お悩みいろいろ!
月経のトラブル

周期の乱れ、つらい痛み、
月経前のイライラなど、
多くの女性が抱える月経の悩み。
その対処法について、一緒に考えてみましょう。

いっしょに考えよう!

月経周期、月経量の悩み

「月経の周期が短い」「たまにしかこない」、これって大丈夫?

月経周期(月経から次の月経までの日数)は25~38日が正常範囲です。
毎回一定でなくても、±6日程度のずれであれば問題ありません。
また、思春期のうちは女性ホルモンの分泌が不安定なため月経周期が不順になりがちですが、次第に安定してきます。
月経周期が正常より短く(24日以内)、月経の頻度が多い場合を「頻発月経」、月経周期が正常より長く(39~89日)、頻度が少ない場合を「希発月経」、90日以上月経がない場合を「無月経」といいます。
このように、月経の頻度が多かったり、少なかったりする場合は、カラダやホルモン分泌に何らかのトラブルが起きているかもしれません。

月経周期と分類

月経周期
24日以内 25~38日 39~89日 90日以上
頻発月経 正常 希発月経 無月経

※毎回一定でなくても、±6日程度の
変動であれば問題ありません。

放置しないで! 月経周期の異常

月経周期の異常は、ホルモンの分泌や卵巣、子宮などにトラブルがあることを知らせるサインです。

希発月経・無月経

希発月経には、もともとの体質により排卵までに長い時間がかかるケースと、ホルモン分泌や卵巣機能などのトラブルにより排卵がなくなり月経がなかなかこないというケースがあります。過度なダイエットやストレスなどが原因となることもあります。このような排卵をともなわない希発月経は不妊の原因にもなり、放置すると無月経になることもあります。
長期間無月経の状態が続くと、治療しても月経が回復しなかったり妊娠しづらくなることもあります。このような状態ではエストロゲンが十分に分泌されず、骨折が起こりやすくなったり、将来、骨粗しょう症になる可能性も高まります。

頻発月経

排卵をともなわない月経として、ホルモン分泌が不安定な思春期や卵巣機能が低下した更年期によくみられます。また、排卵はあっても、通常14日間である黄体期が短くなることで月経周期が短縮されていることもあります。このようなケースは、黄体ホルモンの量が不足することにより不妊の原因になることもあります。
また、頻発月経は月経の回数が多いことから、貧血をともなうこともあります。

月経周期に異常がある場合は、なるべく早く治療することが大切ですので、産婦人科の受診をおすすめします。原因を明らかにし、適切な治療を受けましょう。

月経の「量が多い」「少ない」、もしかして病気?

月経の日数は3~7日、1周期あたりの総出血量は20~140mLが正常とされています。
ただし、月経の量は客観的に測ることが難しく個人差も大きいことから、自分の月経量が多いか少ないかはわかりにくいものです。

月経の量が多い、月経が長い

1周期あたりの総出血量が140mL以上の場合を「過多月経」といい、月経量が多いと判断されます。たとえば、通常のナプキンの使い方では対応できない(1時間おきに交換しなければ間に合わない、昼間でも夜用を使わないと間に合わない)、500円玉くらいの大きさのレバーのような血の塊(かたまり)が見られるときなどは、月経量が多いといえます。また、8日以上出血が続く場合を「過長月経」といいます。
その原因として考えられるのは、子宮筋腫や子宮腺筋症などの病気、無排卵周期症などです。上記のように月経量が多い方や月経期間の長い方、貧血ぎみなどの症状が気になる方は、産婦人科医に相談してみてください。

月経量が少ない、月経が短い

1周期あたりの総出血量が20mL以下と非常に少ない場合を「過少月経」といいます。2日目であってもナプキンに血がつく程度、おりものシートで間に合ってしまうなどといった場合は月経量が少ないといえるでしょう。また、出血が2日以内で終わってしまう場合を「過短月経」といいます。
その原因としては、子宮の病気、無排卵周期症、甲状腺ホルモンの分泌異常などが考えられます。

このように、月経量は多くても少なくても何かの病気が隠れている可能性があります。
思い当たる方は産婦人科医に相談してみましょう。

月経痛がとてもつらいとき

月経のつらい症状、
「月経困難症」かもしれません

月経にともなって、日常生活に支障をきたすような下腹部痛や腰痛などの症状があらわれ、月経が終わると改善する場合、「月経困難症」である可能性があります。
月経困難症の症状は、月経直前または月経開始とともにあらわれるのが特徴です。

月経困難症は、原因となる病気がないのに症状があらわれる「機能性月経困難症」と、子宮の病気が原因で起こる「器質性月経困難症」の2タイプに分けられます。

  機能性月経困難症 器質性月経困難症
年齢
  • 初経の2~3年後からあらわれる
  • 思春期に多い
  • 初経から数年以上たってあらわれる
  • 20代後半以降に多い
  • 年齢が高くなるにつれて発症する人が増える
症状
  • 周期的に痛みを感じる
  • 月経の初日や2日目など、出血量が多い日に症状が強くなる
  • 鈍い痛みなどの症状が、月経数日前からはじまる
  • 月経中は症状が強くなる
  • 月経後も症状が数日続くことがある
原因 原因となる病気はない
プロスタグランジンという物質が通常より多く
つくられることで子宮が強く収縮し、下腹部痛などの症状が引き起こされると考えられている 
何らかの病気を原因とする
  • 子宮内膜症
  • 子宮腺筋症
  • 子宮筋腫 など

※子宮の血管を収縮させて、月経血の排出や
止血、分娩時に陣痛を起こす働きがある。

月経困難症の診断方法は?

産婦人科を受診したら、問診のほか、必要に応じて超音波検査、内診などを行い、診断されます。

  • 問診
    いつ、どのような症状があらわれるか、医師が現在の状態について尋ねます。
  • 超音波検査
    超音波を当てて子宮や卵巣の
    状態を画像で確認します。
  • 内診
    触診により直接子宮や卵巣の状態を調べます。

器質性月経困難症が疑われるときは、原因となる病気の種類や重症度を判断するために、MRI検査、血液検査が行われることもあります。

受診前に、情報をまとめておくと診察時に便利!

産婦人科を受診すると、問診票の記入や医師の問診があり、診断に必要な情報を伝えることになります。具体的な症状や、あらわれた時期などを受診する前にまとめておくと、診察の時にきちんと医師に伝えることができるのでおすすめです! また、医師に質問したいこともメモしておくと、「気になっているのに聞きそびれてしまった…」とならずにすみますよ。

あなたのカラダのこと
月経周期 順調か不順か 
※順調なら(  )日周期
最後にあった月経 いつから、何日間あったか
初経年齢 (  )歳
あなたの症状のこと
症状 どんな場所がどのように痛むか
他に気になる症状はないか
(過多月経など)
期間 いつ頃から症状があるか
痛みが続く期間は
程度 日常生活への影響は
鎮痛剤の使用頻度は

月経困難症の治療法は?

月経困難症と診断されたら、カウンセリングやお薬を使った治療が行われます。子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などが原因の器質性月経困難症では、重症度、年齢、妊娠希望などを総合的に判断し、必要に応じて手術が行われることもあります。

【カウンセリング】

症状があらわれるタイミング、症状の重さなどを主治医と一緒に確認します。症状があらわれる理由や治療法への理解が深まり、生活習慣の改善点や具体的な改善方法が明確になるなどのメリットがあります。

【お薬による治療】

症状にあわせて、以下のような薬が処方されます。

月経困難症の治療に用いられる主なお薬

LEP製剤:
低用量卵胞ホルモン(エストロゲン)・
黄体ホルモン(プロゲスチン)配合薬
排卵を休ませ、子宮内膜を厚くさせないことで
月経痛を軽減します。
黄体ホルモン(プロゲスチン)剤 子宮内膜を厚くさせないことで
月経痛を軽減します。
その他 痛みの原因となるプロスタグランジンの
産生を抑える鎮痛剤や、
痛み、むくみ、便秘、冷え性などの症状を緩和するために、漢方、ビタミン剤、利尿剤などが
処方されることがあります。

日常生活でできることは?

冷えによって血流がとどこおったり、子宮収縮をうながす食品を多くとると、子宮が過剰に収縮して痛みが増す原因になることもあります。また、ストレスも症状を引き起こすことがあります。
日常生活のちょっとした工夫で症状がやわらぐことがあるので、無理のない範囲で取り入れてみてください。

カラダを温めて冷えを防ぐ
  • 長めの入浴で全身を温める
  • カイロや衣類でおなかや腰を温める
  • 軽い運動やストレッチで血流を促進させる
食事や飲み物を工夫する
  • カラダを冷やすものは控える
    (白砂糖やカフェインを含む食品、冷たいもの)
  • 子宮収縮をうながすものは控える
    (チョコレートやチーズ、ワイン)
  • 青魚やビタミンE、ビタミンB6
    マグネシウムなどを含む食品をとる
ストレスをためない
  • 好きなことに取り組むなど
    リラックスできる時間をつくる
  • 無理をせずに休養をこころがける

また、カラダやこころの変化は一人ひとり違うため、基礎体温や月経の情報を記録して自分の状態を知っておくことも大切です。

月経前に体調がすぐれないとき

月経前にイライラする、なんだか体調が悪い…
それは「PMS」かもしれません

なんとなくイライラする、気分が落ち込む、乳房やおなかが張る…、月経前にそんな症状はありませんか。
月経の数日前(3~10日前)から症状があらわれて月経がはじまるとおさまる、そんなカラダとこころのさまざまな不調を「月経前症候群(Premenstrual Syndrome : PMS)」といいます。
PMSの症状や強さには個人差がありますが、多くの女性が月経前に何らかのつらい症状を抱えており、PMSであらわれる症状は200種類以上ともいわれています。

特にこころの症状が重く、日常生活に支障が出る場合は、「月経前不快気分障害(Premenstrual Dysphoric Disorder : PMDD)」と診断されることもあります。

これらの原因ははっきりとはわかっていませんが、排卵を境に女性ホルモン(特に黄体ホルモン)の分泌が増え、月経前に減少するというホルモンバランスの急激な変化や、月経前にカラダやこころのバランスを整える働きをもつセロトニンというホルモンが低下することなどが考えられています。

PMSの主な症状

カラダの不調

  • 乳房や下腹部のハリ、下腹部痛、腰痛、肩こり、頭痛、乳房痛、むくみ、ニキビ、肌荒れ、のぼせ、食欲増加、食欲減退 など

こころの不調

  • イライラする、怒りっぽくなる、
    落ち着かない、情緒不安定
    抑うつ気分など
    ※突然悲しくなる、感情の起伏が激しくなるなど

PMSの診断方法、治療法は?

産婦人科では、症状があらわれる時期や具体的な症状について問診を行い、月経周期との関連をみます。さらに、他の病気ではないことを確認し、PMSかどうか診断されます。
お薬による治療では、症状にあわせてホルモン剤、鎮痛剤、漢方、利尿剤、抗うつ剤などが処方されます。
また、セルフケアとしてリラックスする時間を設ける、バランスの良い食生活をこころがけるといった工夫をしたり、「これはPMSだ」と認識するだけでも症状が和らぐこともあります。

PMSで人にあたってしまった、気持ちが落ち込んだり体調がすぐれずにやるべきことができなかった…そんなとき、自分を責めすぎないで。それはあなたのせいではなく、月経前に起こるカラダの反応によるものです。気持ちや体調をコントロールするのが難しい、つらいと感じたら産婦人科医に相談してみましょう。 PMSで人にあたってしまった、気持ちが落ち込んだり体調がすぐれずにやるべきことができなかった…そんなとき、自分を責めすぎないで。それはあなたのせいではなく、月経前に起こるカラダの反応によるものです。気持ちや体調をコントロールするのが難しい、つらいと感じたら産婦人科医に相談してみましょう。

自分の月経周期とPMSの
時期を把握しておこう

PMSであらわれる症状は人によってさまざまです。
胸の張りや腹痛などはPMSの症状だと自覚しやすいですが、気持ちの変化や頭痛などは、その場ではPMSの症状だと気づかないこともあるかもしれません。
「そういえば今日は、なぜか気持ちが落ちこんでいたな」
「月経前に体調がすぐれないことが多いな」
そんなことに気づいたら、時期と症状を記録してみましょう。
PMSが起こる時期や、どのような症状があらわれるかを把握できれば、その時期には大事な用事を避けるなどの対処がしやすくなります。

月経によるつらい症状を抱えるあなたへ

月経痛やPMSなどのつらい症状があるのは当たり前、がまんするもの、そう思っていませんか。
もし1回の月経周期のうちに、月経痛に悩む日が2日、PMSで体調のすぐれない日が3日、計5日つらい日があるとしたら…月に1回のペースで月経が起こると考えると、1年で60日、およそ2ヵ月もの間、月経にまつわる症状で苦しんでいることになります。
産婦人科医もきっと心強い味方になってくれますよ。
イキイキと元気に過ごすことができる日を増やすために、自分のカラダと向き合ってみてください。

月経の悩みは、ひとりで悩まずに
産婦人科の先生に相談してみよう!
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