Mint+のお役立ちコラム Vol.7
< 詳しく知りたい!子宮筋腫しきゅうきんしゅについて >

女性に特有の病気として「子宮筋腫」という
病気があるのをご存じですか?
月経痛、月経不順、月経過多の原因になることもあり、
よくある症状が実は子宮筋腫に
よるものである可能性もあります。
ここでは「子宮筋腫」について
詳しくご紹介します。
気になることがないか、確認してみましょう。

倉敷成人病センター 理事長 安藤正明先生に
お話をうかがいました。

みんなで考えよう!

子宮筋腫とは?

子宮筋腫は女性に身近な疾患で、30歳以上の女性の約30%に認められるといわれています。

子宮はニワトリの卵くらいの大きさで、胃や腸と同じように筋肉(平滑筋)でできています。この平滑筋の細胞の一部が細胞分裂を繰り返し、腫瘍(こぶ)を形成します。この腫瘍が子宮筋腫です。

現在でも子宮筋腫の発生や大きくなる過程についてわかっていないこともありますが、女性ホルモン・遺伝的な要因・初経年齢の早さ・未産・肥満などさまざまな要因が関与していると考えられています。無症状であることも多い疾患ですが、過多月経・不正性器出血・月経困難症・圧迫症状などの原因となることもあります。

子宮筋腫によって起こりうる症状

子宮筋腫によって起こりうる症状子宮筋腫によって起こりうる症状

子宮筋腫は発生する場所によって分類されます。子宮の外側にできる漿膜下(しょうまくか)筋腫や筋肉の中にできる筋層内筋腫は小さいものであれば症状が出にくいですが、子宮の内側に飛び出す粘膜下筋腫では、たとえ1cmほどの大きさであっても過多月経になることもあり注意が必要です。特に、過多月経や不正性器出血を繰り返すと輸血が必要になるような重症貧血となることもあります。

子宮筋腫の発生場所と種類

子宮筋腫の発生場所と種類子宮筋腫の発生場所と種類

子宮筋腫の検査・診断方法

子宮筋腫の診断は、主に超音波検査(エコー検査)やMRI検査で行われます。

子宮筋腫は基本的には良性疾患であり、経過観察で十分ということも多いのですが、過長月経など関連が明らかな症状や、不妊症など関連が疑われる症状を伴う場合は時に治療が必要になります。

近年の晩婚化に伴い、子宮筋腫を合併した妊娠・不妊症・不育症も増えているため、悩ましい疾患です。筋腫がある状態で妊娠することで、流早産・胎児発育不全・分娩時異常出血などのさまざまなリスクが増えることが知られています。

子宮筋腫の治療方法

子宮筋腫の治療方法は多数あり、症状・挙児希望(妊娠・出産を希望するかどうか)・子宮温存の有無により治療方針が決まります。

子宮筋腫の治療方法 フローチャート

子宮筋腫の治療方法 フローチャート子宮筋腫の治療方法 フローチャート

子宮筋腫の手術は、子宮筋腫のみを取り除く「子宮筋腫核出術」と、子宮そのものをすべて摘出する「子宮全摘術」に分かれており、どちらの手術も「開腹手術」または「腹腔鏡下手術」で行います。

挙児希望があれば、子宮筋腫だけを核出(取り除くこと)し、子宮を残します。その場合、術後に妊娠が望めますが、癒着胎盤・産後出血などのリスクも少ないながらあり、帝王切開での分娩をお勧めすることが多いです。また、術後に再発する可能性もあり、将来的に再度の治療が必要となることもあります。

子宮摘出は子宮筋腫の根治的な治療です。月経がなくなるため、月経による貧血もなくなり、将来子宮がんになる心配もなくなります。閉経前の方では、子宮を摘出する際に卵巣は取り除かず温存することで、女性ホルモンのバランスが崩れて急に更年期障害が生じるのを避けることができます。

現在では、これらの手術は腹腔鏡や子宮鏡といった低侵襲(カラダに負担が少ないこと)の手術で行われることが増えてきています。

なお、挙児希望がなくても子宮温存を希望される場合には、MEA(マイクロ波子宮内膜アブレーション)やUAE(子宮動脈塞栓術)などの方法もありますが、すべての子宮筋腫において可能というわけではありません。

腹腔鏡下手術による
子宮筋腫の治療について

当院では、心身に負担の少ない低侵襲な腹腔鏡下手術を推奨しています。
腹腔鏡下手術とは、腹腔鏡と呼ばれる直径0.5~1cmほどの長い棒状のカメラを用いた手術です。腹部に0.5~1cmほどの穴を1~4ヵ所空け、炭酸ガスでお腹を膨らませてから腹腔鏡を挿入し、腹部内部(腹腔)の様子をテレビモニターで確認しながら、鉗子(かんし)という特殊な細い器具を使って行われます。
腹腔鏡下手術は傷が小さい、痛みが少ない、回復が早いといった特徴があり、翌日には歩行や食事が可能です。術後の癒着(本来離れているべき組織同士がくっつくこと)が少ないため、妊娠機能を維持しやすいという大きなメリットがあります。実際に、子宮筋腫に対して腹腔鏡下手術を経験された後に、妊娠・出産された方も数多くいます。

薬物療法としては、GnRHアゴニスト/アンタゴニスト療法があります。これは、薬剤により女性ホルモンの分泌を抑える治療で一時的に筋腫を少し縮小できますが、更年期症状や骨塩量低下の副作用があり、原則6ヵ月しか使用できません。

子宮筋腫と思われていたものの中に、稀(まれ)に「肉腫」という悪性の腫瘍である場合もあります。肉腫は、摘出してみないと悪性かどうかを最終的に判断することができないため、肉腫を疑った場合には手術が基本となります。閉経すると筋腫は若干縮小しますが、閉経しても筋腫が大きくなる、または出血が続く時などには肉腫の可能性を考える必要があります。

いずれにせよ、子宮筋腫は治療の必要性も含め個々の症例で判断する必要があります。

お話をうかがった先生のご紹介

安藤 正明先生安藤 正明先生

安藤 正明先生

Profile

あんどう・まさあき/倉敷成人病センター 理事長、主任部長、
ロボット先端手術センター センター長

【専門分野】婦人科腹腔鏡下手術、婦人科悪性腫瘍手術、化学療法

【資格】日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医・常務理事
日本婦人科腫瘍学会専門医・指導医・評議員
日本内視鏡外科学会技術認定医(産科婦人科)
日本ロボット外科学会国際A級ライセンス
日本婦人科ロボット手術学会認定プロクター
日本産科婦人科内視鏡学会 前常任理事
京都大学 医学部 臨床教授
慶應義塾大学 医学部 客員教授
三重大学 医学部 客員教授
タイ・ドイツ内視鏡トレーニングセンター 客員教授、北京首都大学 客員教授
西安交通大学医学院第二附属医院 客員教授、復旦大学 客員教授
日本産婦人科手術学会 前理事

あんどう・まさあき/倉敷成人病センター 理事長、主任部長、ロボット先端手術センター センター長
【専門分野】 婦人科腹腔鏡下手術、婦人科悪性腫瘍手術、化学療法
【資格】
日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医・常務理事
日本婦人科腫瘍学会専門医・指導医・評議員
日本内視鏡外科学会技術認定医(産科婦人科)
日本ロボット外科学会国際A級ライセンス
日本婦人科ロボット手術学会認定プロクター
日本産科婦人科内視鏡学会 前常任理事
京都大学 医学部 臨床教授
慶應義塾大学 医学部 客員教授
三重大学 医学部 客員教授
タイ・ドイツ内視鏡トレーニングセンター 客員教授、
北京首都大学 客員教授
西安交通大学医学院第二附属医院 客員教授、復旦大学 客員教授
日本産婦人科手術学会 前理事

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医師に相談してみよう。

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