いつまでも輝く毎日を過ごしたい!
老年期をイキイキと楽しむ

思春期、性成熟期、そして更年期を過ぎた
50代半ば以降を、
女性のライフステージでは
「老年期」と表現します。
人生100年時代を自分らしくイキイキと
楽しむために、
知っておきたいこと、
心がけたいことなどをご紹介します。

いつからが老年期?

「老年期=お年寄り」ではありません!

女性のライフステージは、大きく4つにわけることができます。初潮を迎える「思春期」、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が安定する「性成熟期」、閉経を迎える「更年期」、そして更年期が終わった50代半ば以降を「老年期」とよびます。
「老年」と聞いてネガティブな印象を受けるかもしれませんが、日本女性の平均寿命をみると、1950年当時の約63歳から2020年は約88歳へ(※)。時代とともに「老い」の意識や高齢者の定義も変わってきました。

「人生100年時代」といわれる今、個人差はあるものの「老年期」が最も長いステージになる可能性もあります。近年の老年期の女性は元気で若々しく、魅力にあふれた人が大勢います。仕事を続ける人、子育てを終えてそれぞれに趣味や社会活動を楽しむ人がますます増えています。

※令和3年7月30日公表
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/
life20/index.html

女性の4つのライフステージ

思春期10歳~18歳
性成熟期18歳~45歳
更年期45歳~55歳
老年期55歳~
思春期10歳~18歳
性成熟期18歳~45歳
更年期45歳~55歳
老年期55歳~

老年期女性のさまざまな変化

老年期のカラダにあらわれる変化を知ろう

老年期を迎えても、多くの女性が自分らしくイキイキと過ごしている一方で、カラダの中は少しずつ変化しています。

老年期を迎えると、更年期特有の不調からようやく抜け出して体調が安定してくる一方、エストロゲンの分泌は、閉経後さらに低下します。それに伴い、カラダのさまざまな機能に長期的な影響が出やすくなります。

年齢とともに衰えを実感するお肌のシワや白髪といった見た目の変化だけでなく、眼、耳、呼吸器、消化器、腎・泌尿器、筋骨格系、生殖器など、全身にさまざまな健康上のトラブルが増加します。

老年期ならではの楽しみ・美しさ

老年期では、体力の衰えから若いころと同じように活動できなくなったり、お肌のシワや白髪が気になったり、これまでにない悩みがあらわれるかもしれません。

しかし、それは誰しもいつかは経験するであろうこと。老年期はすべての人に訪れます。
そして、楽しさや美しさの価値観は人それぞれです。

こころと時間に余裕がうまれ、これまでできなかったことにチャレンジしたり、自身の内面に向き合ったり、新たな交流の場を探したり、老年期ならではの楽しみ方を見つけてみませんか。

いつでも自分らしく、イキイキと生活している女性はとても魅力的です。
それぞれの“充実した老年期”を楽しみましょう。

老年期を楽しもう!

こころと時間にゆとりが増える老年期だからこそ、楽しめることもたくさんあります。
たとえば、以前から続けている趣味をより一層深めたり、新しいことにチャレンジしたり、行ったことのない場所へ時間をかけて訪問したり。
日々の生活に楽しみがあることは、活力につながります。また、物事に興味・関心を持ち続けたり、手先を使う趣味や運動を取り入れることは、認知機能低下の予防も期待できます。
自分に合う方法で充実した時間を過ごしてみませんか。

老年期を楽しもう!老年期を楽しもう!
こんな趣味はいかが 運動やスポーツ、スポーツジムこんな趣味はいかが 運動やスポーツ、スポーツジム
旅行やおでかけ旅行やおでかけ
パソコンやスマートフォン、インターネットパソコンやスマートフォン、インターネット
読書や芸術鑑賞読書や芸術鑑賞

老年期の病気

老年期にあらわれる注意したい病気を知ろう

老年期には、加齢やエストロゲンの分泌低下、さらにそれまでの生 活習慣などが元となり、さまざまな病気があらわれる可能性があります。特に、脂質異常症をはじめとする「生活習慣病」と、骨密度が低下することで骨折しやすくなる「骨粗鬆症」には注意が必要です。

女性のライフステージごとのエストロゲン
分泌量と老年期に起こりやすい病態

※1:平成23年 「第13回全国初潮調査」大阪大学大学院人間科学研究科・比較発達心理学研究室
※2:平成28年 人口動態統計月報年計(概数) 厚生労働省
※3:吉村泰典 編著『ハッピーライフのために女性が知っておきたい30のこと』2018, 毎日新聞出版
女性のための健康ラボ Mint+により作図

※1:平成23年 「第13回全国初潮調査」大阪大学大学院人間科学研究科・比較発達心理学研究室
※2:平成28年 人口動態統計月報年計(概数) 厚生労働省
※3:吉村泰典 編著『ハッピーライフのために女性が知っておきたい30のこと』2018, 毎日新聞出版
女性のための健康ラボ Mint+により作図

思春期10歳 ~ 18歳 初潮を経験し、性成熟期に向かってエストロゲンの分泌が増える。
性成熟期18歳 ~ 45歳 エストロゲンの分泌が安定。
更年期45歳 ~ 55歳 閉経の前後5年間、エストロゲンの分泌は急激に低下し、 体調に変化が起こりやすい。また、月経周期も変化し、閉経にいたる。
老年期55歳 ~ エストロゲンの分泌がわずかとなり、
それまで男性に多かった生活習慣病にもかかりやすくなる。

老年期に起こりやすい病気や症状について

認知症 アルツハイマー型認知症や血管性認知症などの種類がある。
女性の方が男性よりも罹患率が高いとされている。
うつ病 エストロゲン減少の影響だけでなく、ライフイベントによる環境・役割の変化がきっかけで発症することもある。
生活習慣病 エストロゲンは脂質代謝にも深くかかわっており、エストロゲンの分泌量低下により脂質異常症になりやすく、動脈硬化症のリスクが高まる。
同時に、高血圧、糖尿病などの生活習慣病全般のリスクも高まる。
腹圧性尿失禁 おなかに力を入れた時に尿が漏れてしまう病気。
原因として、加齢のほかにエストロゲンの分泌量低下に伴い骨盤底筋がゆるむことも。
子宮体がん、卵巣がん 40代から発症率が増加し、50〜60代が発症のピークとなる。
萎縮性腟炎 エストロゲンの分泌が低下することで、腟粘膜が乾燥・委縮し、菌の繁殖などによる萎縮性腟炎が起きやすくなる。
骨粗鬆症とそれに伴う骨折 エストロゲンの分泌量低下により骨密度が急激に低下することで、橈骨(とうこつ)や大腿骨などの骨折リスクが高まる。
変性後弯症 加齢に伴い骨が変形することで生じる、いわゆる腰曲がりなどのリスクが高まる。
フレイル 心身の働きが弱くなる状態。
サルコペニア 筋力の低下した状態。
ロコモティブシンドローム 歩行や日常生活に支障をきたし、将来、要介護や寝たきりになるリスクが高い状態。
認知症 アルツハイマー型認知症や血管性認知症などの種類がある。
女性の方が男性よりも罹患率が高いとされている。
うつ病 エストロゲン減少の影響だけでなく、ライフイベントによる環境・役割の変化がきっかけで発症することもある。
生活習慣病 エストロゲンは脂質代謝にも深くかかわっており、エストロゲンの分泌量低下により脂質異常症になりやすく、動脈硬化症のリスクが高まる。
同時に、高血圧、糖尿病などの生活習慣病全般のリスクも高まる。
腹圧性尿失禁 おなかに力を入れた時に尿が漏れてしまう病気。
原因として、加齢のほかにエストロゲンの分泌量低下に伴い骨盤底筋がゆるむことも。
子宮体がん、卵巣がん 40代から発症率が増加し、50〜60代が発症のピークとなる。
萎縮性腟炎 エストロゲンの分泌が低下することで、腟粘膜が乾燥・委縮し、菌の繁殖などによる萎縮性腟炎が起きやすくなる。
骨粗鬆症とそれに伴う骨折 エストロゲンの分泌量低下により骨密度が急激に低下することで、橈骨(とうこつ)や大腿骨などの骨折リスクが高まる。
変性後弯症 加齢に伴い骨が変形することで生じる、いわゆる腰曲がりなどのリスクが高まる。
フレイル 心身の働きが弱くなる状態。
サルコペニア 筋力の低下した状態。
ロコモティブシンドローム 歩行や日常生活に支障をきたし、将来、要介護や寝たきりになるリスクが高い状態。

特に気をつけたい病気や症状

男性と同様に生活習慣病のリスクがアップ

男性と同様に生活習慣病のリスクがアップ

エストロゲンには、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を減らし、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やす作用や、血管を拡げる作用があり、動脈硬化を防ぐ役割も果たしています。エストロゲンの分泌量が低下する老年期は、脂質異常症や動脈硬化の積極的な予防が大切です。

骨粗鬆症にも注意

骨粗鬆症にも注意

エストロゲンの分泌量が低下すると骨密度が下がり骨がスカスカになる骨粗鬆症が起こりやすくなります。骨粗鬆症が進行すると、背骨の圧迫骨折により背中や腰が曲がる、大腿骨・股関節などの骨折により自立歩行が困難になるといったリスクが高まリます。骨粗鬆症には自覚症状がないため、骨折して初めて骨粗鬆症であったことが分かるケースも少なくありません。運動や食事、日光浴など、日頃から骨を強くすることを意識した生活を送ることが大切です。

老年期からの健康管理

食生活を見直して、太り過ぎ、痩せ過ぎを防ごう

老年期を健やかに過ごすための基本となるのは、毎日の食生活です。毎日の食事はさまざまな食材を組み合わせて、適切な量をバランスよくとりましょう。お惣菜や加工品で済ませたい日には、野菜や魚を多く使ったものや、油や添加物控えめのレトルト食品などを選ぶようにするとよいでしょう。50代以上の女性は野菜の摂取量が他の年代よりも多い一方、塩分をとりすぎている傾向がみられるので、「薄味」を意識した減塩生活を目指してください。

また、生活習慣病のリスクを高める「肥満」だけでなく、高齢者に増えている「低栄養」についても知っておきましょう。「低栄養」とは、カラダに必要なたんぱく質やエネルギーが不足して、健康維持が難しい状態のことです。年齢を重ねていくと、噛む力や飲み込む力が衰えて食べる量が減ったり、食事の内容が偏りがちになったりします。「1日3食きちんと食事をしているから安心!」というわけではありません。特に肉・魚・卵・大豆などのたんぱく質が不足すると、低栄養になりカラダが痩せていき、筋肉などの組織を維持できなくなってしまう可能性があります。太り過ぎ、痩せ過ぎ、どちらも注意が必要です。

たんぱく質によってつくられるカラダの組織

たんぱく質によってつくられるカラダの組織たんぱく質によってつくられるカラダの組織

将来の生活の質は
「筋肉」で変わる

たんぱく質は、私たちが生きていくために欠かせない栄養素のひとつです。食事か
らとるたんぱく質が不足すると、不足した分は筋肉内のたんぱく質で補われるため、
筋肉量の減少や筋力低下につながります。そして筋力が低下すると、立ったり歩い
たりするための運動能力も低下するという悪循環に陥ってしまいます。さらに日常
生活の自立度を低下させる「フレイル」「サルコペニア」「ロコモティブシンドロー
ム」の原因にもなります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、日本人が1日に必
要とするたんぱく質は、18~49歳は摂取エネルギーの13~20%、50~64歳は
14~20%、65歳以上は15~20%が理想とされており、推奨量は、18歳以上のすべて
の年齢の女性で1日50gとされています。ダイエットを意識するなど肉類を避けて
いる人は、たんぱく質が不足している可能性があります。一度、食事の内容を見直
してみてください。

※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/
bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/
syokuji_kijyun.html

たんぱく質を多く含む食品

たんぱく質を多く含む食品たんぱく質を多く含む食品

無理のない運動を習慣にして、
元気な毎日を

年齢とともにだんだん衰えていく体力、筋力。運動した方が良いのはわかっているけれど、50代、60代からはじめても効果がなさそう、膝や腰を痛めそう…こんな疑問や不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。

しかし、自宅でできる軽い筋トレでも、日常の習慣として継続すれば体力アップ、筋力アップは可能です。特に、手軽でカラダへの負担が軽いウォーキングは、気分転換やストレス発散にもおすすめです。また、屋外で日光を浴びることは骨の健康に欠かせないビタミンD生成にも役立つため、 「フレイル」「サルコペニア」「ロコモティブシンドローム」 の予防にもつながります。紫外線に注意しながら取り入れてみるのはいかがでしょうか。

また、筋力アップは40歳以上の女性の4割以上が経験しているといわれる尿もれにも効果があります。くしゃみをしたとき、おなかに力が入ったときなどに、ちょっとだけ漏れてしまう腹圧性尿失禁の悩みは、骨盤底筋群にアプローチするトレーニングを続けることで予防・改善が期待できます。

骨盤底筋群骨盤底筋群

ちょっとした時間を使って
骨盤ケア!
尿もれの悩みには
「骨盤底筋トレーニング」

骨盤底筋トレーニング骨盤底筋トレーニング

1.背筋を伸ばして椅子に座り、足を膝よりも広く開く

2.膝の間にクッションや丸めたタオルを軽く挟む

3.息を吐きながら骨盤底筋を収縮させる(腟を引き上げるイメージで)

4.無理のない範囲で5~10秒ほど息を止めた後、息を吸いながら骨盤底筋を緩める

1セットにつき8~12回、
1日4~6セットを目標に続けてみよう!

1回トータル15分でOK!
「インターバル速歩」
なかなかウォーキングをする時間が
取れない…そんな方におすすめなのが、
「速歩き」と「ゆっくり歩き」を
数分間ずつ交互に繰り返す
「インターバル速歩」。

インターバル速歩インターバル速歩

1.視線は約25m先、背筋を伸ばした姿勢をキープ

2.できるだけ大股で歩き、着地はかかとから

3.肘を90度に曲げて腕を前後に大きく振る

  • 速歩のスピードは「ややきつい」と感じる程度で
  • 3分間の速歩と3分間のゆっくり歩きを1セットとし、1日5セット 15分以上、週4日以上を
    目標に。

1日の早歩きの合計が15分になるのを目安に、
朝・昼・夜とこまめに分けて実施しても大丈夫。

1週間で早歩きを60分以上、5か月間続けることを目標に
土曜・日曜に30分ずつ行ってもOK!

公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「インターバル速歩の効果」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/intabarusokuho.html
(参照2022年9月27日)

「かかりつけ医」を持つと安心!

老年期は、自分や配偶者の退職、身近な家族や友人の病気・死別など、人生の転機になる出来事が増え、カラダだけでなくメンタル面の不調を抱えやすい時期でもあります。定期的に健康診断を受け、不調を感じたら「年齢のせい」と決めつけず医療機関を受診することが大切です。

更年期とは異なり、老年期の不調は産婦人科だけではケアしきれないケースが多くなります。そのため、どの診療科を受診すれば良いのか分からず受診をためらう方もいるかもしれません。そうならないためには、気になることがあったら気軽に相談できる「かかりつけ医(ホームドクター)」がいると安心です。まずはかかりつけ医を受診し、必要な場合には、専門の医師や医療機関を紹介してもらいましょう。

どの女性にも必ず訪れる老年期。「理想の老年期の過ごし方」をイメージしながら、その実現に向けて一歩踏み出してみましょう。年齢にとらわれず、自分の人生を自分らしく、イキイキと楽しめるように、正しい知識を持って、健康維持と病気予防を心がけてください。

気になる病気、診てもらうとしたら何科?

病気 何科を受診?
生活習慣病 内科、循環器内科など
骨粗鬆症 整形外科など
ロコモティブシンドローム 整形外科など
萎縮性腟炎 産婦人科
うつ病 精神科、心療内科など
子宮体がん 産婦人科
卵巣がん 産婦人科
認知症 脳神経内科、脳神経外科、精神科、内科など
老年期のカラダの変化に
気をつけながら、
やりたいことをイキイキ楽しもう!
気になる症状があれば、
まずはかかりつけ医に
相談してみよう。