生理前のプロゲステロンの働きとは?
症状・バランスの整え方を解説
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#PMS #PMDD #月経前症候群 #生理
生理前に増える「プロゲステロン」。体調の変化やPMSの原因とも関わる重要なホルモンです。働き・症状・整え方をわかりやすく解説します。
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女性ホルモンの種類と役割(エストロゲンとプロゲステロン)
エストロゲンとは?
女性ホルモンのエストロゲンには3種類あります。E1・E2・E3について説明します。
■ エストラジオール(E2)
もっとも強力で、「女性らしさ」をつくる中心的なホルモンです。
20〜40代の女性で多く分泌され、肌のハリやツヤ、月経周期の調整、骨や血管の健康にも関わります。閉経に近づくと分泌量が減少し、更年期症状の原因にもなります。
■ エストロン(E1)
閉経後に主に分泌されるエストロゲンで、脂肪組織から作られるのが特徴です。
エストラジオールに比べて作用は弱いものの、閉経後の女性の体を支える重要なホルモンです。
■ エストリオール(E3)
妊娠中に多く分泌されるタイプで、妊婦さんの体を守る穏やかなホルモンです。
作用はやさしく、肌や粘膜のうるおいを保つ働きがあるため、更年期ケアやスキンケアにも応用されています。
プロゲステロンとは?
プロゲステロンはP4と生体内に1種類のみ存在します。プロゲステロンの役割について説明します。
■プロゲステロン(P4)
・妊娠の準備を整える
排卵のあと、卵巣の「黄体」から分泌され、子宮内膜をふかふかにして受精卵が着床しやすい状態をつくります。
・妊娠の維持をサポート
妊娠すると黄体や胎盤から分泌が続き、子宮の収縮を抑えて流産を防ぐ働きをします。
・体や心のリズムを整える
体温を少し上げたり、水分をためやすくしたり、眠気や気分の変化を起こすこともあります。
月経前にイライラやむくみが起こるのは、このホルモンの作用によることが多いです。
・更年期にも関係
更年期になると、排卵が減ってプロゲステロンが少なくなり、月経不順や不眠、情緒不安定が起こりやすくなります。
プロゲステロンの分泌サイクル(月経周期との関係)
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女性の体は、通常、約28日を1サイクルとしてホルモンが変化しています。但し個人差あり、25日〜38日周期は医学的な正常範囲とされています。
その中で「プロゲステロン(黄体ホルモン)」は、排卵のあとに分泌が増えるホルモンで、妊娠をサポートする大切な役割を担っています。
卵胞期(1〜13日ごろ)
卵巣の中で卵胞(卵子のもと)が育つ時期です。
この時期は主にエストロゲンが活躍し、子宮内膜を厚くします。
プロゲステロンはまだほとんど分泌されていません。
排卵期(14日ごろ)
成熟した卵胞が破れて卵子が排出されるタイミングです。
排卵を合図に卵胞が「黄体」に変化し、ここからプロゲステロンの分泌がスタートします。 この頃から体温が少し上昇し始めます。人によっては排卵痛がある場合もあります。
黄体期(15〜28日ごろ)
プロゲステロンの分泌が最も多くなる時期です。
子宮内膜をふかふかにして受精卵が着床しやすい環境を整えます。
妊娠が成立すれば、黄体や胎盤から分泌が続きますが、妊娠しなかった場合は黄体がしぼみ、ホルモン量が急減します。PMSなどの症状もこの時期に来ることが多いです。
月経期(次の周期の1〜5日ごろ)
プロゲステロンとエストロゲンがどちらも急激に低下し、厚くなっていた子宮内膜が剥がれ落ちて月経が起こります。子宮内膜がはがれる事で月経痛(生理痛)となります。
ホルモンがリセットされ、次の卵胞期が始まります。
更年期の時期にプロゲステロンが減る理由
更年期の時期は卵巣機能が徐々に弱くなり、ホルモンの分泌が低下してきます。
卵巣の機能が弱くなると、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低下し、LHサージが起こりにくく、排卵しないため、プロゲステロンの分泌量が低下します。
更年期のホルモン分泌
更年期の時期、エストロゲンは上下に乱降下しながら、低下していくため、臨床上ではエストロゲンだけでなく、エストロゲンを分泌する刺激するホルモンFSHをモニタリングします。
プロゲステロンのバランスが乱れるとどうなる?
PMS(月経前症候群)など、体や心の不調に関与することがあります。原因は完全には解明されていませんが、いくつかの説があります。
- アロプレグナノロン説
プロゲステロンの代謝物が脳の神経伝達に影響し、黄体期の情緒の変化に関わるとされます。ピルなどでホルモン変動を安定させると症状が改善する場合があります。 - セロトニン説
黄体期にエストロゲンが低下すると脳内のセロトニン(幸せホルモン)が減り、抑うつ・過食・睡眠障害が起こりやすくなると考えられています。SSRI(抗うつ薬)が有効な場合もあります。 - ホルモンバランス変動説
エストロゲンとプロゲステロンの比率の変化自体が、体温・むくみ・乳房張り・眠気などの症状に関与します。
プロゲステロンのバランスを整える方法
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医療による方法
- 低用量ピルなどホルモン療法でバランスを整えることが可能です。
- 更年期や持病などで内服が難しい場合は、必ず主治医に相談してください。
生活習慣でのアプローチ
直接ホルモンに与える影響は大きくありませんが、ホルモン分泌に間接的に作用します。
- 睡眠:深い睡眠中にホルモン分泌が活発になります。睡眠の質を整えることが大切です。
- 食事:ホルモンの材料となる栄養素をしっかり摂ること。過度なダイエットは分泌に影響します。
- 運動:適度な運動は自律神経を整え、間接的にホルモンバランスをサポートします。
※過度な運動や栄養不足は月経異常を引き起こす場合があります。
病院で相談すべきケース
セルフケアで十分な対応が難しい場合は、婦人科を受診しましょう。
・生理痛の痛みが強い場合
・いつもより月経量が多い場合
・月経の頻度が減少し、ほてりや発汗などの症状
※2 本検査は、疾患や病状を診断するものではありません。疾病の診断については医師の診察・指導を優先してください。
※3 ピルの服用、もしくはホルモン補充療法やホルモン治療を行っている方は、本検査をご利用いただくことができません。服用をやめて6か月以上経ってからのご利用をお願いします。
まとめ
プロゲステロンは生理前(月経前)の黄体期に最も分泌し、基礎体温の上昇や妊娠に必要なホルモンです。非妊娠時にはPMSなどとも関与しております。更年期に差し掛かる卵巣機能が低下してくると分泌は低下してきます。
参考文献
- 日本産科婦人科学会(JSOG)「女性ホルモンと更年期」
- Merck Manual 日本語版「エストロゲンの種類と機能」
- 日本内分泌学会「内分泌疾患の基礎知識」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「更年期障害」
- Rapkin AJ. Nature Reviews Disease Primers. 2019;5(1):1–25.
- 日本産科婦人科学会『月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)ガイドライン』(2022年)
- Bäckström T et al. Psychoneuroendocrinology. 2014;42:1–14.
- Epperson CN et al. Neuropsychopharmacology. 2012;37(2):310–322.
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- Yonkers KA et al. New England Journal of Medicine. 2008;358(3):270–279.
- Hantsoo L, Epperson CN. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. 2015;100(12):E1502–E1512
- 日本女性医学学会『女性の健康とホルモン変化』2020
