生理と貧血にはどのような関係がある？貧血の種類について解説

多くの女性が経験する生理は、時に貧血の原因となることがあります。
本記事では、生理による貧血がなぜ起こるのか、そのメカニズムと貧血の種類について詳しく掘り下げていきます。

生理に伴う出血量やその周期が貧血にどのように影響を与えるのか、また、貧血を引き起こす他の要因とは何かについても解説します。
生理と貧血の関係を理解することで、自身の健康管理に役立てましょう。

生理中は貧血になりやすい？

生理中に貧血になりやすいかどうかは、個々の生理の状態や体質によって異なります。
生理中の出血によって、体内の鉄分が失われることがあります。

特に、経血量が多い女性や生理期間が長い女性は、鉄欠乏性貧血になりやすいとされています。
また、過多月経の場合、標準的な経血量を超える出血があり、これが鉄欠乏性貧血の原因となることがあります。

鉄欠乏性貧血については後述で詳しく解説します。
過多月経の原因となる疾患がある場合も、貧血のリスクが高まります。

生理中に起こりやすい貧血の種類

生理中に特に女性が経験しやすいのが鉄欠乏性貧血です。
この貧血は、生理による経血の喪失が主な原因となり、日常生活に影響を及ぼすことがあります。

また、脳貧血、または起立性低血圧は、急な姿勢の変化によって一時的に脳への血流が減少し、めまいや立ちくらみなどの症状を引き起こす状態です。

特に生理中の女性は、ホルモンバランスの変化により自律神経が乱れやすく、脳貧血を起こしやすいとされています。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は、生理中の女性に多い貧血の形態です。
鉄欠乏性貧血は、体内の鉄分が不足することで起こります。

鉄は赤血球の主要成分であるヘモグロビンの生成に必要で、ヘモグロビンは全身の組織に酸素を運ぶ役割を担っています。
鉄分が不足すると、ヘモグロビンの生成が減少し、結果として酸素運搬能力が低下します。

生理中の女性は、経血と共に鉄分も失うため、特に鉄欠乏性貧血になりやすいとされています。
特に経血量が多い、生理期間が長い女性は、より高いリスクを持ちます。

また、過多月経の原因となる子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患がある場合も、鉄欠乏性貧血のリスクが高まります。

鉄欠乏性貧血の症状には、疲労感、倦怠感、動悸、息切れ、めまいなどがあります。
また、肌の色が蒼白になる、爪が薄くなる、髪の毛が抜けやすくなるなどの症状も見られます。

これらの症状は徐々に進行するため、初期段階では気づきにくいことがあります。

鉄欠乏性貧血の診断は、血液検査によって行われます。
治療には、鉄分を豊富に含む食品の摂取や鉄サプリメントの利用がおすすめです。

重症の場合は、鉄剤の内服や注射が必要になることもあります。
また、貧血の原因となる疾患がある場合は、その疾患の治療も重要です。

脳貧血（起立性低血圧）

脳貧血は、立ち上がるときや長時間立っているときなど、血圧が急激に変動する状況で起こります。
血圧の急激な変化により、脳への血流が一時的に減少し、酸素供給が不足することで症状が現れます。

生理中はホルモンバランスの変化により、自律神経の調節が上手くいかなくなることがあります。
これが脳貧血を引き起こす一因となります。

生理中の女性は、特に朝の起床時や長時間の立ち仕事などで脳貧血を起こしやすくなります。

脳貧血の症状を感じた場合、すぐに横になり、頭の位置を足よりも下げることが役立ちます。
座って頭を下げ、膝を抱える姿勢も役立ちます。

身体を締め付ける衣服を緩め、上着や毛布で体を温めることも重要です。
症状が落ち着くまで十分に休むことが必要です。脳貧血は一般的に一時的なものですが、頻繁に起こる場合は医療機関での相談が必要です。

生理中の脳貧血は、血圧が低い方や自律神経の乱れがある方に特に起こりやすいため、日常生活でのストレス管理や十分な睡眠、バランスの良い食事が重要です。

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生理による貧血で考えられる病気

生理による貧血は、単なる体質だけでなく、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜などの可能性もあります。
これらの病気は、生理の異常や貧血の原因となり得る重要な健康問題であり、女性の健康に大きな影響を与えることがあります。

子宮筋腫・子宮腺筋症

子宮筋腫・子宮腺筋症は子宮の筋肉層にできる良性の腫瘍です。
子宮筋腫は境界明瞭に発生することが多いですが、子宮腺筋症は境界不明瞭に発生することが多いです。

30歳以上の女性に多く見られ、症状としては過多月経、生理痛の悪化、下腹部の圧迫感などがあります。
子宮筋腫が大きくなると、経血量が増加し、それが鉄欠乏性貧血を引き起こす原因となることがあります。
治療方法としては、薬物療法や手術があります。

子宮筋腫や子宮腺筋症は、初期段階では自覚症状が少ないことが多いため、定期的な婦人科検診が重要です。
生理の異常や貧血の症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断を受けることが大切です。

これらの病気は、治療を受けることで症状の改善が期待できますが、放置すると症状が悪化する可能性があります。

子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮内膜が子宮以外の場所に存在し、増殖する病気です。
この病気は、生理周期に合わせて子宮内膜組織が増殖し、痛みや出血を引き起こします。

特に20〜30代の女性に多く見られ、生理痛の悪化や過多月経、不正出血などの症状が現れることがあります。

子宮内膜症による過多月経は、鉄欠乏性貧血を引き起こす一因となります。
生理の際に多くの出血があると、それによって貧血の症状を抱えることがあります。

特に、黒く濁った血が出てくるなど、生理の際に血液の変化が大きく出ることがあります。
これは、体内の環境において不要な物質が多く蓄積している可能性があることを示しています。

子宮内膜症の治療には、痛みに対する鎮痛剤の使用や、ホルモン療法、手術などがあります。
ホルモン療法では、人工的に生理を止めて病巣を休ませる方法が取られます。

重症の場合や妊娠を望む場合は、手術が選択されることもあります。

子宮内膜症は、生理のたびに進行し、重症化することもあります。
特に、不妊症の原因になることもあるため、妊娠を望む女性にとっては注意が必要な疾患です。

また、子宮内膜症は再発することが多いため、治療後も定期的な検査が必要です。

生理による貧血を改善する方法

生理による貧血は、鉄分不足が主な原因の一つです。
生理による貧血は、日常の食生活だけでなく、サプリメントを利用することで改善が見込めます。

特に鉄分やビタミンC、タンパク質などの栄養素を含むサプリメントがおすすめです。

鉄分が含まれている食品を摂る

鉄分は、赤血球の主要成分であるヘモグロビンの生成に不可欠な栄養素です。
生理による出血で失われる鉄分を補うためには、鉄分を豊富に含む食品の摂取が重要です。

鉄分を豊富に含む食品を以下に紹介します。

• 赤身の肉：牛肉や豚肉の赤身部分には、鉄分が豊富に含まれています。
• レバー：鶏レバーや豚レバーなどは、特に鉄分が多く含まれています。
• 魚介類：あさりやかきなどの貝類、まぐろやかつおなどの魚類も鉄分が豊富です。
• 海藻類：ひじきやわかめなどの海藻類にも鉄分が含まれています。
• 大豆製品：豆腐や納豆などの大豆製品も鉄分の良い供給源です。

また、ビタミンCは鉄の吸収を助けるため、鉄分を含む食品と一緒に摂取すると良いです。
果物（いちご、オレンジなど）や緑黄色野菜（ブロッコリー、ピーマンなど）がビタミンCを多く含んでいます。

一方で、コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるタンニンは鉄の吸収を妨げるため、鉄分を多く含む食事と一緒に摂取するのは避けましょう。
鉄分を含む食品を毎日の食事に取り入れ、バランスの良い食生活を心がけることが重要です。

サプリメントを服用

生理による貧血は、鉄分不足が主な原因の一つです。
食事から十分な鉄分を摂取するのが難しい場合、サプリメントを利用してみましょう。

鉄分サプリメントは、鉄欠乏性貧血の予防や改善に役立ちます。
鉄分の吸収率を高めるために、ビタミンCと一緒に摂取することが推奨されます。

ビタミンCは免疫力の向上にも役立ちます。

鉄分サプリメントを選ぶ際は、吸収率の高い「ヘム鉄」を含む製品を選ぶと良いでしょう。
鉄分の過剰摂取は体に負担をかける可能性があるため、適切な量を守りましょう。

タンパク質はヘモグロビンの生成に必要な栄養素であり、鉄分の吸収をサポートします。
プロテインは、食事から十分なタンパク質を摂取できない場合に便利です。

サプリメントを選ぶ際は、成分表示を確認し、必要な栄養素が含まれているかをチェックしましょう。摂取量や摂取タイミングは、製品の指示に従ってください。長期間のサプリメント摂取は、医師や栄養士と相談することが重要です。

サプリメントはあくまで補助的な役割を果たし、バランスの良い食事が基本です。

生理と貧血に関するよくある質問

生理と貧血は多くの女性が経験する健康上の問題です。
生理周期に伴う身体の変化が貧血を引き起こすことがあり、これに関する疑問や不安は少なくありません。

ここでは、生理と貧血に関するよくある質問について、わかりやすく解説します。

生理中にめまいが起こるのは貧血ですか？

生理中にめまいが起こる主な原因は、体内の鉄分不足による「鉄欠乏性貧血」です。
しかし、生理中のめまいがすべて貧血によるものではありません。

例えば、生理時に分泌されるプロスタグランジンによって血管が収縮し、神経の反射が追いつかなくなることで、貧血のような症状が出ることもあります。
この場合、めまいは一時的なもので、貧血によるものとは異なります。

生理中のめまいが貧血によるものかどうかを判断するには、血液検査で赤血球の数やヘモグロビンの量を調べる必要があります。
また、生理の出血量が多い場合や、めまい以外にも動悸や息切れなどの症状がある場合は、医療機関での診察が推奨されます。

生理中の貧血対策としては、鉄分を豊富に含む食品の摂取が推奨されます。
レバーや赤身の肉、魚介類、緑黄色野菜などが鉄分を多く含んでいます。

また、ビタミンCを含む食品を一緒に摂ることで、鉄の吸収率を高めます。

生理中のめまいや貧血の症状には、適切な食事と休息が重要です。
また、症状が重い場合や改善しない場合は、医療機関での相談をおすすめします。

自己判断せず、専門家の意見を聞くことが大切です。

不安になるほど生理の量が多い場合は婦人科を受診したほうがいいですか？

生理の出血量が多くて不安を感じる場合は、婦人科の受診を検討してください。
子宮筋腫や子宮腺筋症などの可能性があり、適切な診断と治療により、症状の改善を図ります。

自己判断せずに医師の意見を聞くことが大切です。

生理の出血量が多いと感じる場合、特に昼間に夜用の大きなナプキンを使用しても1〜2時間で取り替えなければならないほどの量がある場合は、婦人科の受診を検討してください。
重い出血は、めまいや疲労感などの貧血の症状を引き起こすことがあります。

子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜症は、生理の出血量を増加させる一般的な原因です。
これらの病気は、適切な治療を受けることで症状の改善が期待できます。定期的な婦人科検診は、これらの病気の早期発見にも役立ちます。

婦人科での検査により、生理の出血量が多い原因を特定し、適切な治療を受けましょう。

生理による貧血はどのように治療しますか？

鉄欠乏性貧血の治療には、鉄分を補充することが重要です。
これには、食事からの鉄分摂取や鉄分サプリメントの利用が含まれます。

重症の場合は、医師の指導のもとで鉄剤の内服や注射が行われることがあります。

脳貧血は、急に立ち上がったり、長時間立ったりしているときに起こることがあります。
これは、血圧の急激な変動により脳への血流が一時的に減少するためです。

脳貧血の症状を感じた場合は、横になって休む、頭を下げる、締め付ける衣服を緩めるなどの対処が役立ちます。

再生不良性貧血、巨赤芽球性貧血、溶血性貧血、腎性貧血、二次性貧血など、他にも多くの貧血の種類があります。
これらの貧血の治療は、原因に応じて異なります。

例えば、腎性貧血ではエリスロポエチンの補充が行われることがあります。

子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜症など、婦人科系の病気が原因で経血量が増え、貧血が起こることもあります。
これらの病気が原因の場合は、病気自体の治療が必要です。
貧血の症状がある場合は、医療機関での診察を受けることをおすすめします。

まとめ

本記事では、生理と貧血の関連性について詳しく解説しました。
生理による出血は、特に重い月経の場合、鉄欠乏性貧血を引き起こす主な原因の一つです。

また、貧血には鉄欠乏性の他にも様々な種類があり、それぞれ異なる原因と症状があることを学びました。
生理と貧血の関係を理解することは、女性の健康管理において非常に重要です。

日常生活での食事や生活習慣を見直し、必要に応じて医療機関での相談を通じて、貧血の予防や改善に努めることが大切です。
自身の体を知り、適切なケアを行い、より健康的な生活を送りましょう。