更年期の吐き気が辛いとお悩みではありませんか？吐き気の原因や対処法について解説します

更年期に吐き気が起こる要因

更年期に起こる吐き気は、女性ホルモンの変動による自律神経の乱れが主な原因です。

特に、エストロゲンなどの女性ホルモンのバランスが崩れることで、自律神経が乱れ、吐き気や胃腸の不調が引き起こされます。
これは、更年期になると、卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌が減少するためです。

女性ホルモンの低下は、セロトニンの減少につながり、自律神経のバランスを乱します。
自律神経は、活動時に働く交感神経とリラックス時に働く副交感神経の2つで成り立っています。

しかし更年期では、ホルモンの低下が副交感神経の働きを鈍くし、交感神経が優位な状態が続くことで、吐き気や胃のむかつきなどの症状があらわれます。
更年期の吐き気は、胃のむかつきや食欲不振、急な吐き気や嘔吐を伴うことがあります。

また、めまいや頭痛といった他の症状も併発することがあります。
これらの症状は、更年期に特有のものであり、個人差があるものの、多くの女性が経験するものであるといわれています。

更年期による吐き気の症状があらわれやすい時期

更年期とは、一般的に40代半ばから50代半ばの10年間を指し、女性の体にとって大きな変化が起きる時期です。
この時期には、女性ホルモンの分泌量が激減し、心身にさまざまな症状があらわれます。

吐き気もその1つで、近年では更年期よりも少し早い年齢で更年期症状が見られることもあります。
特に、プレ更年期（30代後半～40代前半）に強いストレスの影響を受けると、更年期症状があらわれることがあります。

吐き気は、更年期の早い段階であらわれやすい症状です。

更年期の症状は、大きく分けると、45歳前後に見られる早い時期の症状と、55歳前後に見られる遅い時期の症状があり、吐き気は早い時期に見られる症状に分類されます。
その後、年齢を重ねるにつれて、倦怠感や不眠、憂うつ、不安感、記憶力低下など精神神経系の症状や、尿漏れや萎縮性膣炎（老人性膣炎）、性交障害、尿失禁などの泌尿生殖器の萎縮症状が見られるようになっていきます。

更年期の吐き気への対処法

更年期におこる吐き気に対する対処法には、どのようなものがあるのでしょうか。
以下で詳しく解説します。

ホルモン補充療法

ホルモン補充療法は、更年期によって減少する女性ホルモンを補う治療法です。

更年期には、卵巣の機能低下によりエストロゲンなどの女性ホルモンの分泌が減少し、吐き気やほてり、不眠、イライラなどの更年期症状があらわれます。
ホルモン補充療法は、これらの症状を軽減するために、エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンを補充することで、自律神経のバランスを整え、体調を改善させます。

ホルモン補充療法は、更年期症状の緩和に効果的であるとされており、特にほてりや発汗、睡眠障害、心理的な不安定感などに対して効果が期待できます。
しかし、ホルモン補充療法は、乳がんや子宮内膜がん、血栓症などのリスクが高まる可能性があるため、治療を開始する前には、リスクと利益について医師と十分に話し合う必要があります。

治療は、錠剤、パッチ、ゲル、注射などの形で実施され、個々の症状や健康状態に応じて適切な方法が選択されます。

また、子宮を摘出していない女性の場合は、エストロゲンに加えてプロゲステロンも補充することが一般的です。
これは、エストロゲンのみを補充すると、子宮内膜がんのリスクを高めるためです。

またホルモン補充療法は、更年期症状の重さや個人の健康状態に応じて、短期間から長期間にわたって実施されることがあります。
治療を受ける際は、定期的な健康診断や医師との相談を通じて、症状の変化や体調を注意深く観察することが重要です。

漢方療法

更年期における吐き気の対処法としての漢方療法は、東洋医学の原理に基づいた自然療法の1つです。

漢方療法では、個々の体質や症状に合わせて、さまざまな生薬を組み合わせた処方がなされ、西洋医学における一般的な薬剤処方とは異なり、体全体のバランスを整えることを目指します。
漢方薬は、即効性よりも、長期的な体質改善や症状の根本的な改善を目的としています。

更年期によく用いられる漢方薬には、六君子湯、柴胡桂枝湯、五苓散などがあります。
これらの漢方薬は、吐き気や胃の不快感、食欲不振などの症状において効果が期待できるとされています。

また、漢方薬は副作用が少ないとされており、ホルモン補充療法などの西洋医学的治療による副作用が心配な方にも選ばれています。
漢方療法を実施する際には、医師や漢方薬局の薬剤師と相談し、自身の体質や症状に合った処方を選ぶことが重要です。

また、漢方薬は継続して服用することで効果が期待できるため、根気強く続けることが求められます。

生活習慣の見直し

更年期による吐き気を緩和するためには、日常生活の中での体調管理が非常に重要です。
具体的には、以下のような点が挙げられます。

• 1日の生活リズムを整える：規則正しい生活リズムを保つことは、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。早寝早起きを心がけ、太陽の光を浴びることで、体内時計を正常に保つことが重要です。
• 健康的な食事を意識する：バランスの良い食事をすることで、体の内側から健康を支えます。特に、大豆製品などのイソフラボンを含む食品は、女性ホルモンに似た働きをするため、更年期の症状緩和に役立つとされています。
• 適度な運動を習慣にする：軽い運動は血行を促進し、ストレスを軽減する効果が期待できます。ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、無理のない範囲で継続することが大切です。
• ストレスをためないように気をつける：ストレスは自律神経の乱れを引き起こす大きな要因です。リラクゼーションや趣味の時間を持つことで、心のバランスを保つことが重要です。
• 毎日湯船に浸かる：温かいお風呂に浸かることで、血行が促進されリラックスできます。また、冷えは更年期症状を悪化させることがあるため、体を温めることが重要です。

これらの生活習慣の見直しは、更年期による吐き気やその他の症状を緩和するだけでなく、全体的な健康状態の向上にも寄与します。
日々の小さな積み重ねが、更年期を快適に過ごすための鍵となります。

ツボ押し

更年期の吐き気に対するツボ押しは、東洋医学の原理に基づく自然療法の1つです。
更年期に起こる吐き気は、女性ホルモンの変動による自律神経の乱れが主な原因とされており、ツボ押しはこのような症状を緩和するために用いられます。

特定のツボを刺激することで、体内のエネルギーバランスを整え、吐き気や胃の不快感を軽減する効果が期待できます。
更年期における吐き気に効果的とされているツボには、以下のようなものがあります。

 

• 内関（ないかん）: 手首の内側中央、指3本分肘側に位置するこのツボは、胃の痛みやむかつきを改善し、リラックスできます。
• 労宮（ろうきゅう）: 手のひらの中央のくぼみにあるこのツボは、食欲不振や吐き気に効果的とされています。

 

ツボは、気持ちいい程度の強さで、30回ほどゆっくりと押すことが推奨されています。
ツボ押しは、自宅で簡単にできるため、更年期の吐き気に悩む多くの女性にとって良い自己ケア方法となります。

ただし、ツボ押しはあくまで症状の一時的な緩和を目的としており、原因がはっきりしない場合や症状が重い場合は、医療機関で診察を受けることが重要です。
また、ツボ押しは個人差があるため、症状が緩和しない場合は、他の治療法を検討することも大切です。

更年期の吐き気に関するよくある質問

ここでは、更年期に起こる吐き気に関するよくある質問を紹介します。

吐き気が続く場合は医療機関を受診した方がいいですか？

更年期における吐き気が長く続く場合や、日常生活に支障をきたすほど重い場合は、医療機関での診察が必要です。

更年期の吐き気が続く場合、まずは婦人科を受診することが推奨されます。
婦人科では、更年期に伴うホルモンバランスの変化やその他の身体的変化を評価することで、適切な治療やアドバイスを受けられます。

また、吐き気が他の病気の症状としてあらわれている可能性もあるため、必要に応じて消化器科や内科の受診も検討されることがあります。

特に、吐き気に加えて刺すような胃痛や腹痛がある場合、更年期が原因ではない可能性があり、消化器科の受診が必要です。
また、吐き気がストレスや心理的な要因によるものである場合は、心療内科や精神科の受診が適切な場合もあります。

更年期の吐き気は、女性ホルモンの急激な減少に体が慣れると、徐々に収まることが一般的ですが、症状のあらわれ方やおさまり方には個人差があります。
そのため、吐き気や他の更年期症状がつらく、日常生活に支障が出ている場合や、症状に悩まされストレスになっている場合は、自己判断せずに医師に相談することが重要です。

更年期による吐き気は、いつまで続きますか？

更年期による吐き気の期間は個人差が大きく、一概には言えませんが、一般的には女性ホルモンの急激な減少に体が慣れるまでの期間、つまり更年期が終わるまで続くことが多いといわれています。
更年期は一般的に、40代半ばから50代半ばの約10年間とされていますが、吐き気があらわれるのは更年期の早い段階です。

更年期の吐き気に対する対処法としては、ホルモン補充療法、漢方薬、生活習慣の見直し、食生活の改善などがあります。
吐き気が続く場合は、更年期以外の原因も考慮し、医師の診察を受けることが重要です。

また、更年期の症状には個人差があるため、自分に合った対処法を見つけることが大切です。

更年期になるとあらわれやすい症状は、吐き気以外にもありますか？

更年期は、女性ホルモンのエストロゲンが大きく変動し、低下していく時期です。
ホルモンの変化は、身体的、心理的、社会的な要因と複合的に関与し、多様な症状を引き起こします。

更年期障害の症状は、大きく3種類に分けられます。

 

• 血管の拡張と放熱に関係する症状：ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗などが含まれます。これらの症状は、エストロゲンの減少による血管の調節機能の低下が原因です。
• その他のさまざまな身体症状：めまい、動悸、胸が締めつけられるような感じ、頭痛、肩こり、腰や背中の痛み、関節の痛み、冷え、しびれ、疲れやすさなどがあります。これらの症状は、自律神経の乱れや筋肉の緊張、血行不良などによって引き起こされることが多いとされています。
• 精神症状：気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠などがあります。これらは、エストロゲンの減少によるセロトニンの減少や、生活の変化に伴うストレスなどが原因で起こります。

 

更年期におけるこれらの症状に対しては、医師と相談しながら、適切な対処をすることが重要です。

まとめ

更年期には、女性ホルモンの変動によって自律神経の乱れ、吐き気が引き起こされます。
治療法には、ホルモン補充療法や漢方療法、生活習慣の改善、ツボ押しなどがありますが、医師と相談しながら自身に合った適切な対処をすることが推奨されます。