更年期と貧血の関係性は？更年期症状と貧血症状の違いについて解説します

更年期は女性の体に多くの変化をもたらしますが、その中でも特に注目されるのが貧血との関係性です。
更年期にはホルモンバランスの変化により、月経不順や出血量の増加が見られることがあり、これが貧血を引き起こす原因となることがあります。

しかし、更年期症状と貧血症状は似ているようで異なる点も多く、正確な理解が必要です。
本記事では、更年期と貧血の関係性に焦点を当て、両者の症状の違いについて詳しく解説します。

更年期と貧血にはどのような関係がある？

更年期には、ホルモンバランスの変化により、月経不順や出血量の増加が見られることがあります。
これが貧血を引き起こす原因となることがあります。

特に、更年期に入ると月経周期や月経量の変化によって、重い貧血を引き起こすことがあります。
月経の期間や量の変化に気を配り、昼間でも夜用のナプキンが必要で数時間もたなかったり、経血量は少なくてもダラダラと月経期間が長くなったりする場合は、すみやかに医療機関を受診することが推奨されます。

更年期症状と貧血症状の違い

まず、更年期症状についてまとめます。
更年期には、卵巣機能の低下によりエストロゲンが減少し、ホルモンバランスが乱れます。

ほてり、のぼせ、不眠、イライラ、気分の落ち込みなどの症状を呈します。
月経周期や量の変化によって、重い貧血を引き起こすことがあります。

 

次に、貧血症状についてまとめます。
貧血は、鉄分不足やヘモグロビンの減少によって起こります。

めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、顔面蒼白、倦怠感、疲労感、頭痛、眠気、集中力の低下、耳鳴り、口角炎、口内炎、味覚異常、爪が割れやすい、爪の変形、レストレスレッグス症候群、氷食症、肌荒れなどの症状を呈します。

 

貧血によって起こる症状と、更年期症状との見分けがつきにくいことは、この世代特有の注意点です。
貧血というとめまいや立ちくらみをイメージする人が多いですが、イライラする、疲れやすい、めまいがする、なぜか気持ちが落ち込むといった、自律神経の乱れに近い症状が現れることもよくあります。

更年期世代がこうした症状を自覚した場合、何よりも先に更年期症状だと思うのではないでしょうか。
更年期によるホルモンバランスの変化は、月経の異常や心身の不調を引き起こす一方で、貧血は鉄分やビタミンの不足が主な原因です。不定愁訴を更年期と自己判断せず、血液検査で貧血の有無を見極めることが重要です。

更年期による貧血の対処法

更年期は女性の体に多くの変化をもたらしますが、その中でも特に注意が必要なのが貧血です。
ホルモンバランスの変化により引き起こされる貧血は、日常生活に影響を及ぼすこともあります。

以下では、更年期における貧血の対処法について解説します。

鉄分が含まれている食品を摂る

更年期における貧血対策として、鉄分豊富な食品摂取が役立ちます。

鉄分を多く含む食品を紹介します。
レバー、牛や馬などの赤身肉、魚類ではマグロやカツオの赤身、アサリやシジミなどの貝類が鉄分を豊富に含んでいます。

また、ほうれん草や小松菜、海藻類、プルーンなども鉄分を含んでいますが、吸収率は低いです。

鉄分の吸収を助ける食材として、ビタミンCを含む食材が挙げられます。
緑黄色野菜や柑橘類、イチゴなどビタミンCが豊富な食材は、鉄分の吸収を助けます。

また、動物性たんぱく質である肉、魚、卵なども鉄分の吸収を促進します。

一方で鉄分の吸収を妨げる食品として、緑茶、紅茶、コーヒーに含まれるタンニンが挙げられます。
これらの食事中や食事前後の摂取は避けると良いでしょう。

鉄分を摂取するための日常生活での工夫として、南部鉄びんや鉄鍋を使用することで、食事からの鉄分摂取を助けます。
更年期における貧血対策として、鉄分豊富な食品の摂取は非常に重要です。

サプリメントを活用する

更年期による貧血の対処法として、サプリメントの活用が役立ちます。
サプリメントを選ぶ際は、鉄分の含有量を確認しましょう。

日本の成人女性の1日の鉄分摂取推奨量は約10.5mgです。鉄分の吸収率を高める成分が含まれているかも重要です。

例えば、ビタミンCは鉄分の吸収を助けます。

サプリメントの摂取方法として、鉄分の吸収を高めるために、ビタミンCを含む食品と一緒にサプリメントを摂取すると良いでしょう。
鉄分の吸収を妨げる食品（例：カフェインを含む飲料）を摂取するタイミングを避けて、サプリメントを摂ることが推奨されます。

鉄分の過剰摂取は体に負担をかける可能性があるため、推奨量を守って摂取しましょう。
特に貧血の症状が重い場合や他の疾患が疑われる場合は、医師の診断を受けることが重要です。

病気の可能性もあるため病院を受診しよう

更年期における貧血は、単なるホルモンバランスの乱れだけでなく、他の健康問題のサインの可能性があります。
そのため、貧血の症状がある場合は、自己判断せずに適切な医療機関での受診が重要です。

更年期にはホルモンバランスの乱れにより、月経過多が起こりやすくなります。
これが鉄不足による貧血を引き起こす主な原因です。

しかし、更年期女性が経験する貧血には他にも原因があります。
これには偏食や過度なダイエットによる鉄摂取量の不足、ストレスによる鉄吸収量の不足、貧血を引き起こす疾患などが含まれます。

貧血の原因を特定するためには、月経の量や月経以外の出血状態を考慮することが重要です。

例えば、生理以外で血尿や血便、痔などの出血がなく、生理の量が多い場合は月経過多による鉄不足が考えられます。

一方で、生理以外で出血がある場合は消化器系疾患が疑われます。
貧血の症状がある場合、適切な受診先は症状によって異なります。

月経過多が考えられる場合は婦人科、消化器系疾患が疑われる場合は消化器科、鉄摂取量や吸収量の不足、婦人系疾患や消化器系疾患以外の疾患が考えられる場合は内科が適切です。

更年期と貧血に関するよくある質問

更年期と貧血は、多くの女性が経験する健康上の課題です。

しかし、これらに関する正確な情報や対処法は、必ずしも広く知られているわけではありません。
ここでは、更年期と貧血に関するよくある質問に答え、これらの症状を抱える女性たちが直面する疑問や不安を解消します。

更年期における貧血のリスクは何ですか？

更年期における貧血のリスクについてまとめます。

隠れ貧血は、体内の貯蔵鉄が不足し、貧血の一歩手前の状態を指します。
ヘモグロビン値は正常なことも多く、一般の血液検査では見落とされやすいのが実情です。

隠れ貧血に気が付かずに放置していると、慢性的な貧血状態になり、常にだるい、疲れやすいといった症状がみられるようになってしまうこともあります。

貧血がきっかけとなり、心不全や深刻なうつ状態になる可能性もあるため、そのままにせず、必要な治療はしっかりと受けるようにしましょう。

また、40代以上の女性に多く発症する「むずむず脚症候群」も、隠れ貧血が原因の場合もあります。
貧血の症状がある場合は、自己判断せずに適切な医療機関での受診が重要です。特に更年期の女性は、月経過多による鉄不足以外にも、様々な原因が考えられるため、医師の診断を受けることが推奨されます。

更年期と貧血の症状はどのように区別できますか？

更年期と貧血は、いくつかの症状が似ているため、区別が難しいことがあります。
上述で紹介した通り、更年期の典型的な症状にはほてり、のぼせ、不眠、イライラ、気分の落ち込みなどがあります。

また、月経周期や量の変化によって、重い貧血を引き起こすことがあります。

貧血の典型的な症状には、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、顔面蒼白、倦怠感、疲労感、頭痛、眠気、集中力の低下、耳鳴り、口角炎、口内炎、味覚異常、爪が割れやすい、爪の変形、レストレスレッグス症候群、氷食症、肌荒れなどがあります。

更年期と貧血の症状は似ているため、見分けがつきにくいことがあります。
更年期付近の年代の女性は、月経過多による鉄不足以外にも、様々な原因が考えられるため、医師の診断を受けることが推奨されます。

適切な診断と治療により貧血の原因を特定し、状況に合った対処を受けましょう。

更年期の貧血にはどのような治療法がありますか？

更年期における貧血の治療は、その原因に応じて異なります。
主な治療法は以下の通りです。

 

食事による栄養素の補給：

鉄分が豊富な食品（レバー、赤身肉、魚類、貝類、緑黄色野菜など）を積極的に摂取します。ビタミンCは鉄分の吸収を助けるため、柑橘類やイチゴ、緑黄色野菜などを一緒に摂ることが推奨されます。

 

薬物療法：

鉄分不足による貧血の場合、医師の指導のもとで鉄剤を服用します。頻発月経や過多月経が原因の場合、月経周期や月経量を調節するための薬物療法が行われることがあります。

 

病気による貧血の治療：

貧血の原因が特定の疾患（例：子宮筋腫、消化器系疾患）である場合、その疾患の治療を行います。

 

更年期の貧血治療には、鉄分豊富な食品の摂取、ビタミンCの摂取、鉄剤の服用、月経調節、原因疾患の治療などがあります。
貧血の原因に応じた適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。

また、日常生活における食生活の改善やストレス管理も重要です。
貧血の症状がある場合は、自己判断せずに医師の診断を受けることをお勧めします。

まとめ

更年期と貧血は、表面的には似た症状を示すことがありますが、その原因と対処法は異なります。
更年期によるホルモンバランスの変化は、月経の異常や心身の不調を引き起こす一方で、貧血は鉄分やビタミンの不足が主な原因です。

両者を正しく理解し区別することで、適切な健康管理と治療が可能になります。
更年期や貧血に関する不安や疑問を感じた場合は、医療機関での相談をお勧めします。自己判断せず、適切な診断と治療を受けることが、健康な更年期を送るための鍵となります。