慣を⾒直すなど、⾃分⾃⾝ですぐに取り組めることもあります。⽣活改善を試みながら、信頼のおける産婦⼈科医の先⽣に相談できる、“環境作り”もぜひ整えていただければと思います。

監修医のご紹介

吉村 𣳾典先生吉村 𣳾典先生

吉村 𣳾典先生

Profile

よしむら・やすのり/慶應義塾大学名誉教授 福島県立医科大学副学長
あすか製薬株式会社社外取締役

1975年 慶應義塾大学医学部卒業。米国留学等を経て95年より同大学医学部産婦人科教授、現在は同大学名誉教授。日本産科婦人科学会理事長等、数々の学会理事長を歴任。2012年に女性と子どもの未来を考える一般社団法人「吉村やすのり 生命(いのち)の環境研究所」を設立。第2次~第4次安倍内閣で内閣官房参与として少子化対策・子育て支援を担当。これまで3千人以上の不妊症、5千人以上の分娩など数多くの患者の治療を担当。福島県立大野病院問題の解決、HPVワクチンの公的助成や特定不妊治療費助成制度の確立、周産期医療従事者の待遇改善、出産育児一時金や妊婦健診の公的助成の増額など、わが国の周産期医療の危機を救い、女性の健康力増進に貢献。『生殖医療の未来学―生まれてくる子どものために―』など、生殖医学に関する著書多数。

よしむら・やすのり/慶應義塾大学名誉教授 福島県立医科大学副学長
あすか製薬株式会社社外取締役
1975年 慶應義塾大学医学部卒業。米国留学等を経て95年より同大学医学部産婦人科教授、現在は同大学名誉教授。日本産科婦人科学会理事長等、数々の学会理事長を歴任。2012年に女性と子どもの未来を考える一般社団法人「吉村やすのり 生命(いのち)の環境研究所」を設立。第2次~第4次安倍内閣で内閣官房参与として少子化対策・子育て支援を担当。これまで3千人以上の不妊症、5千人以上の分娩など数多くの患者の治療を担当。福島県立大野病院問題の解決、HPVワクチンの公的助成や特定不妊治療費助成制度の確立、周産期医療従事者の待遇改善、出産育児一時金や妊婦健診の公的助成の増額など、わが国の周産期医療の危機を救い、女性の健康力増進に貢献。『生殖医療の未来学―生まれてくる子どものために―』など、生殖医学に関する著書多数。

監修者のご紹介

高木 祐香先生高木 祐香先生

高木 祐香先生

Profile

たかぎ・ゆか/フリーランス 料理家・管理栄養士・国際薬膳師
大手料理教室にて料理講師や海外勤務、ヘルスケア事業での経験を経てフリーランスとして独立。
現在は『こころもカラダも幸せにする食を。』をモットーに、栄養学と薬膳の両面からアプローチする食の専門家として、食事で未病(プチ不調)を防ぐ『食養生』の予防医学を提唱。
企業とコラボしたセミナーや料理教室、レシピ開発、メディア出演、事業コンサルなど多岐にわたり活動中。
ホームページ公開中「女性のための“食べるセルフケア”」

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