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出産は、大きな喜びがある一方で、
お母さんのカラダに
大きな負担がかかる大仕事です。
出産という一大イベントを迎えるために
知っておきたいことや、
気をつけることをまとめました。
妊娠36週を過ぎると、いつ産気づいても不思議ではありません。お産がいよいよ間近に近づいてきたサインとして知っておきたいのが、「おしるし」「陣痛」「破水」の3つです。
赤ちゃんを外に出そうとして子宮が収縮するために起こる痛みです。
痛みが定期的に起こり、強くなり、10分間隔もしくは1時間に6回以上になった時点で、一般には「陣痛開始」と判断されます。
陣痛から分娩までの流れは大きく3段階に分けられます。進み方は人それぞれですが、初産では11~17時間くらいかかるといわれています。いざその時を迎えて不安を感じることがないように、大まかな流れを知っておきましょう。
子宮の収縮が次第に強くなり、子宮口が開いていきます。それにつれて、陣痛の間隔は短くなり、痛みも強くなります。
陣痛開始時に、おおよそ10分間隔で20~30秒続いていた痛みは、次第に間隔が短く、継続時間は長くなっていきます(2~3分間隔で約60秒間継続)。
子宮口が最大(約10㎝程度)まで開き、陣痛がピークに達したら分娩室に移動します。
初産の場合は12時間、経産婦で7時間くらいが目安で、出産にかかる時間の3/4以上が分娩第1期になります。
子宮口が7cmくらいまで開き、赤ちゃんの頭が降りてくると、お母さんはいきみたくなります。けれど、子宮口が完全に開き、いきんでよいと指示があるまではできるだけがまんしましょう。吐くことに集中した呼吸を行う、肛門を強く押さえる、腰のあたりをさするなどすると、いきみたい感覚をやわらげるのに役立ちます。
子宮の収縮(陣痛)と腹圧(いきみ)に押され、赤ちゃんは産道の形に合わせてカラダを回転させながら(回旋)、産道を通り抜けます。この間も約1分間隔で強い痛みをともなう陣痛が起きます。所要時間の目安は初産婦で1時間、経産婦で30分ほどです。
赤ちゃんが産まれたあとに、赤ちゃんに栄養や酸素を送っていた胎盤を体外に出すために軽い陣痛が起こります。所要時間目安は5~10分ほどです。
出産方法は大きく2種類に分類されます。
経腟分娩 | 産道を通って赤ちゃんが出てくる方法です。 |
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帝王切開 | 腹部と子宮を切開し、直接赤ちゃんを取り出す方法です。 経腟分娩が難しいと判断された場合などに選択されます。 計画的に行う「予定帝王切開」と、分娩時の緊急事態などに行われる「緊急帝王切開」に分けられます。厚生労働省の調査(平成29年発表)では、診療所で14%、病院では25.8%の方が帝王切開で出産されており、決して珍しい方法ではありません。 |
経腟分娩の場合、産む場所や分娩台の種類、分娩時の姿勢など、出産のスタイルは多様化しており、さまざまな選択肢があります。医師と相談しながら、ご自身の希望に合う方法を選ぶことができます。
普通分娩 | ||
---|---|---|
特徴 | あおむけに寝た姿勢で行う一般的な方法です。必要に応じて陣痛促進剤の投与、鉗子(かんし)や吸引による介助を行います。 | |
知っておきたい ポイント |
「普通」という名称が付いていますが、必ずしもこの方法が最適であるという意味ではありません。 | |
無痛分娩 | ||
特徴 | 陣痛を和らげるための麻酔を使用する方法です。意識はありますので、出産後に赤ちゃんを抱っこすることも可能です。 | |
知っておきたい ポイント |
麻酔を使用するため、医師との相談が必要です。「無痛」という名称が付いていますが、完全に痛みがなくならない場合もあります。欧米諸国では一般的に行われています。 | |
計画分娩 | ||
特徴 | 事前に予定日を決めて、陣痛促進剤で人工的に陣痛を起こし、出産する方法です。 | |
知っておきたい ポイント |
陣痛促進剤を使ってもなかなか陣痛が始まらず、計画通りに出産できない場合もあります。 | |
座位分娩 | ||
特徴 | 座った姿勢で出産する方法です。寝ているときよりもおなかに力を入れやすく、赤ちゃんが骨盤にそって下がりやすいといわれています。 | |
知っておきたい ポイント |
座位用の分娩台がある施設を選ぶ必要があります。 | |
フリースタイル分娩 | ||
特徴 | アクティブバースとも呼ばれます。横向きになる、立て膝をする、両手・両膝をつくなど、楽な姿勢を取りながら出産する方法です。 | |
知っておきたい ポイント |
助産院や自宅出産で多い方法でしたが、現在は総合病院などでも採用されることもあります。 |
種類 | 特徴 | 知っておきたいポイント |
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普通分娩 | あおむけに寝た姿勢で行う一般的な方法です。必要に応じて陣痛促進剤の投与、鉗子(かんし)や吸引による介助を行います。 | 「普通」という名称が付いていますが、必ずしもこの方法が最適であるという意味ではありません。 |
無痛分娩 | 陣痛を和らげるための麻酔を使用する方法です。意識はありますので、出産後に赤ちゃんを抱っこすることも可能です。 | 麻酔を使用するため、医師との相談が必要です。「無痛」という名称が付いていますが、完全に痛みがなくならない場合もあります。欧米諸国では一般的に行われています。 |
計画分娩 | 事前に予定日を決めて、陣痛促進剤で人工的に陣痛を起こし、出産する方法です。 | 陣痛促進剤を使ってもなかなか陣痛が始まらず、計画通りに出産できない場合もあります。 |
座位分娩 | 座った姿勢で出産する方法です。寝ているときよりもおなかに力を入れやすく、赤ちゃんが骨盤にそって下がりやすいといわれています。 | 座位用の分娩台がある施設を選ぶ必要があります。 |
フリー スタイル 分娩 |
アクティブバースとも呼ばれます。横向きになる、立て膝をする、両手・両膝をつくなど、楽な姿勢を取りながら出産する方法です。 | 助産院や自宅出産で多い方法でしたが、現在は総合病院などでも採用されることもあります。 |
通常は会陰部が十分伸びるのを待ちつつ、裂けてしまうことがないように赤ちゃんを取り出します。しかし、会陰の伸びが悪い場合や、赤ちゃんの心音に異常があるなど、早く分娩を終わらせたほうがよいと思われるときに、医師の選択で「会陰切開」を行います。全員が必ず受けると決まっているわけではありません。
赤ちゃんが産道の途中で止まってしまい、なかなか出てこられないときに、頭を引っ張り赤ちゃんを助けます。
吸引カップを赤ちゃんの頭に当てて引き出す「吸引分娩」や、鉗子という器具で赤ちゃんの頭をはさんで引き出す「鉗子分娩」が行われます。
引っ張る力で頭が長く伸びたり、こぶができることがありますが、生後しばらくすると自然に戻るので心配はいりません。
出産は、妊娠週数によって下の図のように分けられます。妊娠22週未満での妊娠の停止を「流産」、出産期間が妊娠22~36週の出産を「早産」、37~42週未満の出産を「正期産」、42週以後の出産を「過期産」とよびます。正期産は母子ともにリスクが低く理想的な出産時期と考えられており、実際、正期産の割合は出産全体の約90%を占めています。
初めて出産を経験する場合、陣痛の訪れが予定日を超えることもめずらしくありませんが、42週を超えるまでは正常の範囲です。ただし、42週を過ぎて過期産に入った場合は胎盤機能の低下、羊水の減少、赤ちゃんが大きくなりすぎて難産になるなどのリスクがあるため、慎重な対応が必要になります。
妊娠22~36週に赤ちゃんが産まれる「早産」は、全妊娠の約5%に起こるといわれています。
赤ちゃんは、お母さんのおなかの中で40週前後育つことで、生まれた後の生活に十分適応できるカラダに成熟します。医療の進歩により、早産で生まれた赤ちゃんも通常の赤ちゃんとほぼ変わらずに育つ場合も多くなりました。とはいえ、カラダの機能が未熟な状態で早く生まれるほど、何らかの病気や障害などのリスクが高まる心配もあります。
妊娠中は定期的な健診を受け、早産になりやすい状況にあると診断された場合は医師の指示に従いましょう。
早産のリスクとして、下記のような状態があげられます。
また、下記のような場合は、お母さんと赤ちゃんの安全を優先するために人工的に早産にすることもあります。
「早産」になる危険性が高い、すなわち早産の一歩手前の状態のことをいいます。
下腹部痛が続いたり、規則的かつ頻回におなかが張ったり、不正出血、破水などがみられる場合には、切迫早産である可能性があります。また、自覚症状がなくても、超音波検査で早産の兆候が見つかる場合もあります。
切迫早産と診断されたら、まずは安静にすることが大切です。必要に応じて子宮の収縮を抑える薬や細菌感染を抑えるための抗菌剤などで治療したり、入院が必要になることもあります。1日でも長く赤ちゃんがおなかにいられるよう、医師の指示にきちんと従うことが大切です。
「流産」とは、妊娠22週より前に妊娠が終わり、赤ちゃんが亡くなってしまうことです。いわゆる人工妊娠中絶を「人工流産」、それ以外の自然に妊娠が終わることを「自然流産」とよびます。
妊娠のうち15%程度が自然流産になるとされており、流産を経験する女性は決して少なくないと言えます。
流産のリスクは20〜30代前半では全妊娠の約15%前後ですが、35歳で約20%、40歳で約35%、45歳で約60%と、年齢とともに上がっていきます。
早期に起こる流産の50~60%は「受精卵の異常(染色体の病気)」が原因といわれています。つまり、受精の段階で、もともと育つことがむずかしい受精卵であったという場合がほとんどなのです。
ストレスや転倒といった、お母さんの生活や行動が流産の原因であるケースは多くありませんが、以下のような行動を心がけるとよいでしょう。
「不育症」とは、妊娠はするものの、流産・死産を繰り返す、あるいは赤ちゃんが生後間もなく死亡してしまうなど、妊娠しても赤ちゃんを迎えられない状態をいいます。
流産を2回以上繰り返す場合は、原因となる何らかのリスクが隠れている可能性がありますので、産婦人科医へ相談してみましょう。
流産や不育症でなかなか赤ちゃんを迎えられない経験をすると、不安や気持ちの落ち込み、喪失感など、つらい気持ちを抱えてしまうかもしれません。
そうした際に、精神的なケアを受けるのはとても大事なことです。
不育症と診断された方も、適切な治療を行うことで元気な赤ちゃんを望めることがわかってきています。
つらい気持ちに寄り添い、一緒に治療に取り組んでくれる産婦人科医に相談することも大切です。
最近では晩婚化が進み、第一子の平均年齢はおおよそ30歳。30代後半以降に初めて妊娠・出産に臨むお母さんも少なくありません。日本では35歳以上の初産を高年初妊婦と定義しています。
高齢出産では、赤ちゃんの染色体異常やお母さんの妊娠高血圧症候群など合併症のリスクが高まるといわれています。安心して出産を迎えられるよう、きちんと妊婦健診を受けるのはもちろん、合併症の予防や体力づくり、一人で無理をせず頼れる人を見つける、といったことも大切です。
一方で、年齢を重ねてから出産することは、人生経験を多く積んだうえで子育てができ、友人、知人に育児の経験者が多く、相談しやすいといったメリットもあります。
良い点、注意すべき点を正しく知って出産を迎えたいですね。