テストステロンとは？
身体に与える影響や増やし方

テストステロンとは｜心身の健康を支える男性ホルモン

男性ホルモン（アンドロゲン）にはいくつか種類があり、その中でもっとも主要なホルモンがテストステロンです。

コレステロールを原料とし、男性の場合※はほとんどが精巣で作られます。分泌量は思春期直前から急増し、20〜30代でピークを迎えた後、年齢とともに低下します。

筋肉や骨格、体毛などいわゆる「男性らしさ」を構成するホルモンとして知られていますが、男性の内面に影響を与えるのもテストステロンです。

大胆で前向きな思考につながることから「モテホルモン」「社会性ホルモン」と呼ばれることもあります。

テストステロン＝男性の健康を支えるホルモンですから、分泌が低下すると身体にさまざまな変化が見られます。

年齢を重ねるごとに心身の不調を感じる方は、テストステロンレベルが低下しているかもしれません。

※テストステロンは女性の身体にも存在します（血中のテストステロン値は男性の1/10〜1/20程度）

テストステロンがもたらす6つの効果

テストステロンの主な効果は次の通りです。

1. 筋肉や骨格の成長を促す
2. 生殖器を形成する
3. 髭や体毛の発毛を促す
4. 性欲を維持・向上させる
5. 記憶力や集中力を向上させる
6. バイタリティを高める

6つの効果を具体的に解説します。

①筋肉や骨格の成長を促す

成長期に突入すると、男性の身体は身長が急激に伸び、筋肉質な肉体へ変化します。

これは思春期直前からテストステロンの分泌量が急増するためです。

具体的な数値としては思春期直前が20ng/dL（0.7nmol/L）未満、成人期以降は300〜1200ng/dL（12〜42nmol/L）です。

筋肉や骨格の形成にはテストステロンだけでなく、成長ホルモンも関与します。両者がバランスよく分泌されることで男性の肉体の成長を促しているのです。

※参考：小児における男性性腺機能低下症｜MSDマニュアル プロフェッショナル版

②生殖器を形成する

テストステロンは男性の生殖器の形成にも関与します。

生殖器については母親の胎内にいる時から形成がはじまると言われており、生後数週間から数ヶ月の間にもテストステロン値が高まります。

その後しばらくは女性とほぼ同じ数値が続きますが、思春期直前に急増するタイミングで陰嚢や陰茎が大きくなるのです。隠毛が生えてくるのもこの頃です。

③髭や体毛の発毛を促す

成長期を迎えると髭や体毛が発現しますが、これもテストステロンの作用によるものです。

「男性ホルモンが多いと薄毛になる」といった説がありますが、ここでいう男性ホルモンはジヒドロテストステロン（DHT）という別のホルモンを指します。

④性欲を維持・向上させる

テストステロンには性欲を高める効果もあります。

テストステロンが産生されると、神経伝達物質の一つであるドーパミンの分泌が促進されます。

ドーパミンには性的興奮を高める作用があるため、血中のテストステロン値が高くなるほど性欲も高くなると考えられているのです。

テストステロンの分泌が増える思春期以降から30代までの間、男性の性欲は高い状態を維持します。

その後年齢とともにテストステロンは低下し、性欲も減退する傾向にあります。

⑤記憶力や集中力を向上させる

テストステロンには記憶力や集中力を向上させる効果があることもわかっています。

脳の中枢部分であり、記憶や空間学習能力に関わる海馬ではテストステロンが重要な役割を担います。テストステロンの働きによって海馬のシナプスが増加し、記憶力が活性すると考えられているのです。

参考文献：Hatanaka, Y., Mukai, H., Mitsuhashi, K., Hojo, Y., Murakami, G., Komatsuzaki, Y., Sato, R., & Kawato, S. (2009) Biochem. Biophys. Res. Commun., 381, 728–732.

⑥バイタリティを高める

テストステロンはチャレンジ精神や好奇心、決断力といった精神面にも大きな影響を与えます。

年齢とともにテストステロンが低下すると、抑うつや落ち込み、イライラなどの症状が現れやすくなると言われています。

血中のテストステロン値を正常に保つことはメンタルの安定につながり、結果としてアクティブな思考へ導くと考えられるでしょう。

なおエベレスト最高齢登頂記録を持つ登山家の三浦雄一郎氏は、テストステロン注射がトレーニング再開のきっかけとなったと話しています。

テストステロンの減少による身体への影響

テストステロンの低下によって引き起こされる疾患に、男性更年期障害（LOH症候群）があります。

LOH症候群は性腺機能低下症候群とも呼ばれ、主な症状には次のものがあります。

• 倦怠感
• 疲労感
• ほてり、のぼせ
• 発汗
• 不眠
• 性欲減退
• 勃起不全（ED）
• 精神不安
• 物忘れ
• イライラなど

これらの症状はストレスやうつとよく似ているため、男性更年期障害だと気づかれないケースも多くあります。

結果として正しい対処がなされず、心身の不調が長く続く方もいます。

健やかな肉体を維持できず、活力も損なわれるとなればQOLの低下につながってしまうでしょう。

テストステロンの基準値

テストステロンの低下によって引き起こされる男性更年期障害の診断には、遊離テストステロンの測定が必須です。

健康な日本人男性においては、遊離テストステロンの数値が11.8 pg/ml以上であれば正常とされています。

正常値の下限は8.5 pg/mlで、これを下回ると男性ホルモン補充治療を検討する場合があります。

テストステロン値には日内変動があることから、測定は午前中の早い時間に行うのが基本です。

 

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「テストステロン」は骨格、筋肉を強化するだけでなく

• 生活習慣病の予防やアンチエイジング
• 日々のバイタリティーやモチベーションを向上させる
• 男性の生殖機能を向上させる

など、男性の心身の健康を保つのに非常に重要な役割を果たしています。

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※3 本キットは、あくまで男性力レベルを評価するもので、特定の疾病の診断をするものではありません。疾病の診断については、医師の診察・指導を優先してください。

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テストステロンが多い人の特徴

テストステロンが多い人には以下の特徴が多く見られる傾向にあります。

• 筋肉量が多い
• 骨格ががっしりしている
• モチベーションが高い
• チャレンジ精神や冒険心がある
• 決断力がある

テストステロンは男性の心身に作用するホルモンであるため、外見だけでなく精神面にも影響を与えます。

「身体つきが男性らしく、アクティブで前向きな思考の持ち主」という人物像に当てはまる方が多いかもしれません。

テストステロンが少ない人の特徴

テストステロンレベルが低下すると、心身に次の変化が現れます。

• 筋力が低下する
• 脂肪がつきやすくなる
• 疲れやすい
• うつ気味になる
• 不安やイライラが増す
• 性欲がなくなる
• 集中力が低下する

上記に当てはまるものが多い場合、テストステロン値が低下している可能性が考えられます。

原因不明の体調不良や精神不安でお悩みの方は、一度テストステロンを測定してみることをおすすめします。

テストステロンが減少する原因

テストステロンが減少する原因には次のものがあります。

• 加齢
• 肥満
• ストレスなど

テストステロン値が低下するもっとも大きな原因が加齢です。

テストステロンの分泌のピークは20〜30代で、その後は減少の一途をたどります。早ければ30代後半から男性更年期障害に悩まされる方もいます。

男性更年期障害の症状は倦怠感や精神不安、勃起不全（ED）などが代表的です。

これらの症状はストレスやうつと間違えられやすいため、長い間適切な対処がなされないことも多いです。

加齢以外ですと、肥満やストレスが原因でテストステロンが低下する可能性も指摘されています。

 

テストステロンの分泌量で顔つきが変わる？

 

テストステロンが増えると顔つきが変わると言われているようですが、テストステロンと表情筋の量に相関性はないことが明らかにされています。

しかしながら、必ずしも顔つきが変わらないと断言はできません。なぜならテストステロンレベルの改善によって、表情に変化が見られる男性は大勢いるからです。

ではなぜ表情が変化するのか、考えられる理由に自分磨きがあげられます。

テストステロンを増やす方法の一つに筋力トレーニングがありますが、外見の変化によって自分に自信が持てるようになる方は多いです。

また運動後はドーパミンの放出が活性され、メンタルヘルスも向上します。結果として表情が豊かになることは十分に考えられるでしょう。

テストステロンを増やす方法

テストステロンを増やす方法には次のものがあります。

1. 適度な運動
2. バランスのいい食事
3. 質の高い睡眠

それぞれの方法を詳しく解説します。

①適度な運動

テストステロンを増やすには適度な運動を習慣化することが大切です。

筋肉量を効率よく増やすには、筋肉が大きいお尻や太もものトレーニングがおすすめです。

トレーニングといっても激しい運動をする必要はなく、スクワットやスローランニングでも十分な効果が期待できます。

運動でテストステロンを高めるには、1回の負荷を大きくするよりも適度な運動を長期にわたって継続するのが有効です。

②バランスのいい食事

テストステロンレベルの改善には健康的な食生活が欠かせません。

テストステロンを増やすためには、タンパク質をしっかり取りましょう。

なお、コレステロールもテストステロンの材料となるため、コレステロール（脂質、糖質、タンパク質が材料）を含む食材を積極的に取ることをおすすめします。

以下にタンパク質を多く含む食品をまとめました。

◆タンパク質を多く含む食品

• 肉類（牛肉・豚肉・鶏肉など）
• 魚介類（マグロ・カツオ・サバなど）
• 大豆製品（納豆や豆腐など）
• 卵
• 乳製品（牛乳やヨーグルトなど）

また、タンパク質の生成をサポートするミネラルやビタミンの摂取も重要です。特定の栄養素に限定せず、全体のバランスを考えた食生活を心がけましょう。

③質の高い睡眠

睡眠不足はテストステロンレベルを低下させることが明らかにされています。

睡眠の質を向上させるには、就寝前の入浴やストレッチがおすすめです。

生活リズムを崩さないよう就寝時間を決め、照明を落とした後のスマホ操作も控えましょう。

また、寝具や寝衣を肌触りのいい素材に変えることで寝つきが改善する場合もあります。

 

テストステロンを増やすサプリメントはある？

 

テストステロンの合成に必要な栄養素を含むサプリメントは「テストステロンブースター」と呼ばれます。

テストステロンブースターは、テストステロンの分泌を促すことを目的としたサプリメントです。主な成分には亜鉛・アミノ酸・マカ・ビタミン・マグネシウムなどがあります。

なお、テストステロンそのものを増やすサプリメントはありません。

テストステロンにまつわるよくある質問

テストステロンについて多く寄せられる質問と回答をまとめました。

 

Q. テストステロンを減らす行為はありますか？

暴飲暴食や睡眠不足、ストレスの多い生活を続けるとテストステロンの分泌は抑えられるでしょう。

もっとも、このような生活習慣はホルモン分泌以外の面にも悪影響を及ぼすためおすすめはできません。

 

Q. テストステロンが増えすぎるとどうなりますか？

テストステロンの過剰投与では以下のリスクが懸念されます。

• ニキビの増加
• 精巣の萎縮
• 精子数の減少
• 体毛の増加
• 排尿障害
• 前立腺がんなど

 

Q. テストステロンは女性の身体にどのような影響をもたらしますか？

女性の体内では、アロマターゼという酵素の働きによってテストステロンが女性ホルモンに変換されます。

女性の血中テストステロン値は男性の5〜10％程度ですが、筋肉や骨格の形成など基本的な役割はほぼ同じです。

 

Q. テストステロンが多い女性は不妊になりやすいですか？

女性の場合、男性ホルモンの濃度が高くなると排卵障害の原因になることがあります。

女性不妊の原因の一つに多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）が挙げられますが、PCOSが疑われる方に対しては男性ホルモンを測定する検査が行われます。

テストステロンの数値を把握し男性力を高めよう

テストステロンは男性の心と身体の健康を支えるホルモンです。

加齢による減少は避けられませんが、日々の生活習慣を見直すことはテストステロンレベルの改善につながります。

適度な運動とバランスのいい食事、睡眠の質を意識しながら、心身の健康を維持していきましょう。

年齢を重ねるごとに体調管理の難しさを実感している方は、テストステロン値が低下している可能性があります。

体重や体脂肪を把握するように、男性力もチェックしてみてはいかがでしょうか。