ホルモン補充療法(HRT)とは

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監修:野崎ウイメンズクリニック院長
野崎雅裕先生

更年期障害について

更年期は、閉経をはさんだ約10年間(45~55歳頃)のことで、すべての女性に訪れます。更年期を迎えると、多くの女性に特有の症状が現れ、つらい症状を訴えるケースも少なくありません。このように、症状がひどく治療を要する場合を指して「更年期障害」と呼びます。

ホルモン補充療法(HRT)とは

我慢しないで、早めの診察を

症状にお困りのときは、我慢しないで早めに医師に相談し、治療を始めましょう。更年期障害の治療法にはカウンセリングや運動・食事療法、漢方療法などのほか、ホルモン補充療法(HRT)が行われています。

不足したエストロゲンを補います

不足したエストロゲンを補う
合理的な治療法...ホルモン補充療法(HRT)

ホルモン補充療法(HRT)とはエストロゲンを補うことで、更年期障害を改善する治療法です。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に大変高い効果を示します。

症状や体質などに合わせて選ぶ、HRTのいくつかの方法

HRTにはいくつかの方法があります。通常、子宮のある方は子宮体がんを予防するために、黄体ホルモンという女性ホルモンを一緒に使用します。

子宮のある方

エストロゲン剤・黄体ホルモン剤

※エストロゲン剤を続ける場合もあります。

子宮のない方

エストロゲン剤

HRTに使用されるお薬にはのみ薬、貼り薬、塗り薬などがあります

HRTに使用されるお薬には内服薬(のみ薬)と経皮薬(貼り薬、塗り薬)があり、それぞれの特徴は下記の通りです。最近ではエストロゲンと黄体ホルモンの両方を含む新しいタイプの貼り薬も登場し、HRTに使える薬剤の幅も広がっています。

種類 特徴
内服薬(のみ薬)
  • 腸管から吸収され、肝臓を通過した後に効果を発揮します。
  • 毎日服用するタイプのお薬です。
  • エストロゲンと黄体ホルモンの両方を含むタイプの内服薬もあります。
経皮薬 貼り薬
  • 成分が皮膚から直接血管に吸収され、効果を発揮します。胃腸症状や肝臓への影響が比較的少ないといわれています。
  • 1週間に2回貼り替えるタイプと2日に1回貼り替えるタイプがあります。
  • エストロゲンと黄体ホルモンの両方を含むタイプもあります。
塗り薬
  • 成分が皮膚から直接血管に吸収され、効果を発揮します。胃腸や肝臓への影響が比較的少ないといわれています。
  • 毎日塗る必要があります。

HRTスタート時に現れる気になる症状

  • 不規則な子宮からの出血(不正性器出血)
  • はき気、胃のむかつき
  • 乳房のはり、痛み

これらの多くはHRTを続けていくうちに自然に治まることが多く、薬の種類を変えることでも、対処できます。これらの症状が現れたからといって自分の判断でHRTを中止せず、必ず医師にご相談ください。

HRTとがん(乳がん、子宮体がん)

乳がん

5年未満のHRTは乳がんになるリスクを高めないといわれています。ただし、それ以上使用する場合は若干リスクが高まる可能性があります。

子宮体がん

エストロゲンと黄体ホルモンを同時に服用すれば発生率が高くなることはありません。

HRTを行うときは、定期的に乳房と子宮の検査を受けることが大切です。

次ページのホルモン補充療法(HRT)に関するQ&Aもぜひ参考にしてください

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