肝性脳症の治療

「肝性脳症」の治療は、進行具合によって様々な治療法があります。以下に治療方法について簡単にまとめてみましたので参考にしてください。

栄養療法

タンパク質の過剰摂取は肝性脳症を発症させる可能性があるため制限が必要な場合があります。また、便秘は肝性脳症を起こしやすくするため食物繊維を摂取するなどの、指導がおこなわれます。

下剤

便通をよくして、腸内でのアンモニア産生を抑制します。

合成二糖類製剤

腸内のアンモニアの産生と吸収を抑えることで、血中のアンモニアを低下させる作用があります。

BCAA製剤(特殊組成アミノ酸製剤)

タンパク質、栄養状態の改善やアミノ酸のバランスを整えることで効果を発揮します。経口剤だけではなく、点滴製剤もありますので、経口投与が難しい患者さんにも使用できます。

難吸収性抗菌薬

アンモニア発生の原因となる腸内細菌に作用することによって、アンモニアの発生を抑制させることが出来る薬物です。難吸収性とは、体にはほとんど吸収されずに、腸内に届くという意味です。

早期発見のポイント

「肝性脳症」は早期に発見して、治療することが予後の改善につながります。
日常生活において、一緒に住んでいる家族からの情報が重要となります。「肝性脳症」は、「認知症」や「うつ病」と間違えやすいため、専門医への受診が必要になります。

患者さんの訴え / 家族の訴え

不顕性肝性脳症

「肝性脳症」の症状がほとんどなく、一見正常に見える人でも、検査や問診を行うと異常が認められる病態を「不顕性肝性脳症」と呼びます。労働効率の低下や交通事故につながる危険性がありますので、直ちに専門医への受診をおすすめします。

監修:北海道大学大学院医学研究院 消化器内科学教室 教授 坂本 直哉 先生

※ここでの情報はあくまで基本の情報であり症状は人それぞれで違う場合もあります。不安な点は主治医、肝臓専門医等に相談してください。