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更年期からの女性の健康

多くの女性は50歳前後で「閉経」を迎えます。
一般に、閉経の前後5年、45~55歳位を
「更年期」といいます。
更年期以降は不調を感じやすい世代だからこそ、
自分のカラダの変化をよく知り、前向きに
年齢を重ねていきましょう。

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いつからが更年期?

「更年期」は、いつはじまるの?

女性の一生は主に、思春期(10~18歳頃)、性成熟期(18~45歳頃)、 更年期(45~55歳頃)、 更年期以降(55歳頃~)という4つのライフステージに分けることができます。
40代に差しかかる頃から卵巣の機能は衰えはじめ、月経の周期も次第に不規則になっていきます。その後、月経が永久に停止した状態である「閉経」を迎えます。

日本人女性の平均的な閉経年齢は50.5歳といわれています。この閉経年齢をはさんだ前後5年をあわせた10年間(45〜55歳頃)を、一般に「更年期」と呼んでいます。なお、子宮筋腫がある方は閉経が遅い傾向にあるなど、閉経の時期には個人差がありますので、上記の年齢はあくまで目安としてとらえてください。

「閉経」の判断基準は?

医学的には、更年期の女性で12ヵ月以上月経がこない場合、過去1年を振り返って「閉経」と診断されます。

思春期10歳 ~ 18歳 初潮を経験し、性成熟期に向かってエストロゲンの分泌が増える。
性成熟期18歳 ~ 45歳 エストロゲンの分泌が安定。
更年期45歳 ~ 55歳 閉経の前後5年間、エストロゲンの分泌は急激に低下し、
体調に変化が起こりやすい。また、月経周期も変化し、閉経にいたる。
更年期以降55歳 ~ エストロゲンの分泌がわずかとなり、
それまで男性に多かった生活習慣病にもかかりやすくなる。

更年期障害って?

「更年期」を迎えると、何が起きるの?

更年期を迎えると卵巣機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少します。それに伴ってホルモンバランスが崩れ、カラダにさまざまな変化をもたらします。

月経周期の乱れ

個人差はありますが、月経周期が短くなる→月経がだらだらと続く→月経周期が長くなるといった段階を踏んだ後に、閉経を迎えるといった特徴があります。

自律神経の乱れによる不調

エストロゲンが不足すると、脳が「もっと分泌せよ!」とシグナルを出します。しかし、機能が低下した卵巣はそれにこたえることができずエストロゲンは不足したままです。
すると脳は混乱状態に陥り、同じく脳がつかさどっている自律神経の調節機能なども乱れが生じ、不調をひきおこします。

さまざまなカラダの不調

エストロゲンは卵巣以外の器官にも影響を与えているため、不足することでカラダのいろいろな機能に不調が起こりやすくなります。

エストロゲンが影響を与える
部位やカラダの機能

エストロゲンが影響を与える部位やカラダの機能エストロゲンが影響を与える部位やカラダの機能

どんな不調があらわれるの?

更年期を迎えた女性の約8割がさまざまな心身の変化や不調を自覚しているといわれていますが、あらわれる症状やその程度は人によりさまざまです。
その中でも、日常生活に支障をきたすようなつらい症状を「更年期障害」と呼びます。

更年期にみられるさまざまな症状

精神・神経系 頭痛、めまい、耳鳴り、物忘れ、憂うつ感、判断力/集中低下、不眠、不安、倦怠感など
知覚系 しびれ、アリがはう様な感じ、かゆみ、知覚過敏/鈍麻
自律神経系 のぼせ、ほてり、冷え、動悸、息切れ、手足の冷え
皮膚・分泌系 皮膚や粘膜の乾燥、湿疹、発汗、ドライマウス、唾液分泌異常、ドライアイ
運動器系 肩こり、腰痛、関節痛、背筋痛、筋肉痛
消化器系 食欲不振、吐き気、便秘、下痢、腹部膨張感、のどのつかえ
泌尿器・生殖器系 月経異常、頻尿、残尿感、性器下垂感、性交障害、外陰部のかゆみ

主な症状は、エストロゲンの減少による自律神経の乱れが引き起こす、のぼせやほてり、冷え、発汗などです。
この時期に起こる仕事や家庭環境の変化などのストレスが重なって、憂うつ感、イライラ、不眠などの精神的な症状がみられることもあります。
また、その他にもさまざまな症状がみられるがゆえに、つらさの原因が更年期障害であるとわからず、色々な診療科の受診を繰り返すといったケースもみられます。

「更年期障害」はどんな治療をするの?

更年期障害は、症状のあらわれ方やその要因が一人ひとり異なるため、まずは十分な問診が欠かせません。
その上で、運動や食事といった生活習慣の改善やカウンセリング、お薬を使った治療などが行われます。

更年期障害の治療に用いられる主なお薬

ホルモン補充療法(HRT) 足りなくなったエストロゲンをお薬で補います。のぼせ、ほてり、冷え、発汗など、更年期障害の代表的な症状に効果があります。
漢方 体質や強くあらわれている症状にあわせて処方されます。HRTと併用されることもあります。
抗うつ剤、安定剤、
催眠鎮静薬
憂うつ感、不安、イライラ、不眠などの症状を重く感じている人には、抗うつ薬・抗不安薬・催眠鎮静薬なども用いられます。

「更年期障害」は適切な治療により軽減できる可能性があります。つらい症状をがまんせず、まずは婦人科医に相談してみましょう。

ポジティブな気持ちで「更年期」を乗り越えて

更年期はカラダに大きな変化を迎える時期。その中で、仕事、家事、介護など、自分だけでなく周囲の人のためにも毎日頑張っていることでしょう。つらい症状があっても「更年期だから仕方ない」と自分のことは後回しにして頑張っている人も多いのでないのではないでしょうか。

更年期障害のつらさは「あたりまえで耐えるべきもの」ではなく、適切な治療によりやわらげることができます。ひとりで抱え込まず、気になることがあれば一度、婦人科医に相談してみましょう。更年期障害の症状に隠れた別の病気を見つけることもできるかもしれません。
また、健康診断も忘れずに。定期的にカラダの状態を把握することができれば安心ですね。

日本女性の平均寿命が90歳に近づいている今、更年期は人生の折り返し地点。この時期に起こる変化をポジティブに受け止め、上手に乗り越えることが素敵に年齢を重ねていく大切なポイントです。

大切な時間をイキイキと元気にすごすために、「つらいのがあたりまえ」と思わず、自分をいたわってあげてね。 大切な時間をイキイキと元気にすごすために、「つらいのがあたりまえ」と思わず、自分をいたわってあげてね。

更年期以降の健康管理について

更年期以降に気をつけたいこと

更年期以降、エストロゲンが失われることによってリスクが高くなる病気もあります。
エストロゲンは、月経をコントロールする働きのほかに、心血管系、骨、脂質代謝、皮膚、泌尿生殖器、脳の機能などにもかかわっています。これらの器官がエストロゲンの恩恵を受けることができなくなると、色々な病気のリスクが高まります。

健康寿命延長のためには、更年期はそれ以降の生活を元気に過ごすために大切な時期です。食生活の見直しや適度な運動を行うなど、健康管理に気を配るようにしましょう。また、気になる症状がみられる時には無理をせず、早めに医師に相談すると安心です。

エストロゲン不足により高まるリスク

エストロゲン不足により高まるリスク

自分らしい人生を、健やかに楽しむために

最近、更年期以降の健康に関して、フレイル(虚弱)という考え方が注目されるようになってきました。フレイルとは、「加齢によってカラダと心の働きが弱くなってきた状態」です。

加齢が進み、カラダと心の働きが一定以上低下すると、日常生活を自力で送ることができなくなり要介護状態になります。その前段階がフレイルです。

この状態は、筋肉量の低下した状態である「サルコペニア」や、歩行や日常生活に支障をきたす「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」につながるといわれています。そのため、フレイルにならないような生活を心がけていくことが大切です。
フレイルを予防するには、カラダと心を前向きにする工夫が大切です。

生活習慣の工夫

栄養バランスの取れた食生活と適度な運動が重要です。無理のない範囲でウォーキングやストレッチなどを取り入れることもおすすめです。

社会とのつながりの維持

仕事、ボランティア活動、趣味や習い事、友だちとの交流など、積極的に人とかかわる機会を作るようにしましょう。

明るく前向きな気持ちでいることで、イキイキと元気に毎日をすごしたいものです。

更年期、更年期以降を元気で前向きに
すごすため、
自分のカラダを大切に。
気になることがある場合は
医師に相談してみよう。
みんなで素敵なエイジングを!
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