【よくある症状】
- ・乳房のしこりがある
- ・乳頭や乳輪がただれる
- ・乳頭から血が混ざったような分泌液が出る
- ・乳房にえくぼのようなへこみができる
- ・乳房の形が左右非対称になる
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今や、がんは身近な病気のひとつです。
がんの基礎知識や、女性特有のがん、
早期発見のためにできることなど、
正しい知識を身につけておきましょう。
「がん」とは、カラダの中にある正常な細胞の遺伝子が変化し、正常な細胞から栄養を奪いながら無秩序に増え続けたり、周囲の組織に広がったり、血管やリンパ管から他の組織に転移したりして、臓器や生命に悪い影響を与える細胞のことで、悪性腫瘍ともよばれます。
一方、周囲の組織に広がったり転移したりせず、臓器や生命に悪影響を与えないものは「良性腫瘍」とよばれます。
食生活や運動などの生活習慣に気を使っていても、がんの発生を完全に防ぐことはできませんが、生活習慣の改善から発生リスクを減らすことはできます。がんの原因には様々な要因がありますが、すべてが明らかにはなっておらず、その原因の解明や予防・治療法などの研究が進められています。
がんは、日本人の2人に1人が一生のうちに一度はかかるといわれており、身近な病気のひとつです。
●2018年に新たに診断されたがんは980,856例(男性558,874例、女性421,964例)*
*性別不詳があるため男女の合計が総数と一致しません。
●2019年にがんで死亡した人は376,425人(男性220,339人、女性156,086人)
●日本人が一生のうちにがんと診断される確率(2018年データに基づく)
男性65.0%(2人に1人)
女性50.2%(2人に1人)
●日本人ががんで死亡する確率(2019年のデータに基づく)
男性26.7%(4人に1人)
女性17.8%(6人に1人)
出典:「国立がん研究センターがん情報サービス」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
日本のがん統計は、罹患データは2~3年、死亡データは1~2年遅れて公表されています。
出典:「国立がん研究センターがん情報サービス」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
日本のがん統計は、罹患データは2~3年、
死亡データは1~2年遅れて公表されています。
日本人に多いがんとして、大腸がん、胃がん、肺がんなどがあり、女性では乳がんや子宮がんも多くみられます。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | ||
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総数 | 大腸 | 胃 | 肺 | 乳房 | 前立腺 | 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸6位 |
男性 | 前立腺 | 胃 | 大腸 | 肺 | 肝臓 | 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸5位 |
女性 | 乳房 | 大腸 | 肺 | 胃 | 子宮 | 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸2位、直腸7位 |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
出典:国立がん研究センターがん情報サービス
「がん統計」(全国がん登録)
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
男女計 | 肺 | 大腸 | 胃 | 膵臓 | 肝臓 | 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸7位 |
男性 | 肺 | 胃 | 大腸 | 膵臓 | 肝臓 | 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸7位 |
女性 | 大腸 | 肺 | 膵臓 | 胃 | 乳房 | 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸9位 |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)
出典:国立がん研究センターがん情報サービス
「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)
女性特有のがんには、乳がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、腟がん、外陰がん、子宮肉腫があります。このうち、最も罹患率が高いのは乳がんで、次いで子宮体がん、卵巣がん、子宮頸がんの順となります。
一般的に、がんは高齢になるほど発症リスクが高まります。しかし、乳がんや子宮頸がんなどは20代から発症するケースも多く、女性特有のがんの発症は若年化している傾向にあります。さらに、20代、30代のがん患者さんでは、その8割を女性が占めるともいわれています。
ここでは、罹患率の高い女性特有のがんについて解説します。
乳がん
【よくある症状】
子宮体がん
【よくある症状】
子宮頚がん
【よくある症状】
どのような種類のがんであっても、大切なのは早期発見と早期治療です。そのために、ぜひ定期的ながん検診を受けるようにしましょう。たとえば、女性のがん死亡者数が多い大腸がんや乳がんでも、検診で早期に発見し治療を開始することで治る可能性も高くなり、再発・転移、死亡の割合も低下させることができます。
乳がんを対象とする視診・触診と乳房X線検査(マンモグラフィー)、子宮頸がんを対象とする子宮頸部細胞診は、科学的な有効性が認められており、厚生労働省が推奨するがん検診に含まれています。乳がん検診では40歳以上、子宮頸がん検診では20歳以上の女性に、2年に1回の検診が推奨されています。定期的にこれらのがん検診を受けるようにしましょう。
がん検診を受けるには、お住まいの自治体や勤務先にお問い合わせください。
胃がん検診 | 胃X線検査 | 40歳以上の男女、年1回 |
---|---|---|
肺がん検診 | 胸部X線検査と喀痰(かくたん)検査の併用(※喫煙者のみ) | 40歳以上の男女、年1回 |
大腸がん検診 | 便潜血検査 | 40歳以上の男女、年1回 |
乳がん検診 | 視触診とマンモグラフィー検査 | 40歳以上の女性、2年に1回 |
子宮がん検診 | 子宮頸部細胞診 | 20歳以上の女性、2年に1回 |
胃がん検診 | 胃X線検査 | 40歳以上の男女、年1回 |
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肺がん検診 | 胸部X線検査と喀痰(かくたん)検査の併用(※喫煙者のみ) | 40歳以上の男女、年1回 |
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大腸がん検診 | 便潜血検査 | 40歳以上の男女、年1回 |
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乳がん検診 | 視触診とマンモグラフィー検査 | 40歳以上の女性、2年に1回 |
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子宮がん検診 | 子宮頸部細胞診 | 20歳以上の女性、2年に1回 |
---|
がんの中には、ワクチンによって予防することができるものもあります。
現在は、子宮頸がんを予防するための「HPVワクチン」が承認されています。
HPVワクチンを接種すると、ヒトパピローマウイルス(HPV)に対する抗体が体内で産生されるようになり、ウイルスが腟や子宮頸部に侵入しても感染するのを防ぐことが期待できます。このワクチンは、初めての性交渉よりも前に接種することが推奨されていますが、性交経験後でもある程度の効果はみとめられています。
HPVワクチンは2013年4月に定期接種化されましたが、接種後の「多様な症状」の訴えにより、同年6月に「接種の積極的な勧奨」は一時中断されていました。しかし、専門家による検討において「多様な症状」とワクチン接種の関連性が明らかになっていないことや、海外でHPVワクチンによる子宮頸がんの予防効果が示されていることなどから、今後「接種の積極的な勧奨」が再開されることになっています。厚生労働省は2022年4月から積極勧奨を再開し、中断されていた期間に接種機会を逃した女性に対しても、無料で接種できる体制を整備する予定です。
基本的な定期接種の対象者は小学6年から高校1年相当(16歳になる歳)の女子とされており、初回接種後、1~2ヵ月の間隔をあけて2回目を接種し、初回接種から6ヵ月後に3回目を接種するのが標準的な接種スケジュールです。
HPVワクチンの詳細な定期接種対象者や接種できる医療機関などについては、かかりつけ医や産婦人科医、各自治体などにお問い合わせください。
子宮頸がんは近年、若い人がかかる病気に変化し、30歳代で発症する人も増えています。日本国内では毎年約3,000人もの女性が子宮頸がんによって亡くなっています。その子宮頸がんを予防する効果があるとしてHPVワクチンはWHO(世界保健機関)でも強く推奨されており、多くの国がHPVワクチンを用いた予防接種プログラムを導入しています。さらに、HPVは男性でもがんを発症させる原因となりえるため、最近では女性だけでなく男児に接種できる国も増えています。
日本では、小学校6年生~高校1年生相当の女子がHPVワクチンの定期接種対象となっています。この年齢にあたる方や、対象年齢となるお子さんをお持ちの方は、ぜひ一度、HPVワクチンを接種するリスクとベネフィットについて考えてみてください。ワクチンについて分からないことや不安なことがあれば、気軽に産婦人科医に相談いただいて構いません。ご自身とご家族の将来の健康について、一緒に考えていきましょう。
がんの中には、長期間にわたるさまざまな生活習慣の積み重ねでリスクが高まるものも多くあります。
がんにかかるリスクを抑えるために、取り入れたい生活習慣として、禁煙、受動喫煙を避ける、過度な飲酒を控える、定期的に運動する、3食バランスのよい食事をする、などがあげられます。また、ウイルスなどの感染によるがんは、ウイルスに対する治療やワクチンを接種することで、がんの発症を予防できる可能性があります。
がんの話題においてよく使用される言葉をまとめます。
AYA世代 | 思春期(15歳以降)から30歳代までの世代を指す。AYAはAdolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の略 |
---|---|
5年生存率 | がんと診断されてから5年後に生きている人の割合 例)5年生存率が90%=5年後に90%の人が生存していることを意味する |
悪性腫瘍 | 腫瘍には良性と悪性があり、悪性腫瘍は臓器や生命に悪い影響を与えるものを指す。また、「がん」のことを悪性腫瘍ということもあります |
ガイドライン | がんやその他の病気について、診断・治療の方法やその推奨度を科学的根拠に基づきまとめた文書 |
化学療法 | 薬物療法のうち、抗がん剤を用いてがんを治療すること |
希少がん | 厚生労働省の検討会において「人口10万人あたり6例未満のまれながん」で「数が少ないため診療・受療上の課題が他に比べて大きい」と定義されたがんのこと |
再発・再燃 |
|
サバイバー | がん治療を終えた方だけではなく、広く「がん体験者」を表す言葉 |
小児がん | 15歳未満の小児期にかかるがんの総称 |
ステージ | がんの広がり具合について、進行度や程度を判定するための基準。病期ともよばれる |
転移 | がん細胞が、元の臓器から血液やリンパの流れに乗って別の臓器や器官に移り、そこで増えること |
放射線治療 | X線、電子線、ガンマ線などの放射線を用いて、がん細胞の遺伝子にダメージを与え、治療する方法 |
良性腫瘍 | 腫瘍のうち、臓器や生命に悪い影響を与えないもの |
がんの話題においてよく使用される言葉をまとめます。
AYA世代 | 思春期(15歳以降)から30歳代までの世代を指す。AYAはAdolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の略 |
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5年生存率 | がんと診断されてから5年後に生きている人の割合 例)5年生存率が90%=5年後に90%の人が生存していることを意味する |
悪性腫瘍 | 腫瘍には良性と悪性があり、悪性腫瘍は臓器や生命に悪い影響を与えるものを指す。また、「がん」のことを悪性腫瘍ということもあります |
ガイドライン | がんやその他の病気について、診断・治療の方法やその推奨度を科学的根拠に基づきまとめた文書 |
化学療法 | 薬物療法のうち、抗がん剤を用いてがんを治療すること |
希少がん | 厚生労働省の検討会において「人口10万人あたり6例未満のまれながん」で「数が少ないため診療・受療上の課題が他に比べて大きい」と定義されたがんのこと |
再発・再燃 |
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サバイバー | がん治療を終えた方だけではなく、広く「がん体験者」を表す言葉 |
小児がん | 15歳未満の小児期にかかるがんの総称 |
ステージ | がんの広がり具合について、進行度や程度を判定するための基準。病期ともよばれる |
転移 | がん細胞が、元の臓器から血液やリンパの流れに乗って別の臓器や器官に移り、そこで増えること |
放射線治療 | X線、電子線、ガンマ線などの放射線を用いて、がん細胞の遺伝子にダメージを与え、治療する方法 |
良性腫瘍 | 腫瘍のうち、臓器や生命に悪い影響を与えないもの |